朝5時に電話が鳴って、目が覚めた。
…このくだりはもう向こうで書いてたか。
3日目、
荷物をホテルに預けるのが不安になったので、
テルミニ駅の荷物預かり所へ預けることにした。
預かり所まで結構歩かされる。
しかも案内にしたがって着いた場所で、預ける場所が分かりにくい。
パーティションで仕切られた奥まったとこまでずんずん進んでいって、
パソコンの前に座っているひとに、ここで荷物を預けるのか聞いたら、
ベルトコンベアに荷物を載せればいいということで、そうする。
その後スーツケースにタグを貼られて引換券を受け取った。
さて、あらためて出発。
朝のテルミニ駅だ。
出勤の人たちを横目に見ながら歩く。
学校へ連れて行くのか、子供を急かすお母さんなんかがいて、
休暇中でぶらぶらしてる自分が、なんだか違う世界の人間に思える。
わりと、30分くらい歩いただろうか、
細い道なんかに迷い込んだりしながら、
トレビの泉に着いた。
ええっと。。
ここは噴水のはずなんだけど、水が出てない。
しかも柵で囲ってあって、まだ泉に近づけないみたいだ。
まだ人も少なく、彼らも待ちぼうけだ。
そこへおじさんが登場。
なんかごそごそすると水が流れ始めた。
さっきまで静かだったのに、ドドドドドと、結構大きな音が響き渡る。
しばらく眺めたが、なかなか柵が開かれそうにないので、
バチカン美術館に急ぐことにした。
その道すがら。
大きな橋を渡る。
橋って。なんかいい。
広告の上にある時計。
ローマにいると、いたるところにみられる。
でも、たいがい時間があってない。
最初、自分の時計が間違ってるのかと不安になったりしたもんだ。
ずれた時計を掲げた広告の主がなんか信用できないのは、日本人である僕だけだろうか。
ガソリンスタンド。
道端にあって、セルフサービス。
スタンドの体をなしてないけど、省スペースでいいね。
そうこうしているうちにバチカンが見えてきた。
近づくにつれ、その塀の高さに驚く。
美術館への列に並んだら、どうもツアーの団体客に紛れ込んだみたいだ。
どうやら韓国人らしい。
居心地は悪いが、違和感はなさそうだ。
物売りが近づいてくるが、周りの彼らが相手してくれる。
意外と早く列は進んで、30分もすれば入り口に着いた。
切符窓口で、
ウン ビリエッタ ペルファボーレ をここでも使うが、
「One?」と聞かれる。
せっかくイタリア語でしゃべったつもりなのに。。
屈辱だ。
内部はあまりにも広すぎる。
一応日本で美術館内の地図を印刷してきたので、それを片手にポイントを回る。
やっぱり、彫刻は素晴らしいものが多い。
これはラオコーンの脇にあったものだが、
首、腕、頭、足がもげていてもこの堂々たるたたずまい。
なかにはこんなユーモラスなものも。
あるところから、しきりにシスティーナ礼拝堂までの案内板が出はじめる。
もうすぐなのかなと思っていると、まだまだで、何度もこの表示がでるので次第にうんざり。
見どころを「このあとすぐ!」てあおっておいて、なかなか始まらないスポーツ中継みたいだ。
幾多の展示を通り抜け、やがてその礼拝堂にたどり着く。
やはり、システィーナ礼拝堂の空間は息をのむものだった。
ここに来るまでも、天井いっぱいに絵画が描かれる空間がたくさんあり、
こうなると、システィーナ礼拝堂の天井画なんかもそれほど特別なものじゃないんじゃないか、
と思ってしまっていたが、
まず規模が全然違うし、中に入ったときの息苦しさと言うか、教会独特の雰囲気が強く感じられる。
ここは撮影禁止。
カメラを掲げる観光客には、係員が厳しく注意していた。
さて、美術館内には現代美術の展示なんかもあり。
でもテーマはどれも宗教的なものなのかな。
表現手段やスタイルが次第に豊富になってきて、
時代の変遷みたいなものを感じられる。
ほとんど最後あたりの廊下に、地球儀や天球儀を展示したスペースがあった。
地球儀好きとして、興味津々。
そんなこんなで約3時間、駆け足でまわって出口付近に到着。
ここで昼食。
館内のセルフサービスレストランでパニーノとペプシコーラを注文。
これからの動きを考えながら、ちょっと一息。
パニーノはトマトとシーチキンをはさんだだけなものだが、
昨日食べたのよりもパンがうまい。
これからサンピエトロ大聖堂に向かうことにする。
なんかシスティーナ礼拝堂から聖堂に入る近道があったようだが、
結局よく分からず出てきてしまったので、外からまわることにする。
うろうろしてたら、乗り物博物館みたいな所に出て、
うっかり入ってしまった。
しょうもなかった。
こんどこそ美術館を出口に向かう。
素敵な螺旋階段。というか坂。
外に出ると、入り口の見えるところに出てきた。
もうほとんど並んでないみたいだ。
