アワビ目線 | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 500リットル水槽に小さな濾過機

 水替え無しで同じ水が循環する

 

 こんな簡易な施設でアワビの種苗生産に取り組んでおります

 

 課題はアワビの餌となる植物

 先日、アワビの研究者からは

 「餌が少ない」

 とのご指摘をいただき

 同時にアドバイスもいただいたので

 

 改良

 

 すると

 色んな種類の餌(珪藻)が出てきました

 アワビ稚貝から見ればけっこうな高さの草原みたいでしょう

 どれが良い餌なのか良く解りませんけど

 まあ、食べ物はありそうです

 

 

 岩手県内の漁協はどこも

 サケの不振から経営が苦しくなっていると思います

 

 ほとんどの漁協がアワビの稚貝を購入して放流してると思うんですけど

 数が数だけに金額の方もすごい

 

 経営が苦しくて放流数を減らさなくてはならないところも出てくるでしょう

 でも、放流数を減らせば

 アワビの水揚げが減る

 経営は更に苦しくなる

 更に放流数を減らす

 更にアワビの水揚げ減る

 

 負のスパイラルに陥ってしまいます

 

 安い機器でアワビの種苗生産ができれば

 コストが下がって

 同じ金額でもより多くの種苗を放流することができますし

 自前で種苗を生産できれば更にコストを抑えられる

 

 

 

 これまで行われてきたアワビの種苗生産って

 海から海水を汲み上げて

 陸上の水槽で飼育するというものです

 

 海水を汲み上げるために海のすぐそばに施設を建設しなくてはなりませんし

 海から施設までの配管工事が必要

 穴を掘って太い配管を入れ

 海水をろ過するシステムも必要

 ポンプも大きいものが必要ですから電気料金が凄いし

 海水なので、ポンプ自体も何年かのスパンで交換が必要です

 

 閉鎖循環システムなら

 建設場所はどこでもいい

 配管工事は不要

 なので、掛け流し水槽よりコストをかなり抑えられますし、低コストで水温調節もできる

 すごい可能性を秘めてると思うんです

 

 ただし、少ない水量の中でバランスをとっていく必要があるので

 比重・PH・DO・アンモニア・亜硝酸の量・・・・

 色んな知識を駆使してバランスをとらないといけません

 小さな海みたいなものです

 

 このシステムを維持できるようになれば

 なんだってできる

 

 例えば

 水産高校のカリキュラムに閉鎖循環システムを組み込んで

 実際に生徒に管理を任せてみれば

 できる子も出てくるはずです

 

 生き物は正直ですから

 手を抜けば死ぬ

 真摯に生き物と向き合った子だけが結果を出せると思います

 

 そういう子が漁業に携わってくれれば

 アワビの種苗生産やらウニの蓄養やらワカメの種苗生産やら色んな事ができるし

 魚貝類の短期蓄養ぐらいなら造作も無いことでしょう

 

 

 今は、魚もウニもアワビも水揚げした日に販売なので

 海がいい日は大量に水揚げされ

 シケの日は何にも無い

 

 短期蓄養ができれば安定的な出荷が可能になるし

 シケの前にストックしておけば、相場を見て値段が高いときに出荷することも可能

 すると、より安定的な収入が見込めるし

 買う側にとっても好都合なはず

 新しいビジネス形態も出てくるのではないかと思います

 

 ただし、知識だけじゃできません

 

 水に関する知識なんて大学の水産学部の学生なら十分すぎるほど持ってるでしょう

 でも、水産学部を出た学生に生き物を飼わせたって、そうそうできるもんじゃありません

 

 現場で生きるのは

 実際の経験に裏打ちされた知識

 失敗を積み重ねた上で獲得した技術

 

 

 そういうものを持った子がね

 今、漁業が直面している問題を解決してくれるじゃないかと思うんです

 

 


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