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構造塾のブログ

木造住宅の耐震に関する情報発信
構造塾のこと、日々考えていることなど

日本人は世界の中でも思いやりのある国民と言われています。

多分、多くの日本人もそう認識していると思います。

でも、本当にそうなのでしょうか?

 

例えば、優先席。

電車やバスなのに優先席があります。

思いやりのある国民ならば、優先席などなくても席を譲るはず。

 

しかし、

見方によっては優先性がないと譲らないのかもしれません。

 

そこで、思ったことは、

思いやりのバランスが悪いのではないか?ということです。

 

本来、思いやりは誰にでも平等であってほしいところですが、

日本人は思いやりのバランスが変動(偏り)しやすいように見えます。

 

例えば、

住宅業界で見える思いやりの偏りは法改正で現れます。

地球環境を考え、木造住宅の断熱化を進めよう。

住む人の健康、無駄なエネルギーロスを考え、木造住宅の断熱化を進めよう。

冷静に考えると反対する余地はありません。

他の国を見ると断熱化による住宅の断熱化は当たり前のものとして基準があります。

 

しかし、

先進国である日本には、人が住む木造住宅に対する断熱の基準が法律で定められていません。

ようやく2025年4月に最低基準の断熱性能が義務化されるレベルなのです。

 

ではなぜ、こんな状況なのか?

ここには思いやりの偏りが影響していると思います。

 

客観的に、地球環境を考え温暖化防止などの観点から、

無駄なエネルギーを消費しないように木造住宅の断熱化を行うことは、

未来の世代にとっても重要なことです。

 

また、

現在の人にとっても、木造住宅の断熱化により、住宅内の温度差が減り、

エネルギーロスもなくなる。

良い事だらけです。

 

断熱化による工事費アップがあるのでは?

そう、工事費はアップしますが、その分、日々の光熱費が下がり、

結果的に断熱化により快適かつ安価になります。

 

そこで、

木造住宅の断熱化に関する法改正が進むと出てくるのが反対派です。

反対派の意見を聞くことも大切なことですが、

断熱化に関する反対派の多くは、断熱化に対応できないという後ろ向きの反対をしてきます。

いわゆるアップデート出来ないことを堂々と主張してくるのです。

 

これはも、

地球環境も、未来の世代も、今住む人も完全に無視した、

他者への思いやりゼロの考えです。

 

それに加え、

この思いやりゼロの反対派が目の前で「法改正は困る」と泣きつくと、

目の前の反対派に思いやりが100%発動し、法改正をやめてしまう。

こんなことが何度も起きています。

 

かなり憶測かもしれませんが、まんざらありえない話ではないと思っています。

 

この、思いやりの偏り、これが日本を発展させない要因なのではと、日々考えています。

構造計算を覚える上で困ったことが3つありました。

1つ目は、セミナー、講習会に参加しても難しくて理解できない。

2つ目は、構造を相談する人、構造を聞ける人が身近にいない。

3つ目は、構造に関する本が難しくて理解できない。

 

構造計算の勉強を始めたころ、構造に関するセミナー、講習会にいくつも参加しましたが、

講師の話している内容が難しくて理解できない・・・。

そこで、構造の初級セミナーを見つけ参加しました。

すると、講師は同じ方で、初級セミナーはわかりやすく話してくれると思いきや、

全く初心者向けに話すわけでもなく、やはり理解不能。

 

初級セミナーということで恐る恐る質問をしてみると

「そんな初歩的なことは勉強してから来なさい」という衝撃の回答!