塀に沿って南に回りこみ、サンピエトロ広場に向かう。
途中で、来るときは全然いなかった露天商のお兄ちゃんたちに声を掛けられる。
なんて言ってるのかわかんないけど、プラダのバックを売ってるみたいだ。
サンピエトロ広場に到着。
すげえ広い。
広場の端から端まで歩くだけで大変だ。
広場の北側に聖堂へ入るためであろう列ができていたので、そこに並んでみる。
また20分ほど並んで大聖堂の中へ。
なんともまた高い天井。
ずっと上を向きっぱなしで首が痛くなる。
そしてミケランジェロのピエタ。
いくつもの巨大な彫刻が壁を飾り、それらをやすやすと包み込む空間の中に居ると、
なんだか人間がとても小さく思える。
次第に心がすーっとしてきた。
外はからっからに暑いのに、中はひんやりとしていて、
それがまた居心地を良くさせるのかもしれない。
ひとしきり堪能して、外に出ようと思ったら、まだもう2つ列を発見。
案内板を見るに、クーポラへの列と、ポープへの列だ。
クーポラってのはこの大聖堂のことだよな。
ポープって日本語でなんだっけ。
景色が眺められるのは聖堂の上からだってことは知っていたので、クーポラの列に並ぶことにする。
この時点で午後2時。
3時にはテルミニ駅にいたかったけど、3時半に着くくらいなら大丈夫だろう。
このさい聖堂の上まで登ってみよう。
クーポラの列は長かったが、ポープの列は空いていたので、
後ろに来る人たちはそっちの空いている列の方にどんどん吸い込まれていき、
そして間違いに気付いたのか戻ってくる人が多い。
こっちで思うのは、正しいかどうか分からずに並んでみたりする人のなんて多いことか。
案内板なり見たらすぐ分かることなのに。
ところが、これが大きな焦りの元になった。
このクーポラへの行列でやたら待たされたのだ。
いままで並んだ行列はけっこうなスピードで進んでいたので、
今回も30分も並ばずに入れるだろうと思っていたら、
どうやら最終的にエレベーターに続いているらしく、なかなか前に進まない。
しかも結構な長い道のりだ。
30分近く並んだ所で、戻るかどうしようか考えたものの、
せっかくここまで来たので、
あと15分待ってエレベーターにたどり着けなかったら戻ることにしようと考える。
そしたら列は後戻りできないような狭い通路に入りだす。
このときは本当にやばいと思った。
そして15分後、ようやく聖堂へのチケット売り場に着いた。
エレベーター利用が7ユーロで、徒歩が5ユーロ。とのこと。
先を見るにエレベーター待ちの長い列が続いている。
よって徒歩チケットを購入。
あんまり徒歩で行く人は少ないのか、もぎりの人に驚かれるが、
エレベーターの列の横を進めと言われ、ずんずん歩いていく。
エレベータ待ちの行列を横目に進むと、上へと続く入り口に到着。
そして、長いらせん階段を早歩きだ。
ちょっと甘くみてた。
相当長いぞこれは。
そのうちに汗がでて、息も上がってくる。
10分くらい駆け足で登ったら、踊り場的なところに着いた。
大聖堂の中が上から見える。
そして外に出た。
ここでエレベーターと合流。
外の風が気持ちいい。
さらに階段を登る。
きゅうきゅうだよ。
そしてついに頂上へ着いた。
溢れんばかりの人でごった返しているが、
風が涼しく、さっきまで密室のような階段を登ってきた者にとっては天国のような場所だ。
あれだけ大きな広場も、ちぃっちゃく見えるし。
ここからテルミニ駅までジャンプできないだろうか。
…風景に見とれてる場合ではなかった。
今3時を少しまわったところ。
4時5分発のESIに乗り遅れたら、けっこうする切符代がぱあだ。
それに、あらためて特急列車の切符を買える自信はないぞ。
フィレンツェ着が遅れるのも困るしな。
よって、乗り遅れは絶対に避けたい。
景色に見とれるのもそこそこに、人の波をかき分けながら降りる階段を探す。
階段を下りると、さっきのような踊り場的場所。
来たときの場所より広くて、なんかお土産をうっているところがある。
ここでおかんのお土産買おうかしらん。
おかんは熱心なクリスチャンであることだし、バチカンの大聖堂で買ったものと言えば喜ぶだろう。
時間は無いが、急いで探せばまだ大丈夫。
そんなわけで、ざあっと探すも微妙な感じだ。
十字架やロザリオ、ポストカードなど、何がいいのか判断がつきかねる品揃えなんだが、
とにかくキーホルダーを買った。
愛想の無いシスターから商品を受け取ると、急いで降りる道を探す。
帰りはエレベーターを使えるみたいだ。
あっという間に地上へ到着。
さっきあれだけ息せき切ってのぼったのに。。
さらばバチカン。
いまさっきまで頂上に居た大聖堂を背にし、広場をおおまたで横切る。
