業績回復基調で、剰余金欠損一掃なら復配余地も・ユーシン(6985)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6985】ユーシン(東証1部) --


現在値 746円/100株 PER6.9 PBR0.79 12月無配 株主優待あり

キーセットなど自動車電装品製造。仏ヴァレオのキーシステム買収。
配当は前期・前々期と無配が継続しており、今期も期初時点では無配の予想です。

ユーシンは株主優待を導入しており、12末に単元株を保有する株主に対して、1,000円

分のクオカードを進呈していますので、利回りは約1.34%となります。なお、1年以上保有

を継続する株主には、2,000円分を進呈しておりますので、利回りは約2.68%となります。

業績を確認をしていきます。
■2014年11月期 売上高 1559億円 営業利益 30.7億円 EPS▲15.2円
■2015年11月期 売上高 1642億円 営業利益 47.1億円 EPS 8.5円
■2016年11月期 売上高 1538億円 営業利益 32.6億円 EPS▲348円 
■2017年12月期 売上高 1686億円 営業利益 53.9億円 EPS 137円 変則

■2018年12月期 売上高 1520億円 営業利益 43.0億円 EPS 114円 ce
□2018年6月中間売上高 760億円 営業利益 17.0億円 EPS 15.8円 四e

2017年12月期は13ヶ月変則期間となるため、前期との単純比較はできないものの、

売上高は前期比147億円増の1686億円、営業利益は同21億円増の53億円となり、
いずれも期初予想を上回りました。主力の自動車部門については日米欧中で、キー

セットやドアスイッチ等の需要が堅調に推移したほか、産業用機械部門についても、

中国や北米向けの農機部品が順調に推移したことで、計画を上回りました。


進行期である2018年12月期より12ヶ月決算に復帰となり、こちらも実績期との単純な

比較は出来ないものの、売上高は166億円減の1,520億円、営業利益は10億円減の
43.0億円を計画しています(※想定為替レートEUR/JPY=128円、RMB/JPY=16.5円)
主力の自動車部門については、日本・中国の主要取引先であるマツダやホンダの順

調な生産状況にともない、概ね堅調に推移することが見込まれます。また、自動車以

外のドメインである農機・建機・工作機器については、世界的に年率5%を超える市場

成長が継続しているため、旺盛な需要を背景に底堅く推移する見通しを立てています。

当社は2013年にUAM(旧・ヴァレオ)を171億円かけて買収しており、売上規模がほぼ

倍になったほか、同社がキーセットで世界シェア2割を握っていたため、このキーセット

分野では当社が世界シェア一位になったほか、ドアハンドルでも世界上位となりました。

ただ、このUAMは品質が不安定であり、2016年には55億円にも及ぶのれんの減損を

被ることとなったほか、設備の老朽化が進行しているため、今後も多額の設備投資(と

減価償却費)が重しとなってくることが予想されます。そのため、前期を初年度とする

中期5ヵ年計画では、売上高1,539→1,579億円、営業利益32.6→80.5億円という大変

野心的な定量目標を掲げていますが、実態はこのUAMの営業利益の改善で27億円

もの増益を見込んでいるため、かなり割り引いて見る必要がありそうです。

一応、高額報酬で問題となっていた田邊耕二会長兼社長が既に辞任しており、年額

30億円を上限としていた取締役報酬も、足許では上限が5億円にまで下がっており、
実際の支払ベースでは12人の役員を合計して3億円を切るところまで激減している

ため、確実に利益改善のアテに出来るのは、その報酬の“浮き分”かと思われます。

なお、会社としてはある程度の財務レベルを維持しており、前期も黒字決算のため

配当は出来なくもないのですが、配当原資となる利益剰余金が依然として11億円

程度欠損しているため、今期は期初時点から配当見送りのアナウンスをしたもの

思われます。ただ今期の会社予算が達成された場合は、変な減損が発生しない限り、

この欠損が一掃される可能性が高く、今期中の復配可能性もあると考えています。

*参考記事① 2017-02-19  815円 --

田邊会長が退任、コベナンツもウェーブ完了・ユーシン(6985)。


*参考記事② 2016-03-01 684円 ---
高額な役員報酬等に対する株主提案は全て否決、ユーシン(6985)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
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