満開とプラスチックック -4ページ目

本当の歴史はどっちかな?

「俺っちがチビの頃にも長く続いたもんだが・・」
老人は酷く照り付けた窓から顔を背け呟いた。「第一・・夜が怖いなんてのはわしらがはるか昔の裸の時分からの伝え聞きだが、夜は眠るもんじゃろ?お前さんも、ずっとそうしてきたもんが夜を失う。何時となく試そうにも眠れ無いもんだよ。売れっ子の祈祷師なんかも目隠しして発狂したのを聞いた。あの時は朝が来ない国があって、大変だった。馬鹿な連中が銃器片手に朝は夜を夜は朝を求めて互いに奪いあった。」長く話して疲れたのか酒をグビッと入れて息をついた。
興味深いくだりだった。
「すると」私が言う
「歴史に見たが、その争いで私達は夜に負けたと言う事になりますね。未だ居座る夜国の残党は目は開いてるが眠っているとしか思えぬ怠けぶりだ。親父さん、原始人は夜を恐れたと言うが案外夜の国から襲ってくる敵を恐れたんじゃないですか?」
「それはお前、詩人にでも聞いてくれ」
先程から部屋と老人の臭いが鼻を暴れ狂う。私は「また、来ます」と部屋を後にしました。

追い越した時間の先には

笑顔を作る暇も無い、なんてよく言いますが、暇を見つける暇があったらその暇な間に笑顔より有意義な行為を、とばかりに読書にふけった男がいます。
この男の行為は結果「暇潰し」の域を越える事はありませんでした。
時間は常に一定の速度で私達を監視しています。時間に追われるのが嫌なら、私達は時間と同じ速度、もしくはそれ以上の速さで時間から逃げるしかありませんでした。預金を下ろした私が乗り込んだある定期行路便の機体には「タイマーウィン」時間の勝ちと刻まれていました。
半ば諦めめいたその巡航速度よりも、ガタガタといった振動は、「負けるのはわかっちゃいるがやめられぬ」戦中戦後の悲しい男達のブルースのように感じ、胸を打つものがありました。「生きている」大きな実感を得た小さな距離でした。

犯罪は明るい夜に起こる

被告人ならぬ被告星、罪人ならぬ罪星とはいささか意外であります。
「一体」
結果を知らされる側に立つ私にしてみれば事実の核心に能動的に参加し得る事に困難を極めるし、また私を積極的に参加させる程に他人は馬鹿ではありません。えてして忍耐が必要だそうで、無き者は知らされる事に敏感になる側に回る以外に無いそうです。「まず、職をあきらめ、次に従を辞め、最後に意を失うもんですよ。わたしなんかはついでに家も無くしておきましたがね」と言うのは無職の忍さん。
「しかし」と私が忍さんに問いかけた時はすでに深夜でありました。高校球児特有のひたむきさに内気な青年の持つ脂ぎった気恥ずかしさに似た太陽の光が空を支配していました。
嫌な照り、と記憶しました。