ここからテルミニ駅までタクシーも考えたが、渋滞でやきもきするのもいやなので、
地下鉄で行くことに。
オッタヴィアーノ駅へ早足で向かう。
のんびりした観光客ばかりの街の中で、
こんなに急いでいるのは僕と大きな荷物を抱えた黒人の人達だけだ。
彼らは路上販売をしていて、警察か何かが来たのだろう。
集団で逃げるように移動している。
地下鉄の駅はすぐ見つかった。
構内で券売機を探すも見当たらないので窓口に行く。
なぜか誰も並んでない窓口に行くと、
なんと中のお姉ちゃんがケータイで電話してる。
1ユーロを半ば投げるように渡すと、切符をこっちに滑らせてきた。
急いでいたものの、初めての地下鉄乗車だ。
刻印はどこでするのかなと観察してると、
どうやら自動改札みたいになってて、そこで打刻するらしい。
日本のとは違い、差し入れた切符はその場で出てきて、ゲートが開く仕組みだ。
テルミニ駅に向かうことを確認してホームに入ると、ちょうど電車が来た。
電車に乗って一息。15:18だ。
ちょうど15分前にはクーポラのてっぺんにいたんだなあと不思議な気分。
イタリアの電車は今どこに居るのか分からないという噂だったが、
地下鉄に関して言えば、
ホームに着いたらアナウンスがあるし、車内の電光掲示板にも次の到着駅が表示される。
思っていたより近代的で安心した。
車内もきれいだし。
テルミニ駅に到着。15:30。
すばらしい。予定通りだ。
でも列車のホームや運行ぐあいを確認するまでは安心できない。
まずは預けた荷物を取りに行くことに。
その途中にトイレを発見。
いまのうちにいっとくか、と思って入ったら、ここにも自動改札が。
なんだこれ。
そういえばイタリアではトイレにもチップがいるらしいことを思い出した。
自動改札を良く見ると、コイン投入口があって、0.70ユーロと書いてある。
ちょうど0.50と0.20コインがあったので入れると、中に入れるようになった。
いやあ、いろんな所に罠を仕掛けてくれるな。この国は。
そのトイレはけしてきれいなわけでもなく、
むしろいままでイタリアで使ってきた中でばっちい方だ。
とにかく、荷物を受け取りに。
精算所に引き換えチケットを見せて精算。
朝8時から預けて15時半に回収したら、5.60ユーロ。
けっこうするが仕方ない。
ホテルのロビーにほったらかしにされて不安な日々を送ると思えばまだましだ。
だがイタリアの罠はここでも訪れた。
精算所のお兄ちゃんが、荷物番号らしきものを奥に叫ぶと、
奥にいたおじさんがごそごそと探し、赤いスーツケースを取り上げた。
あ、それだ。
おじさんはそのスーツケースを台車にのせる。
持ってきてくれるのかと思ったら、
ぼーっと突っ立ってる。
何してんねん、はよ持ってきーさ。
ふと横を見ると、僕と同じように荷物が来るのを待っている人達がいる。
で、台車には僕のを含めいくつかスーツケースが乗ってる。
そうか、ある程度台車がいっぱいになるまでこっちに持ってこない気だな。
たいした距離でもないのにお客さんごとに持ち運ぶのがいやだなんて、
なんてめんどくさがりなんだ。
精算所には僕の後ろに並んでいた家族連れがいて、精算中。
彼らの荷物を台車に載せたら持って来てくれよと、
祈る思いで待つ。
家族連れの荷物を載せ、おじさんはようやく台車を押してきた。
自分の荷物を受け取り、すぐにホームへ向かう。
テルミニ駅のホームは多い。29番まであるとか。
電光掲示板で、乗るべき電車の到着ホームを探す。
あった、あった。
出発時間と列車の番号は切符と合ってる。
なんだやっぱりESIはエウロスターじゃないか。
まだ時間がありそうなので、
売店に行って水を買いに行く。
で、指定のホームへ。
電車はすでに入っていた。
よっしゃ。次はフィレンツェだ。
電車を目の前にしてテンションが上がってきた。
さっきまで時間に追われてたのがウソみたいだ。
そして自分の指定席をさがす。
6号車の11番。
えーっと6号車は、、
なんかずっと2号車が続いてるぞ。
と思ったら、どうやら車両の横に書いてある「2」の数字は級数ぽい。
そういや1級と2級があるんだね。
号車ナンバーはドアに書いてある数字であることが分かった。
6号車を見つけ、中に入ると意外にも広いし、きれいだ。
まさに新幹線と言っていいんじゃなかろうか。
11番の席は、一人がけだった。
他は普通に2列シートなのに。
後日乗るフィレンツェ-ミラノの席もESIの6号車11番なので、
全く同じなのは変だなと思っていたが、
ひょっとしたら指定席の予約してくれたファイブスタークラブの人が気を利かせて、
1人で座れる席を取ってくれたのかもしんない。
そうして、出発時間どおりに列車は走り始めた。
後ろ向きに。