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no movie no life

・・・映画を見て思ったことをツラツラと。ネタバレです。

かなり昔に書いたのも。

「もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう」。
この夏に、昔にふっと戻りたくなるような懐かしさ。


田舎の空気感がたまらなく良い。山、海、田んぼ、学校、お祭り、方言・・・
だけど、田舎の息苦しさもある。町のみんなが自分のことを知ってる。同じ年の友人もいない。好きな服も買えない。中学2年の右田そよ(夏帆)はそれを当たり前のことと思っている。小さな世界の中で生きてゆくことを許容している。

そんなそよにとって、同じ年の転校生・広海(岡田将生)がやってきたのは、大事件だった。
特別に好きだと言う告白もなく、自然に付き合い出すふたり。ファーストキス、バレンタイン、修学旅行、・・・

しかし、広海が東京に戻ってしまうかもしれないと言うことが、大きな不安だった。
これからもふたりで歩いていけると思っていた未来が、ないかもしれないと思ったとき。
「ささいなことが急に輝いて見えてくる」。

好きな人と一緒に歩くこと、取れてしまったボタンをつけること・・・
小さなことに心を震わせたり、悩んだり。傷つきやすい繊細な心。小さな町だからこそ、人の思いを大切にする気持ち。


忘れていたもの、どこかに落としてきたものが、この映画の中にある。


嬉しいのは、一見冷たいように見える広海が、そよのことをとても大切に思ってること。


大きな事件が起きるわけでもない。
けれど、誰もが持っているあのころの感情を思い出し、優しい気持ちにさせる一作。


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怖くない・・・


東京。訪問介護でアメリカ人の家族を訪れた、交換留学生のカレン(サラ・ミッシェル・ゲラー)はその家で不可思議な体験をする。「何かがいるような気がする」・・・カレンは3年前にその家で起こった「事件」を追ってゆく。邦画「呪怨」のハリウッドバージョン。監督は同じく清水崇。


この度「呪祝 パンデミック」が公開されたので、第1作目はどんな感じなのかと観てみました。が・・・どうもこれは邦画の方を観なくちゃダメみたい?邦画も未見なんです。


やはり・・・怖くないんですね~これ。あの幽霊の出没の仕方もナンダかなあ。あんなに出まくっていいのでしょうか?幽霊の出方や殺し方に法則性がない。「場所に怨念が宿る」と言いながら、幽霊は出張しちゃってるし、人の殺され方も様々で筋が通ってない。ベッドに吸い込まれていって、その後はどうなったのよ?と思ってしまう。何がどうなれば終わりというゴールもない。単純に言えば、お化け屋敷のお化けが外にも出てって人を殺しまくる・・・と言うシーンがだらだら~~と続いて、ほとんどの人が死んで終わり、というのは・・・残念。


映画「リング」は凄く怖かったんですよ。
「あるビデオを見ると死ぬ」という都市伝説から始まって、タイムリミットを設定することで死への恐怖感がジリジリ迫ってきて、「貞子」の存在がどんどん明らかになる真相解明の面白さもある。人が死ぬのにも理屈が通ってるんですよね。だから「最後どうなるんだろう?」と言う求心力を最後まで持たせることが出来る。


この映画も、もうちょっとカヤコやトシオの怨念が具体的に出れば、怖かったと思うんだけど・・・カヤコの教授に対する情念も凄そうだし。「パンデミック」ではその「原因」が描かれてるのだろうか。


正直、この作品だけじゃ消化不良です~。


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死を願う元歌手と死刑囚。
ひとりでは受容できない苦しみが交錯して、いつしかふたりの魂が生へと向う。


元歌手のユジョン(イ・ナヨン)は、3回目の自殺未遂の後、シスターであり刑務所を慰問している伯母に連れられ、死刑囚ユンス(カン・ドンヨン)と出会う。3人の人間を殺した罪で服役していた彼は、ユジョンがかつて歌った「愛国歌」が忘れられないと語る。その後、ユジョンとユンスは毎週木曜日に面会することになるが・・・


人と人の間には、常に距離があって、障害もある。
でも、距離があるからこそ近づきたいと思うし、時として物理的な障害は実は障害でなかったりする。
ユンスの涙をガラス越しに手で拭ったユジョン、ガラスに映ったユジョンの写真を大切にしたユンスに思う。ガラスは障害ではなかった。手錠も、障害ではなかった。
魂が寄り添っていたから。
「本人」にはなれない距離があるからこそ、相手を尊重し苦しみに共感することが出来る。
そして、人生と同じように、大事なのは時間の「量」ではなく「中身」なのだ。・・・


この映画では、キリスト教の要素が色濃い。
人は罪深い生き物と言うのが前提にある。自分の罪を悔い、一方で他人の罪を赦す。決して簡単なことではないし、「人が変わるのは奇跡だ」。
自分が誰かを赦し苦しみを背負って生きることで、奇跡を願ったユジョン。
自分の娘を殺した犯人を、泣きながら赦した母親。
「神がいるならば。」
ベートーベンのピアノ曲に乗せて、人間の祈りが、重く切なく伝わってくる。


