なんだか物騒なタイトルになっちゃいましたが
人に危害を与える物じゃなくて、社会で生きていく上でのアイテムというような意味ですので
以前、市長さんから
「漁協からみて、水産高校にどんなことをやって欲しい?」
そう聞かれたことがあります
かつて遠洋漁業が隆盛だった頃には遠洋漁業に関するスキルが求められていたと思うんですが、今、日本の漁業の主力は養殖になってきてると思います。でも、海は海水温が上昇したり、何十年に一度というような大シケや大雨などが頻繁に来るようになったり、赤潮が発生したりで、これからは海面養殖より陸上養殖が重要性を増していくと思います。中でも低コストで水温管理できる閉鎖循環システムですね。閉鎖循環システムを使えれば魚の一時保管とか出荷調整とか、色んな可能性を広げられますし。
高校生がそういう技術を持てば、自分で漁業をやるなら海面養殖の種苗生産とかウニ・アワビの出荷調整とかで収入を上げるための武器になるし、就職するなら陸上養殖を行う企業からのオファーも出てくるんじゃないでしょうか
水産系の大学の学生はそういう勉強をやってるんでしょうけど、高校生には理屈じゃなくて実際に体験できる環境を整えてやればいいと思います。たぶん最初は生き物を殺すでしょう。そう簡単なことじゃないですからね。でも生き物を殺してその責任を痛感して、何が悪かったか、どうすればいいか自分で考えて改善していくことで、知識だけではない、身についた技術になると思うんです。いくら知識があったって失敗したことがない人間は使えません。
自分で体験した技術。体験に裏打ちされた技術を持った人間はどこに行っても活躍できると思います。そういう人材を育てられる高校であれば、黙ってても生徒は集まるんじゃないでしょうか。
というような事をお話ししたんです
私ごときが
クソ生意気にも(笑)
陸上で、海水を使った閉鎖循環システムで生き物を育てるには水に関する色んな知識が必要になりますが
たとえば私が高校生で
閉鎖循環システムで生き物を飼育するには、塩分・PH・DO・アンモニア・・・
なんて授業を聞かされると
すぐ寝る(笑)
でも、いくつかのグループに分かれて自分たちで魚を飼え。どこのグループが一番いい成績を出せるか
なんて言われればやります
楽しそうだもの。で、絶対に他のグループには負けたくない
何も知らずに飼育すれば遅かれ早かれ必ずトラブルが発生します
そこで、何が悪いんだ?他のグループに負けないためにはどうしたらいい
ってなればしめたもんですね
必死で原因を探して、改善するにはどうしたらいいか対策するから勝手にスキルアップしていく
そこにちゃんとした知識と技術を持った人間がいて、質問に答えてあげれば、生徒自身の技術となり、その技術は武器になる
学校の行事とか見てると、だいたいの先生が教えすぎだと思うんですね
生徒が問題に直面してないうちに、ああしろ、こうしろってうるさく言って
失敗すればそらみたことかって
言われたとおりにやってできたって身につかないでしょ?
先生に知識があるのは解るから、黙って見守っててちょうだいって思うんです
やるのは生徒!先生じゃない
まあ、学校のカリキュラムでは生徒に失敗させる時間なんてないのかも知れませんけどね
たとえば
海水の場合、水が蒸発していくので塩分の濃度がどんどん上がっていきます
見た目にはほとんど変化がないので気がつきませんし、魚もすぐ死ぬわけではない
そこで、手を付けなくてもいいやって思う人間は魚を殺す
見た目は変わらなくても毎日塩分濃度を計測する人間は変化に気づく
そもそも、私は手を付けなくてもいいやって思う人間なんです
この世界に入って最初の頃は運良く好成績を出して「凄いな」って言われて調子に乗って
でも、やっぱり魚を殺しました。それも大量に
本当に落ち込みましたね。自分はなんてことをしたんだろうって
それからですね、絶対に手を抜かないって決めたのは
生き物以外では相変わらずせっこぎ(怠け者)ですけど(笑)
失敗から始まるんだと思うんですよ
失敗して、痛い目にあって
生き物に対して真摯に向き合うようになってから技術者としての道が始まる