それなら元通りにしてくれ | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 30数年間魚の種苗生産に携わってきた私にとって、愕然とする記事がネットニュースにありました

 

   じつはサケやほかの魚を「放流」しても、数が増えないどころか「減ることさえある」という「衝撃的な事実」

 

 放流しても⿂は増えない 〜放流は河川の⿂類群集に⻑期的な悪影響をもたらすことを解明~

 放流 では⾃然界には⽣じえない規模の⼤量の稚⿂を放つため、⽣態系のバランスを損ね、放流対象種を含 む⿂類群集全体に⻑期的な悪影響を及ぼす可能性がある

 

 理屈としては解るような気がします

 もしかしたらそうなのかもしれません

 

 では、サケのふ化放流を行い、サケの水揚げに頼っている我々は、漁業者はどうすればいいんでしょうか?

 

 そもそも、川が健全だったなら、苦労して放流しなくてもよかったわけです

 川のあちこちに堰堤を造ってサケ・マス・アユ・ウナギなどが川を遡上できなくして

 川岸をコンクリートで固めて、昆虫や魚の居場所をなくし

 水源となる山の広葉樹を切り倒して、ちょっと雨が降れば大増水して濁流と化し、晴天が続けば川が干上がるような保水力のない山にして

 天然の魚が生きられない環境になってしまったから、苦労して、経費をかけて放流してるわけで

 

 放流なんて意味がない

 放流は悪

 みたいに言われるのは、私の人生を全否定されたような気がします

 これまで連綿と魚のふ化放流技術を研鑽されてこられた諸先輩方

 全国で魚のふ化放流に携わっている仲間も

 

 我々はこれまでずっと無駄なことをしてきたと言うんでしょうか

 

 放流に意味がないというのなら

 今すぐ川の堰堤を全て撤去してください

 川のコンクリート護岸を全て壊し

 山に植林された針葉樹を全て切り倒して広葉樹の森にして

 川を元の状態に戻してください