いい魚です | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 同じ場所

 同じ条件

 マニュアル通りにやれば同じモノが作れる

 

 はず

 なんですけど、そうはいかない魚類養殖

 

 飼育している人の違いで明らかに魚が違ってきます

 

 一番ありがちなのは魚の大小差

 魚には一尾一尾個性があるので、大小差が出るのは避けられないんですけど

 上手い人が飼うと大小差が出にくい

 一方

 そうじゃない人がやると、もの凄くデカいのがいたり、痩せて小さくて頭でっかちのがいたり

 

 魚は大きいほど優勢なので、稚魚の時にたくさんエサを食べる魚と食べられない魚が出ると

 日に日にその差は大きくなっていき

 「これ、同じ魚?」

 ってぐらい、とんでもない差になってしまいます

 

 漫然と餌を撒いてると、大きい魚だけが餌を食べてしまうので

 全ての魚がまんべんなく餌を食べられるように、魚の動きを十分見極めながら、適切な場所に適量の餌を撒く

 それができるかどうかの違い

 

 これはキャリアとはあまり関係なくて

 不思議と最初っからできる人もいれば

 何年経ってもできない人もいます

 

 ある程度、魚を飼った経験がある人だと、魚を見ただけで、飼育した人が上手いかどうか解ると思います

 

 

 

 

 昔、田野畑村にイワナの養殖場がありまして

 

 内水面時代にお世話になった方から

 「イワナの採卵するんだけどさ、オレ一人じゃどうにもならないから手伝ってよ」

 そういわれて採卵を手伝いに行ったことがあります

 

 行ったらどうやっても二人で採卵できるような数じゃない

 「これ、二人で採卵・・・・ですか・・・・・無理ですって」(汗)

 「○○クンは卵絞るの速いから、なんとかなるでしょ」(笑)

 

 案の定、朝からもずーーーーーと

 日が暮れて、夜の9時ぐらいまで二人で採卵するはめに(泣)

 

 

 ま、それはおいといて

 ニジマスは百年以上も養殖されて、半ば家畜化されているので飼育しやすいんですが

 イワナは養殖されてから歴史が浅いため、まだまだ野性味が残っていて飼育は難しいんです

 

 塩焼きサイズぐらいに育てるのならまだいいんですが

 その養殖場では60㎝ぐらいの大きさまで育てていました

 

 イワナをそのぐらいまで育てるのはそうそうできる事じゃないんですけど

 飼育していたのは魚養殖ほぼ未経験のおじいさんとおばあさん

 (もちろん採卵とか一切やったことがない)

 

 ほんと、我が子のように気を配って育てていたんです

 真摯に魚に向き合えば、できるんですね

 知識やキャリアじゃないんだなあ

 よくぞここまで育てたなあ

 って感心したものです

 

 

 さて、これは摂待ふ化場のサケ稚魚

 いい魚ですね

 ちゃんと育てた魚です

 (飼育したのは私ではありません)

 

 地球温暖化がどうの

 遺伝子がどうの

 岩手のサケが激減している理由は色々言われますけど

 我々、漁協の人間ができることは

 健康な魚を、より大きく育てて、適正な時期に放流すること

 

 それぞれの立場の人間が

 自分のできることにベストを尽くしていくしかないかなと


 


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