【9619】イチネンホールディングス(東証1部) ---
現在値 1,542円/100株 PER10.2 PBR1.29 3月配当優待 9月配当
自動車リース中堅、リース車両整備受託、燃料販売等ケミカル事業も展開。
予想配当は年間合計36円のため、配当利回りは2.33%となります。
イチネンホールディングスは株主優待を導入しており、単元株を保有する3末株主に
1,000円分のクオカードを進呈していますので、配当優待利回りは約2.98%となります。
業績を確認をしていきます。
■2014年3月期 売上高 676億円 営業利益 50.5億円 EPS 117.8円
■2015年3月期 売上高 716億円 営業利益 54.2億円 EPS 149.4円
■2016年3月期 売上高 748億円 営業利益 55.1億円 EPS 146.5円
■2017年3月期 売上高 797億円 営業利益 56.8億円 EPS 154.1円
■2018年3月期 売上高 840億円 営業利益 60.0億円 EPS 150.0円 ce
□2017年9月中 売上高 407億円 営業利益 30.8億円 EPS 78.2円
□2017年12月3Q 売上高 607億円 営業利益 42.0億円 EPS 80.3円(2/5)
2017年9月中間期の売上高は前年同期比4.1%増の407億円、営業利益は同9.1%増
の30.8億円となり、ほぼ期初予想水準での着地となりました。主力の自動車リース
事業では、車両の小型化進行の影響はあるものの、地方や中小企業の開拓により
台数を増加させたほか、メンテナンスや給油カード販売も順調に推移し、全社業績
を押し上げたほか、ケミカル事業においても石炭添加剤や機械工具向製品が伸び、
全セグメントで増収を果たしました(利益についても機械工具事業以外は全て増益)。
なお2018年3月期通期予算は据え置いており、売上高は前期比5.4%増の840億円、
営業利益は同5.6%増60億円を予想してます。業績の核となる自動車リース事業の
リース台数、メンテ受託台数、給油カードの販売が順調なほか、安定収益源である
パーキング事業についても上期時点で新規開発が順調に進んでいるため(6ヵ月前
比較:27,555→29,162台)、ケミカル事業がまずまず仕上がれば、予算は達成圏かと
思われましたが、2月5日に開示された3Qでは2Q時点より進捗率が落ちてしまって
いるので、現時点での達成確度は微妙かもしれません。
当社は従来の3年中計で今2018年3月期に営業利益65億円を目指していましたが、
今期予算を達成しても60億円止まりなので未達公算です。気の早い話ですが、既に
新中計の定量目標も開示されており、2020年3月期に営業利益85億円、2021年3月
期に同100億円を目指しているため、向こう数期における営業利益CAGRは2桁を超
えてくる意欲的な内容となっています。自動車リース事業やケミカル事業はせいぜい
年率数%しか伸びないとみられるものの、パーキング事業における大型付置義務P
の受託や機械工具販売の海外展開あたりがオーガニック成長の柱となります。
また、当社ならではの得意技が周辺業種のMAであり、昨年4月にも機械工具卸売
のゴンドー(年商約3.5億円)を買収しているほか、足許では同じく機械工具製造卸の
昌弘機工(年商約5.3億円)を買収しています。当社は毎年何かしらの買収を実施して
いるものの、あまりのれん代の発生する買収を行っていないのが特徴であり、年間
ののれん償却額は現状の年間5億円程度から、中計期間中に年間2~3億円レベル
にまで落ち着いてくるとみられ、業績の押し上げ要因となります。が、これだけでは
到底無理なので、矢継ぎ早のMAが必要であり、中計はその成否次第と言えます。
なおMAの原資となる財務に関しては、リース会社ということもあり700億円にも及ぶ
有利子負債をかかえているため(自己資本比率は24%程度)、本気で中計定量目標
の営業利益100億円を目指すのであれば、10年振りのPOも視野に入ります。当社
もひところは業績の伸び以上に配当を積み増す連続増配株でしたが、最近は業績
好調なわりには増配幅がショボくなってきており、株主還元よりも財務改善を優先さ
せる雰囲気が強くなってきています。大型MA案件“待ち伏せ”なのかもしれません。
(※一応、中間株主通信上ではいつもの期末増配を匂わす表現が複数存在します)
*参考記事① 2017-02-01 1,108円 ---
更なる買収には財務面強化が必要、イチネンホールディングス(9619)。
*参考記事② 2015-08-06 1,174円 ---
減配予想も85年記念復元配に期待、イチネンホールディングス(9619)。
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