複合カフェ踊り場で、引き続き株主還元に着目・AOKIホールディングス(8214)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8214】AOKIホールディングス(東証1部) ーーー

現在値 1,669円/100株 PER19.1 PBR1.02 3月配当優待 9月配当優待

紳士服専門店2位。複合カフェやカラオケ、結婚式場『アニヴェルセル』も。
配当は3月9月の年44円配当であり、配当利回りは2.64%となります。

AOKIホールディングスは株主優待制度を実施しており、3末9末に単元株を
保有する株主に対しAOKI・ORIHICAの20%割引券を5枚(他割引併用可)
やカラオケ・コートダジュール、複合カフェの快活CLUBの20%割引券を10
枚進呈しております。割引券のため優待利回りの算出はしませんが、さら
にこれと別にアニヴェルセルの10万円割引券も付いてきます。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 1,794億円、経常利益 208億円、EPS127.7円
■2015年3月期 売上高 1,838億円、経常利益 189億円、EPS107.4円 
■2016年3月期 売上高 1,885億円、経常利益 176億円、EPS127.7円
■2017年3月期 売上高 1,940億円、経常利益 138億円、EPS83.3円

■2018年3月期 売上高 2,005億円、経常利益 140億円、EPS87.1円 ce
□2017年9月中 売上高  856億円、経常利益 9.5億円、EPS1.8円(11/9)

2018年9月中間期の売上高は前年同期比3.7%増の856億円、経常利益は

同88.7%増の9.5億円となり、会社中間予想非開示のため比較はないものの、

概ね予算水準での落着とみられます。主力のファッション事業については、

前期までの改装(と改装に伴うセールの実施)によるロス分が良化したほか、

ブライダル事業も組数の減少に歯止めがかかりました。一方、これまでの

業績を牽引してきたエンタメ事業については、複合カフェを19店出店するも

出店による経費増と、想定超の人件費増でセグメント減益となっています。

 

なお、2018年3月期の通期予算も微妙に減額しており、売上高が前期比3.0%

増の1,998億円(従予:2,005億円)、経常利益は同0.8%増の140億円(従:UNCH)

と売上のみ修正しております。例年通り下期偏重決算となる見込みですが、

予算前提となる下期の既存店売上高はファッションで1.1%、複合カフェで1.9%

程度を見込んでいます。ファッション事業における可洗スーツといった新商品

投入による単価増や、ブライダル・複合カフェ事業においては、店舗修繕実施

による単価の回復・増加を目指します。ただ、開示されているファッション事業

の3Q単独期間の月次は前年割れしているため、やや厳しいかもしれません。

 

当社は時限の定めはないものの、中長期的な定量目標として営業利益率を

7.4→12.0%、ROEを5.1→10.0%、EPSを83.8→180円(矢印の前は直近実績値)

に設定しています。やはり中期的に成長の鍵となるのは、ファッション事業の

跡地等を活用した複合カフェ事業であり、今上期に19店を出店していますが、

通年では21店を出店する計画です(前期の出店数は52店)。「快活CLUB」と

いうブランドで運営しており、バリ島をイメージした上質な内装で女性客人気

が高く、同業と比べて非常に高い競争力を維持していますが、足許でバイト

の人件費が想定超で増加しているため、利益の伸びが鈍化してきています。
 

また、「コートダジュール」の屋号で展開するカラオケ事業についても、複合

カフェ同様に人件費高騰により今上期はセグメント赤字に転落しているため、

ここ数期のように、エンタメ系の事業で全社業績をカバーするのは構造的に

難しくなっているため、本業のファッションとブライダルの底入が待たれます。

ファッション事業では、同業のコナカが展開する「DIFFERENCE」という好調な

オーダー業態を意識してか、さらに高級なオーダー業態の展開も始めている

ようですが、今後の成長ドライバーとしてアテにするには未だ時期尚早です。

 

なお、株主還元については、配当性向を30%基準として定めており、断続的

に増配実施【15→17.5→22.5→33→36→40→43円→44円(予】しているほか、

これとは別に総還元性向を50%に定めており、前期末から今期3Qにかけて

約8.5億円の自社株買いを実行したため、今期の買付分のみを考慮すると、

現時点での総還元性向は55~60%に達しています。上述のとおり、本業の

回復が無い限り、中長期での成長シナリオは描きずらくなっているものの、

中長期目標に足許の倍近い数値のROEが盛り込まれているため、配当は

ともかく継続的な自社株買いの実施が期待される局面かと思います。また、

同業の青山商事が相変わらず自社株買いしまくっているのも支援材料です。


*参考記事① 2017-09-08 1,442円 ---

見た目よりも高還元な“漫喫銘柄”・AOKIホールディングス(8214)。

*参考記事② 2016-12-22 1,462円 ーーー

挙式苦戦も、還元志向は強まる。AOKIホールディングス(8214)。

 

 

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