人はどれほど傷つかねばならないのだろうか・・・?
心が激しく震える作品。涙無くしては見れない。


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原作「私たちの幸せな時間(Our Happy Hours)」は、蓮池薫さんが日本語訳をつけています。
私の日記はこちら


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人間の心の深遠を覗くものは、向こうから覗かれることに注意しなければならない。・・・ミイラ取りがミイラになる危険性。


原題「THE FLOCK」。訳すと「群れ」ですね。なかなか邦題つけるのは難しそう。


2分に1回、快楽犯罪者が生まれているアメリカ・・・過去に性犯罪を犯した人間たちを監視する監察官・バベッジ(リチャード・ギア)は、仕事に没頭する孤独な毎日を送っていた。18年勤めた監察局の退職時期を間近に控え、彼は後任予定者のラウリー(クレア・デインズ)を教育することになる。ラウリーは強引で非人間的なバベッジのやり方に嫌悪感を抱いていたが、ある日少女の失踪事件が起きる。家出か、もしくは誘拐か。バベッジは誘拐と推測し、自分が監視している「群れ」の中に犯人がいるのではと捜査を始める。「インファナル・アフェア」3部作のアンドリュー・ラウ監督、初のハリウッド作品。


バベッジはある事件を契機に、この仕事に必要以上にのめりこみ、誰も人間を信じられなくなっていた。いつしか、犯罪者たちの作り出す異常な性癖や暴力に彼もいつしか足を踏み込んでいく。自分でも分かっていながら衝動を止められないバベッジ。このストーリーの焦点は、最初から最後まで「バベッジが犯人なのか?」というところにある。SWで言えば、彼はダークサイドに堕ちてしまったか否かということだ。


性犯罪というのは凄く厄介で、更生しようと努力する人間もいる一方、治らない性癖となるケースも多い。また、犯罪者も被害者であることがある。被害者と加害者の境目はあいまいで、結果的には「作られた犯罪者」となってしまう。監察官は信じては騙され、自分の人間性をもすり減らしてゆく。犯罪に限らず、他人の悩みや病いという陰の部分に接する人間は、常にこういった恐怖に晒されているのかもしれない。リチャード・ギアは、全く好感の持てない、偏屈で無愛想な主人公を巧く演じている。


しかし・・・ここで描かれている犯罪は猟奇的で凄惨であり、私は本当に目を背けてしまった。劇中のバベッジもさることながら、こういう映画を作ってる人たちも、その闇に堕ちないのかと不安になる。


性犯罪は、被害者の身体だけではなく心や人間性をも踏みにじる憎むべき犯罪だ。一生深い傷を負っていかねばならない人間の苦悩ははかり知れない。だけど現実には、起きてしまった事件の再発は防げても、未然に防止することは難しいんだよね・・・


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赤ワインが無性に飲みたくなる映画。


ロンドン在住のビジネスマン、マックス(ラッセル・クロウ)は仕事人間。ある日、フランス・プロヴァンスでぶどう園とシャトーを営んでいたおじのヘンリー(アルバート・フィニー)が亡くなったという知らせ受ける。子どものいないヘンリーの遺産相続人となったマックスは、ぶどう園を売却するつもりでプロヴァンスに赴くが、そこで美しく勝気な女性ファニー(マリオン・コティヤール)と出会う。リドリー・スコット監督。


偉大な芸術家たちも魅せられたプロヴァンス地方の風景に、美しく魅惑的な女性たち、おいしいワイン。アメリカ映画が「酒と泪と男と女」をテーマに作るならこんな映画かなと思う。しかも、思いっきり「オトコ目線」で作られてるね~。


しかし、この映画の主題は仕事人間の恋よりも、ワイン作りに魅せられた人間たちの物語なんだろう。
ぶどう栽培から始まる、気が遠くなるような作業工程があって、最高のワインが出来る。ワインは正直で、努力と時間を裏切らない。


その醍醐味を知っていたヘンリーおじさんは、ワインのように熟成された人間だった。器用な生き方ではないが、人にとって何が大切なのかを知っていた。休暇を取ることさえ忘れていたマックスは、少年だった自分を通して、そして人生を楽しむと言うことを思い出す。模倣品の喜びではなく、ホンモノの喜びを。


人には、こんな休暇が必要なんだな。それはまさに、非日常がもたらす贈りものなんだ。


しかし、ワインって、歴史がありますよね。最後の晩餐でイエスと弟子たちが食したのもパンとワインだし。ワインが出てくる映画といえば、刑事コロンボ「殺しのワイン」を思い出します。この映画でもワインを飲むシーンがたくさんあって、とにかくおいしそう。思わず帰りに買っちゃいましたわ。でも、朝にコーヒーを飲みたくなってるマックスの気持ちも分かるな。


少年時代のマックスを演じた美少年は、あのフレディ・ハイモア。大きくなったなあ!リュック・ベッソンの「アーサーとミニモイの不思議な国」にも主演で出ますね。楽しみ。


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