すべてが市況次第も、100%還元水準に到達・日本取引所グループ(8697)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8697】日本取引所グループ (東証1部) --

現在値 1,991円/100株 PER25.3 PBR4.17  3月配当 株主優待

現物は東証、デリバティブは大阪に集約。商品先物取引吸収が課題。
配当金は3月9月・合計48円配当のため、配当利回りは2.41%となります。

日本取引所グループは株主優待制度を実施しており、3月末に100株以上

を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、

配当優待利回りは約2.91%となります(※3年間の継続保有により、段階制

で4,000円分まで増額されます)

業績を確認していきます、当社はIFRS採用となっています。  
■2014年3月期 営業収益 1,138億円、純利益 333億円、EPS 60.7円 
■2015年3月期 営業収益 1,064億円、純利益 344億円、EPS 62.7円 
■2016年3月期 営業収益 1,114億円、純利益 448億円、EPS 81.7円 
■2017年3月期 営業収益 1,078億円、純利益 423億円、EPS 77.0円 

■2018年3月期 営業収益 1,120億円、純利益 426億円、EPS 78.6円 ce
□2017年9月中 営業収益 553億円、純利益 220億円、EPS 40.7円 ce

2017年3月期の営業収益は前期比6.0%減の1,078億円、純利益は同6.2%

減の423億円となり、営業収益は予算比で下ブレ、利益は上ブレしました。

前年の取引が活況だった反動を受け、株券等の売買代金が3.4→3.0兆円

に減少したほか、デリバティブ取引高も連れて3.8→3.0億単位にまで落ち

込みました。新規上場数も88社を数えたものの、大型上場はLINEしかなく、

新規上場料も減少しました。他方、システムセンターの賃料削減といった

コスト削減効果の発現があり、利益の減少幅は想定を下回りました。

進行期である2018年3月期の予算については、営業収益が3.8%増の1,120

億円、純利益はほぼ変わらずの426億円を計画しております。この予算の

前提となる各種KPIは、株券等の売買代金を3.0→3.2兆円、デリバティブの

取引高を3.0→3.4億単位とし、反転を見込んでいます。この一方で、ETFや

デリバティブの広告費用、フィンテック・ブロックチェーンへの調査研究費用

が嵩むため、トップラインと比べると利益の伸びは緩慢となる見込みです。

 

今期は3年中計の中間年度であり、2019年3月期に営業収益1,230億円

(CAGR4%)、純利益480億円(CAGR6%)を目指しています。ETF(N)の普及や、

新指数の開発、新規上場数の増加、フィンテック等の新ドメインの開拓等、

いくつか取り組みがあるようですが、所詮は市況商売である点や公共性や

安定・安全性への取り組みにコストを割く必要が出てくるので、実現確度は

不透明と言えます(システム投資にも3年で460億円も投じる模様です)。


株主還元については、従前通りの配当性向60%基準を継続しており、今期

は1円増配の48円配当(61%)を見込んでいます。一応、中長期的にROE10%

を維持するということが公表されているため、年初からの半年間で160億円

(約2.9%)の自社株購入枠を設定し、実際に半年かけて買い切っています。

そのため、実質的な総還元性向は大よそ100%に達していると思われます。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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