折れない男
俗に言われるガッツや、頑強であるとかは、無力で、煙草一本、レコード一枚、列車の一駅、に興じる間にも満たない小さな空間旅行の様に、贖罪と歓喜の入り混じった産声の様に、乾いた砂山が雨に打たれ精神と肉体との分離を始める静かな夏の午後の様に、悲しいものと思われます。
前後左右を何かに挟まれた男は息苦しさを覚えました。苦しさから逃れるために「空を飛ぶ事」を考えましたが、男には羽根がありません。少し慌てた男は
「空ヲ飛ベナイナラ下にモグールサ」と片言の日本語になっていました。
どことなしに、男の頬が紅潮したように思われます。しかし、私は知っていました。男や私にも大都会のコンクリートを掘り下げる逞しさも知恵も無い事を。まだ少し紅い頬の男は煙草に火をつけ、あごを軽くさすりました。
男を傍観する私の興味はここまでで、私は発売日の雑誌を買いに本屋へ急ぎました。
前後左右を何かに挟まれた男は息苦しさを覚えました。苦しさから逃れるために「空を飛ぶ事」を考えましたが、男には羽根がありません。少し慌てた男は
「空ヲ飛ベナイナラ下にモグールサ」と片言の日本語になっていました。
どことなしに、男の頬が紅潮したように思われます。しかし、私は知っていました。男や私にも大都会のコンクリートを掘り下げる逞しさも知恵も無い事を。まだ少し紅い頬の男は煙草に火をつけ、あごを軽くさすりました。
男を傍観する私の興味はここまでで、私は発売日の雑誌を買いに本屋へ急ぎました。
豚は夜明けを目指す
辺りが暗くて何も見えないのはあなたのせいじゃありませんよ。だがしかし、本当に何も見えないかね?おっほん。「見えない」という事を見たのでは無いのかな?えっへん。どうだね?
と、付き合いたての彼氏の様にこちらの様子を伺いながらジリジリアピールしてくるのは、近所の奇人です。飼っている豚の洗浄を「手洗いは面倒じゃ、文明に頼るわぃ」
と、豚を洗濯機にぶち込み回した揚げ句、脱水までを行ったそうです。聞いた話では「柔らか仕上げ」であったそうですが、豚にしてみるとこんなとんでも無い親父はザラにおらぬし「馬鹿ではないか」と思う他ありません。
私の生家の隣に実在したこの親父と豚、アニメの世界で夜明けを知らせるのは一番鶏、「コケコッコー」であるのに対し、私は「ブゥヒィ~」と鼻の詰まったいななきで暗い一日を始めたものです。ある休みの日に、珍しく上機嫌な親父に誘われ食べた焼肉は子供ながらに旨かったと記憶にあります。
思い出はここまでで、私は今、トイレに行こうかそのまま寝ようかを迷っている最中なのです
と、付き合いたての彼氏の様にこちらの様子を伺いながらジリジリアピールしてくるのは、近所の奇人です。飼っている豚の洗浄を「手洗いは面倒じゃ、文明に頼るわぃ」
と、豚を洗濯機にぶち込み回した揚げ句、脱水までを行ったそうです。聞いた話では「柔らか仕上げ」であったそうですが、豚にしてみるとこんなとんでも無い親父はザラにおらぬし「馬鹿ではないか」と思う他ありません。
私の生家の隣に実在したこの親父と豚、アニメの世界で夜明けを知らせるのは一番鶏、「コケコッコー」であるのに対し、私は「ブゥヒィ~」と鼻の詰まったいななきで暗い一日を始めたものです。ある休みの日に、珍しく上機嫌な親父に誘われ食べた焼肉は子供ながらに旨かったと記憶にあります。
思い出はここまでで、私は今、トイレに行こうかそのまま寝ようかを迷っている最中なのです
短篇詩
指導者が眠るなら
オレンジを食べよう
夢を丘の上に置いたから
靴を脱いだらオレ ンジを食べよう
粘土で作ったオレンジは
僕には必要無いものだ
明日が彼女の誕生日
カゴ一杯のオレンジも
家出した猫には
何も与えない
汽車の煙はいつも海へ
汽車の行く隣街の反対へ
オレンジを食べよう
夢を丘の上に置いたから
靴を脱いだらオレ ンジを食べよう
粘土で作ったオレンジは
僕には必要無いものだ
明日が彼女の誕生日
カゴ一杯のオレンジも
家出した猫には
何も与えない
汽車の煙はいつも海へ
汽車の行く隣街の反対へ