ミラノ3日目。
この日は、ミラノから少し足を伸ばして、
スイスのロカルノという街に行く予定にしていた。
まずミラノからドモドッソラというところへ行き、そこからロカルノへ。
なんでそんな所に行くことにしたのかといえば、
ドモドッソラとロカルノを結ぶ鉄道、『チェントバリ渓谷鉄道』。
これがイタリアとスイスの国境付近のアルプスを縫って走っていて、
車窓からの眺めが絶景らしいということなのだ。
そういうわけで、ミラノからドモドッソラへの電車の予約はFSのホームページから済ましておいた。
そして、メールで送られてきた予約票を印刷して持ってきた。
帰りは何時になるかわからないし、その場で買おうと判断。
席をとった電車は、朝8時半頃出発のEC。
朝食もそこそこに、チェントラーレ駅へ向かう。
そういえば朝食の席で、隣のテーブルに日本からきたおばさん2人組が座っていた。
ボローニャに行ってきて、今日日本に帰るらしい。
そのボローニャをとても勧められた。
昨日までここでミラノサローネってのがやってたんですけど、どこか立ち寄りました?
と聞いたら、何それって感じだ。
確かにチェントラーレ付近にはそんな気配が一切なかったものね。
さあ、また列車の旅だ。
ホームは1番線。
見当たらなくて焦る。4番からしかないじゃん。
そしたらすんごい奥のほうにあった。乗り込んだのはギリギリの時間だ。
このECも後ろ向きに走るが、もう慣れたわ。
やがて進行方向右手、自分から向かって左手に湖が見えてきた。
マッジョーレ湖だ。
大きな湖の中に、島がいくつも散らばっているのが見える。
ここも有名な観光地になっているらしい。
そしてこの旅の目的地、ロカルノはこの湖の北端に面した街だ。
電車はだんだんと高度をあげて走っているみたい。
気付いたら周りは山に囲まれ、そこに見えるのは雲か?
曇っていた天気も、徐々に青空に変わりはじめる。
朝の日差しが山を照らし始めた。
そして1時間半で電車はドモドッソラに着いた。
降りたら、めちゃくちゃ寒い。
そりゃ、みんなコートを着てるわけだわ。
チェントバリっていう標識を発見。
あっちへ行くんだな。
しばし歩いて、なぜか地下へ。
ホームは地下にあるらしい。
地下におりてすぐにチケット売り場を見つけた。
おじさんが、なんか話しかけてくる。
いつものとおり、ソーリー?と聞き返したが、それでもイタリア語でしゃべってくる。
む、英語ダメか。
ロカルノ行って、帰ってくるチケットが欲しい。ということを単語と身振りで伝える。
理解してもらえたのか、時刻表とパンフレットをくれた。
時刻表を指差し、次は11時何分の電車だと教えてくれる。
げ、あと2時間近くあんじゃん。
切符代は往復で21ユーロ。
でも電卓を出して、22.5ユーロ払えと言う。
そして窓口にある表記の英語部分を指差す。
どうも、旅程ごとに1.50ユーロ必要とのこと。
ふーん。良くわからんが、払いますとも。
とにかく切符もゲットして、出発時間も分かった。
おじさんありがと、グラツェ ミッレ!
時間もあるので、ドモドッソラの街へ繰り出す。
というか本気で寒くなってきたので、防寒着を探したい。
ここでこの寒さなら、ロカルノはスイスだぞ。もっと冬のように寒いに違いない。
でもドモドッソラは意外と普通の街で安心した。
何も無いとこだったらどうしようかと思った。
広場的なとこもある。
でも旅行者は少ないのか、カメラを構えてたら不思議そうな顔をされた。
そして、ローマでもフィレンツェでもミラノでも感じたことの無い視線を感じる。
東洋人が珍しいのか?
通り過ぎる人がじろじろ見ていく。
ぶらぶらしてると、割と大きめな雑貨屋を発見。
衣料品もあり、日用雑貨もあり、インテリアもあり、おもちゃもありの素敵な店だ。
おもちゃ売り場の色彩がまぶしい。
ここで大きいマフラーを購入。首が暖かかったらなんとかならあな。
このマフラーけっこう渋くていい色柄だ。イタリアではこういうのすぐ見つかる所がいいな。
ついでに下着も買った。
ついでに単3乾電池も買った。
電池は地下の階に売ってたんだけど、レジに人がいなくて焦る。
どうも1階でまとめて精算らしい。
言葉がわからないとこういうローカルルールが厄介だなあ。
いい時間になったので、チェントバリ鉄道の駅へ。
ちょっと早めに着いたが、列車はすでに止まっていた。
扉が閉まっていてひるむが、扉付近のボタンをおしたら開いた。
けっこう近代的な車両でびっくり。
もっと古臭いがたがたの鉄道かと思ってた。
しかも乗ってくる人が結構多くてそれにもびっくり。
もうちょっと遅かったら窓際に座れなかったわ。
この鉄道は観光のスポットととしてわりと知られてるのかもしんない。
そりゃ、日本人がわざわざ来るくらいだから当然か。
そして走り出した。
窓の外に広がるのは想像以上の光景。
なんですか、この緑は、山は、空は。
文字通りアルプスって雰囲気。
ハイジでも呼ぼうか。
たまに遭遇する教会もいいね。
下を見ると目がくらむような橋の上を渡ったりもする。
やがて国境を越え、イタリアからスイスへ。
ここでパスポートのチェックがあった。見せるだけだけど。
ここまで来るとさっきまでの牧歌的な風景は無くなり、わりと開けた感じ。
そして終点ロカルノに到着。
90分の車中、ずっと窓にかじり付いてて、おなかいっぱいになりました。
ロカルノ。ん、寒くないぞ。
むしろ暑い。
夏かここは。
あのマフラーどうしてくれる。
にしても、ロカルノはもっと寂れた所かと思ってたら、意外に人が多い。
まさに観光地って感じで、バカンス満喫の人たちで溢れてる。
へー、ロープウェーもあるんだ。面白そう、いくらだろ?
