2018年2月23日の記憶 | 俳茶居

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       煌々と唐十郎の夏帽子 (呑亀〉

2018年2月23日の記憶

硝子の内裏雛

 

 人は忘れやすい。金子兜太が逝き、大杉漣が旅立ったこの年の事も、遠い日の記憶となる。彼らが物故した時、この国の権力者は、新たな攻撃の牙を労働者へ向けていた。私はそのことを記録し記憶とする。

 

1986年、非正規労働者を急増させて行くことになった「労働者派遣法」が施行されて30年を超えた。厚労省調べで2017年の非正規労働者の割合は全体の37.3%となっている。30年でこの国の労働環境は非正規労働者の低賃金、格差社会化を固定化させた。そして現在国会で議論が続く裁量労働制の拡大の問題は、正規・非正規を問わずみなし残業時間の対象者を広げ、一定の残業代で、際限のない長時間労働を強要しても経営者の責任を問われない制度が強化される。結果、労働時間に関係なく賃金を固定化する労働者を大幅に増加させることとなる。政府は一方で経営者に3%の賃上げ要請を景気よくぶち上げてるが、その見返りに今回の裁量労働制の拡大を用意したと言っても過言ではない。労働者の権利が雇用する側に侵害され続ける日本。それらを担保していた労働関連法は、次々に死文化されてしまった。400万人とも言われる国民年金未払い(未加入含む)者の中、裁量労働制拡大は、過労死の温床が更に増えることを意味する。間違いだらけのデータを基に作り上げられた法案は明確に白紙に戻されなければならない。          

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