新規IPOレビュー、バッグ製販のスタジオアタオ(3550)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

【3550】スタジオアタオ(東証マザーズ)  保留

現在値 3,570円/100株 PER26.5 PBR10.5 2月無配

オリジナルバッグ、財布等の企画および販売。
スタジオアタオは配当金の支払および株主優待制度はありません。

業績を確認していきます、当社は昨日11月29日付のIPO銘柄です。
■2013年6月期 売上高 5.59億円、経常利益 0.7億円 EPS 22.0円   
■2014年2月変 売上高 6.27億円、経常利益 1.3億円 EPS 41.0円 8m変
■2015年2月期 売上高 11.0億円、経常利益 1.7億円 EPS 58.7円  
■2016年2月期 売上高 19.4億円、経常利益 2.4億円 EPS 76.9円  
■2017年2月期 売上高 27.3億円、経常利益 4.3億円 EPS 140円 ce  
□2016年8月中 売上高 14.7億円、経常利益 3.2億円 EPS 106円(11/29)   

2016年8月中間期の売上高は対通期進捗率54.1%となる14.7億円、経常
利益は同75.1%となる3.2億円となりました。当社は今2Qから連結決算の
ため前年同期比比較がありませんが、通期予想に対して順調な進捗率
をマークしました。ただ入社・入学時期に販促費を投入して、1Qで大きく
刈り取る季節偏重性があるため、その辺りは多少割引く必要があります。

なお2017年2月期通期の予想は、売上高が前期比40.5%増の27.3億円、
経常利益が72.3%増の4.3億円とトップラインから4割の大幅増を見込ん
でいます。主力の"ATAO"が伸び盛りとなっているほか、育成中ブランド
である"IANNE""ROBERTA"も夫々伸長する見通しです。既述のとおり、
上期偏重傾向はあるものの、順調な業績進捗とXマスを残していること
を踏まえると、上場費用を相殺してなお上振れ余地があると考えており、
表記EPSは平準化しきれていない期中平均ですが、公募の希薄化分が
少ないことを考慮すると、EPS140円は概ね巡航の実力と推察されます。
(※オーバーアロットメント非考慮なので、少し落ちる可能性があります)

ちなみに成長説明資料には記述がありませんが、NKの記事によれば、
3~4年後の2020年2月期に売上高100億円、営業利益20億円超を目標
にしているとのことで、EC中心の伸びになるものと思われますが、リアル
店舗に関しても、年間2店ペースで出店していく模様です。

バッグ販売専業での上場というと実に久々であり、今から11年前に上場
したサマンサタバサ以来かと記憶していますが、バッグ発のブランドは他
アパレルと異なり、流行り廃りへの耐性が強く、一度ブランドが育って軌道
に乗ると、そう簡単には利益が落ちないという明確な特徴があります。
また、ブランド価値という観点からすると、当社もサマンサも同じ話ですが、
広告費を大量に使って認知度を上げている経緯があるため、将来的には
ブランド被買収の目もあります(サマンサも業績はアレですが、一般認知度
は高いので、同社の170億円という時価はそういう意味で安いと思われます)

今回はIPOなので株券需給に関してもレビューしますと、当社のEC業務を
担う旧筆頭株主の黒越誠治氏が自身の資産管理会社を含め、50%の当社
株を保有していましたが、うち30%を今回吐き出し、残りの20%はその他
主要株主ともども180日間のロックアップがかかっています。当社のEC販売
は基本的にこの黒越氏の広告会社に発注しており、前期は3億円近い販売
促進費と1億円の手数料を払っており、ズブズブの関係になっていますが、
まだ20%の株を残していることと、この費用の抑制で利益を調整出来ること
等を踏まえると、現時点で懸念要素とまでは言い切れないかと思われます。

どちらかというと11月29日に同時に上場した2社との資金の取り合いの方が
重要で、大方の予想通り即金規制入りしたエルテスが初値天井で終わるか
どうかがミソかと思われます。なお値段が付いたJMCとの比較は以下です。
 ■当社 29日売買代金68億円 (vs吸収額3.4回転 vs時価総額0.9回転)
 ■JMC 29日
売買代金56億円 (vs吸収額5.8回転 vs時価総額1.4回転)
初値騰落率は当社25.7%、JMC89.2%と過熱感でみるとJMCが上ですが、
JMCは3Dプリンター関連ですので、業種的に十分説明可能な範囲です。
初日売買代金は当社の方が上ですが、回転率を見るとかなり微妙であり、
やはりエルテスの初値次第かな・・・という感じです。

またIPOスケジュール的には7日のイントラスト・8日のグッドコムアセット迄
IPOがなく、両社は目新しい業種ではないので、14日のキャリアインデックス
までは本日上場した3社のどれかは「賞味期限」が残りそうな感じです。ZMP
への換金が意識され始めるこの1週間が大変重要になるかと思われます。
またレオス参戦のWASHが人気化している点は、やや割引要素となります。

会社四季報 2016年 4集秋号 [雑誌]

新品価格
¥2,060から
(2016/9/4 17:28時点)

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村