その初歩的なことを学びに来ているのに・・・。

 

これに近いことが他の講師でも何度もありました。

そこで思ったことは、構造計算を教える気がないのだということでした。

 

次に最も困ったことは、構造を相談する人、

構造を聞ける人が身近にいないということです。

 

木造住宅業界では、構造計算を行う人はほぼ存在していません。

ある日、

勇気を振り絞ってセミナー講師に連絡して構造のことを聞いてみましたが、

とても嫌がられました。

 

最後は構造に関する本が難しくて理解できないことです。

ただでさえ本を読むのが不得意なのに、構造の本は難しすぎる・・・。

構造計算の手法の難しさの手前で、漢字が読めない、日本語が読解できないレベルです。

どうしてこんなに難しく書くのかと、思う日々でした。

 

こんな状況で構造計算を覚えていきました。

当然、かなり時間がかかりました。

 

そこで、

多くの方に構造計算をもっと早く効率よく覚えていただけるよう

困った3つの解決を考えました。

1つ目は、セミナー、講習会に参加しても難しくて理解できない。

ここは「構造塾」の立ち上げです。徹底的にわかりやすさを追求しています。

2つ目は、構造を相談する人、構造を聞ける人が身近にいない。

ここは「構造塾」で相談窓口をつくりました。

3つ目は、構造に関する本が難しくて理解できない。

ここは、本が苦手な人でも読める(であろう)本を書きました。

難しい話をするセミナー講師と会話すると理解できるという気づきから、

会話形式の構造本を書きました。

 

構造計算を勉強し始めた自分に伝えるべく、これら3つのことを続けています。

構造計算は難しくありません。構造計算の難しさは、難しい伝え方が原因なのです。

 

ぜひ、構造計算を勉強してみてください!

「経験と勘」という言葉があります。

とても良い言葉ですが、木造住宅業界ではネガティブに捉えられる場合があります。

 

例えば、現場で施工を行う大工さんが「経験と勘」という言葉を発します。

家造りの経験豊富な大工さんは、当然、勘も働きだします。

現場施工の経験のない者からすると羨ましい限りです。

 

しかし、

この経験と勘でマウントを取ってくる方も多いことも事実です。

設計業務は机上の作業、現場施工でできない者が家造りを語るな!とか、俺たちが施工しなかったら家はできないんだ!など、「現場施工できる者が偉い」と言わんばかりのマウントです。

 

家造りは、設計と施工がセットです。設計があるから施工ができる、施工があるから設計が形になるのです。

設計側からすると現場施工する方にはリスペクトしかありません。

 

しかし設計者の中には設計者が偉いというマウントを取る方もいますから、

ここはお互い様のかもしれません・・・。

 

「経験と勘」という言葉で、最も気になることは、勉強不要と捉えられてしまうことです。

構造計算を行っても「経験と勘が構造計算より重要」という思い込みです。

 

確かに、梁の断面設計では、構造計算の設定次第で過小設計になる場合もあります。

構造計算ではOKでも、たわみや振動の原因になるほどの小さな梁断面が出てくるのも事実です。

ここに関しては、

大工さんの経験と勘は素晴らしく、過小設計の構造計算結果による梁伏図を見た瞬間に「この梁は小さい」と指摘してきます。

 

数多くの施工経験からこの梁スパンの場合はこの程度の梁断面、この梁には柱が載っているからこの程度の断面。

ここは見事なものです。

 

事実、構造計算経験を重ね梁断面の設定を厳し目に見直していくと、

大工さんの言う梁断面が最適という結果が出てきます。

 

しかし、

耐震性能に関しては慎重に考えてください。

構造計算により耐震性能の設計を行った結果に対して大工さんに、過剰設計と言われたことも多々あります。

耐震に関しても「経験と勘」で語ってくるのです。

ここはちょっと違います。

 

梁断面に関する経験と勘は、常時作用する「鉛直荷重」に対する経験なので、かなり正確に「勘」が働きます。

 

しかし、

耐震に関する経験は、大地震を何度も経験しない限りは培われません。

よって、

「勘」も正しく働きません。大工さんの言う耐震に関する経験は「施工経験」なのです。

筋かいを設置した施工経験、面材耐力壁の面材を張った施工経験、柱頭柱脚にホールダウン金物を設置した施工経験などです。

耐震に関する設計は、この建物にはどれだけの地震力が作用するのか、そのためには、どれだけの耐力壁がどこに必要なのか、そしてどの柱にどれだけの引き抜き力が発生するのかなど、構造計算を数多くやるという「経験」が必要で、そこから「勘」が働きます。

 

施工に関する「経験と勘」は鉛直荷重だけと考えてください。