鳩山玲人常務退任で、同族経営へ逆戻り・サンリオ(8136)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8136】サンリオ(東証1部) --

現在値 2,265円/100株 PER24.0 PBR3.98 3月配当優待 9月配当優待

ハローキティなどキャラクター商品の企画販売。ライセンスで利益。
配当金は年2回の合計80円のため、配当利回りは3.53%となります。

サンリオは株主優待制度を導入しており、3月末9月末の単元株以上
株主に対して、サンリオピューロランド等のパスポート引換券3枚や
自社
オリジナル製品・直営店2割引券などを進呈しておりますので、
おおむね
10%を超える配当優待利回りを確保出来ます。


業績から確認していきます。
■2013年3月期 売上高 742億円、経常利益 196億円 EPS 142円  
■2014年3月期 売上高 770億円、経常利益 201億円 EPS 145円
■2015年3月期 売上高 745億円、経常利益 185億円 EPS 146円
■2016年3月期 売上高 724億円、経常利益 131億円 EPS 131円 ce
■2017年3月期 売上高 726億円、経常利益 131億円 EPS 94.2円 ce修正
□2016年9月中 売上高 314億円、経常利益 37.2億円 EPS 44.8円(11/1) 

2016年9月中間期は売上高は前年同期比微11.3%減の314億円、経常利益
は同48.6%減
の37.2億円と期初計画を下回り、大幅な減収減益となりました。
海外事業は中国・香港の現地通貨建てでのみ堅調に推移したものの、他の
欧州ではベルギーのテロ影響による外出回避、米州ではディズニー商品と
の競争激化により、ロイヤリティの減少を中心に壊滅的な数字となりました。
また国内もインバウンド減により、既存店物販売上が94.2%に留まりました。


なお今2017年3月期通期予想も減額しており、売上高は前期比8.4%減となる
719→664億円、経常利益は同28.7%減の127→94億円にそれぞれ修正して
います。修正予算は上期の凹み分のみを反映しており、下期は前期以上に
回復するという想定(国内物販・既存店105%!)なので、会社予想はなお過大
気味ですが、通期の想定為替レートは$円107円、€円119円なので、足許の
円安まで考慮していくと、修正予算もかろうじて実現の目が残りそうです。

さて標題の通り、これまで当社のライセンス事業を育て上げてきた三菱商事
出身の鳩山玲人常務が6月に退任し、創業者である辻信太郎氏の孫である
辻朋邦氏(27)を役員に抜擢する人事を行い、同族経営を鮮明にしました。
本来であれば、鳩山氏とライセンス事業を推進した信太郎氏の長男でもある
故・辻邦彦氏が後継者となるはずでしたが、邦彦氏が急逝してしまったことで
鳩山氏は後ろ盾を失くし、結果的には当社を追われた格好になりました。
(※なお鳩山氏は、当社常務退任後、LINEの社外役員に就任しています。)

というわけで、長男の邦彦氏亡き後、
御年89になられる信太郎氏の後継者の
最有力候補と目されてきた鳩山氏が失脚してしまったため、今度は信太郎の
健康上のリスクや当社のガバナンスリスクを意識せざるを得ない状況になって
しまっています。せめて「ライセンス重視」路線に回帰してくれれば良かったの
ですが、信太郎氏は相変わらず「物販重視」路線を採ってしまっているため、
中期的には経営方針がブレる可能性が高い状況となっています。



*参考記事① 2015-07-12 3,265円 ---
創業55周年&ROE20%基準で更なる還元も、サンリオ(8136)のレビュー。

*参考記事 2014-12-14  3,125円  ---
前期から高水準の株主還元を開始、サンリオ(8136)の業績レビュー

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