初売り | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 今日は田老魚市場の初売り

 ですが

 私はホシガレイ今年初出荷のために宮古魚市場へ

 

 出荷のためにはまず大きな魚を選んで別水槽に移して餌を止めておかなくてはなりません

 昼間は魚が動き回っているのと光りの関係で魚がよく見えないので

 日が暮れてからLEDの光りを照らし、大きな魚を探して1枚ずつたも網ですくって別水槽へ入れます

 

 一昨日の夜、大きいのを探して

 1枚~2枚~

 なにしろ400枚近く入っている水槽から選ぶので2時間ほど係ってしまいました

 

 今朝は5時前に家を出て、水を汲んで、魚を入れて

 トラックで宮古魚市場へ

 ホントは田老魚市場へ出したいんですけど

 仲買人さんがホシガレイのようなタイプの魚は田老魚市場だと良い値が付かないだろうというので

 わざわざ宮古市場まで運んでいます

 ホシガレイの陸上養殖は宮古市の委託事業で行っており、流通も試験内容に入ってますので、もし、ホシガレイを使ってみたいという飲食店の方などいらっしゃいましたら宮古市の水産課までご連絡ください

 なお、大量の注文には対応できませんので、あらかじめご了承ください

 

 

 魚をおろして田老魚市場へとんぼ返り

 

 定置船がまだ帰ってきてない

 「大漁?」

 「イワシで2艘満船だそうです」

 「すげっ」

 満船で帰ってきました

 

 なにしろ2艘満船なので

 初売りそっちのけで選別作業へ

 ベルトコンベアの上を大量に流れてくるイワシの中からサバを選んで別タンクへ

 サバの他にも、マダラ、サゴシ、ヤリイカ、ショッコ、時々サケ

 マダラとサゴシが一緒に入るってのも

 なんだかなあ・・・・

 

 時折サケが流れてくると

 「オッ!高級魚だ」

 「幻の魚だ」

 って声がします

 ほんと今シーズンは幻の魚です

 親戚にもイクラを送ってやれなかったし

 子供らにも食べさせてない

 ヤレヤレなんてこった

 

 スーパーとかには売ってるんですけど

 山形産とか北海道産とか

 田老に上がった魚を自分で味付けしたものでないと納得できないという妙なこだわりがありまして

 

 

 

 

 事務所に戻ったら女性事務員の方が

 「Xで津波の写真を悪用されてましたよ」

 って画像を見せてくれました

 日本海側で起きた地震・津波の被害者を揶揄するような内容の投稿で、なぜか私が撮った津波の写真を無断で貼り付けてる

 

 地震の被害に遭われた方がどんな気持ちでいるか、東日本大震災を経験した我々にはよく解ります

 投稿した人は悪ふざけで書いたのかも知れませんけど、ふざけるなんて断じて許されない

 

 田老では津波で多くの方が亡くなり、多くの方が家を失って死ぬような苦しみを味わってきました

 その被害をもたらした津波の画像を公開することに葛藤はあったんですけど

 報道の方から

 「多くの被害を出した津波の画像を出すことをためらう気持ちは解りますけど、これから津波被害に遭うかも知れない人のために、この写真は世に出さなくてはなりません」

 そう説得されて、書籍やネットでの掲載依頼があれば無償での利用を承諾してきたものです

 内閣府のページにも無償で提供しています

 この画像によってどこかの誰かが津波の被害を回避できれば

 そう思って

 

 

 

 周辺の家屋を一挙になぎ倒しながら足元を真っ黒な激流が殺到していく

 波の衝撃で大きく揺れる建物

 オレ死ぬんだな、死ぬってあっけないもんだ

 そう思いながらシャッターボタンを押した画像

 

 決してふざけた投稿につかっていいものじゃない

 心の底から憤りを覚えます

 

 


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