と思ってみたら、お金の単位が違ってた。
スイスフランだ。
げ、持ってないや。
でもユーロくらい使えるだろうな。
でもせっかくだしスイスフランおろしてみよう。
ということで銀行を探す。
駅からすぐに湖畔に着いた。
そして、船着場も発見。
事前の調べでは、ここから南のイタリア領ストレーザまで船で行って、
そこからミラノに行くルートもあるみたいで、帰りはそれも考えたけど、
船酔いする方だし、さっきの景色をもう一回見たかったので船はやめた。
マッジョーレ湖。なんだか吸い込まれそうな湖だ。
山に囲まれた湖は日本でも見るけど、やっぱり違う。
湖畔を散歩してる人たちにつられてぶらぶらしてみる。
そして、グランデ広場へ。
ここは夏になると映画祭が開かれる場所らしい。
こんなとこで映画見れるって贅沢だなあ。
この広場をさまざまなお店がぐるっととり囲んでいる。
銀行も発見し、50フランをカードでキャッシング。
物の値段みてると、1フラン100円くらいなのかな。
よし、きっちり50フラン使ったるぞ。
小遣いをもらった子供みたいに、がぜん楽しくなってきた。
スーパーみたいなとこで、トーキョースタイルって特集してた。
何のことは無い。
売ってるのは日本だか中国だか、とにかくアジア製らしきものばかり。
どこがトーキョーなんだ!と抗議したいところだが、
言葉が分からないのでやめた。
でもここらで使われてるのイタリア語っぽい。
芝生で遊ぶ女の子とおじいちゃんおばあちゃん。
いい絵だなあ。
教会。
普通に地元の人に利用されてるってとこがいいね。
サンピエトロ大聖堂とかドゥオモとか、観光地になっちゃってるから。
もういっちょ。教会。
坂の上にある。見上げた空がきれい。
坂から降りる道。
この道を下ってたら、
イチリンシャに乗った男があらわれ、
通りかかったお姉ちゃんをナンパしはじめた。
お姉ちゃんも迷惑そうだ。
しかしなぜイチリンシャに乗ってる?
坂道をイチリンシャで登れるんだぜみたいなことで気を引こうってか?
そんなんでいいのか?スイスは。
ちなみに50スイスフランは、
自部署へのお土産の文房具×6。
弟へのお土産のノート。
おかんへのお土産のハンカチ。
ジェラート(リモーネ味)。
に消えた。
ノートは、今年サッカーの欧州選手権がスイスとオーストリアであるらしくて、
その記念的なデザインのものだ。
トーキョースタイルのノート(大きく「努力」って書いてある。「氣」もあった。)と迷う。
ジェラートは、イタリアに来て初めて食べた。
ちがう、ここスイスだった。
とにかくなぜかそれまで食べようという気になれなかったが、
この日ばかりはさすがに暑いので、鉄道駅までの帰り道ジェラート舐め舐め歩いた。
そしてジェラート屋のお姉ちゃんの笑顔が可愛くて惚れた。
ロカルノ4時過ぎ発の列車にてドモドッソラに戻る。
行きは左側に座ってたので、今回も左側に座って違う景色を楽しむことに。
影が長くなってきた。山の影も辺りを暗くする。
それにしても地面の緑がきれいだ。
ちらほらと咲く黄色い小さい花も彩りを添える。
雑草て生えないのかな。
ススキとか。シロツメクサとか。
どこも見事な芝生?だ。
そしてチェントバリ鉄道の旅も終わりに近づく。
この数日間、人間と人間のつくったものばっか見てきたけど、
この雄大な自然はまた全然違う世界だ。
僕自身、長野の山育ちだから山は見慣れてたつもりだけど、
こんなスケールのでかいのは初めてだ。
なんか、デザインとか、どうでもよくなったな。
いや違う。
僕は日本の大阪に住んで、仕事をして、生活を送っている。
ただその事実が分かった気がする。
いままで日本にいるときはそれであたりまえだったけど、
選択の結果、もしくは何かの縁のおかげでそういう状況にいる。
世の中のあらゆることがらの中で、自分はそういう状況にいる。
そういう視点ができた。
だからなんなんだ、っていうのはこれから分かるのかな。
それとも一生わからないかも。
でも少なくとも、デザインだけを見るのは違うってことは分かった。
そしてもちろん、自然だけを見るのも違うってことも。
なんてーことを考えてみたりしながら、
ドモドッソラからミラノへは普通列車で帰る。
自動券売機で買った細長い切符をどうやって刻印したらいいか分からなくて、
しばらく悩んだら、横からも切符を差し込めることに気付いてようやく刻印できた。
とおもったら一回も検札に来なかったので、
なんだ切符買わなくてもいいじゃんとふてくされる。
しかも普通列車の車内はひどいもんで、
イスのシートの座面にはいたずら書き、
前に座ったカップルはラジカセを音量いっぱいで鳴らすし、
駅到着のアナウンスは何一つなし。
照明も暗くて怖いし。
ミラノについてほっとする。
この日もスーパーで食糧を買い込み、ホテルでの夕食にした。




































































