生きるんです | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 早採りわかめ

 「春いちばん」

 明日から出荷が始まる予定

 

 すでに準備作業が始まってます

 

 「規格外があったら餌用に残しておいて」

 

 若いワカメはおいしいんですけれども

 若すぎるものは独特の渋みがあるものがあります

 「春いちばん」の出荷サイズが厳格に決められているのは、渋いのが混ざらないようにという配慮もあるんです

 

 最後の選別作業の時点でも

 規格に満たないヤツが時折混じってきますが

 それは販売できませんので

 養殖試験中のウニやアワビの餌にしようというわけです

 

 「何日ぐらい残しておけばいいっすか?」

 「しばらく波が続きそうだから最低でも一週間」

 「えー!2~3日が限界ですよ」

 「ちゃんと水を回せば大丈夫だって」

 「ムリです」

 

 じゃ、オレがやる

 ってことで

 

 ワカメもコンブもちゃんと水が通って

 ある程度光が当たっていれば生きてるんです

 ワカメはデリケートですけど

 コンブなら

 (水温を低く抑えられる設備があれば)これから10ヶ月だって生かしてられます

 

 

 ホヤの種苗を取りに来た若い漁業者が↓これを見て

 「これ、何してんですか?」

 「餌用に生かしてんの」

 「死なないんですか?」

 「水がちゃんと回ってれば死なない。たぶん1ヶ月は楽勝」

 「へー、クキを切れば死ぬんだと思ってました」

 「葉っぱの破片だけでもちゃんと生きてるよ」

 

 

 

 働き方改革で日曜日はワカメ加工ができなくなりました

 そのために採取日数が減り

 平日に大量に水揚げされて加工が間に合わなくなったり

 

 漁業者側からすれば日曜日は手伝ってくれる人も多いのでできれば採取したい

 月曜日に雨やシケで採れない予報だとなおさら採りたい

 

 役員さんの中には

 「昔は~」

 「今の人は~」

 なんて嘆いている方もいらっしゃいますけど

 時代がそうなんですからね仕方ない

 

 私は

  月曜日に収穫できそうがないときは

 日曜日にワカメを採取して

 生かしておいて

 月曜日にボイル加工すればいい

 と何度も提案してるんですけど

 誰も聞いてくれません

 

 「鮮度が悪くなるベ」

 「腐る」

 「おめー、バカでねえが」

 ↑よく言われる

 

 ぐらいはまだ良い方で

 「ケッ」って話も聞いてくれない

 

 皆さんワカメが死ぬと思ってるらしいんですね

 死んだらその時点から鮮度は悪くなっていくのは当然ですけど

 生きてるかぎり鮮度が悪くなるはずもないじゃないですか

 

 活魚ならぬ活わかめ(笑)

 

 「春いちばん」にしたって

 以前は水を切ってタンクに入れてましたので、その日に出荷しなければならず

 「波の日は出荷できない」

 って悩んでたので

 「ちゃんと水を回してれば死なないから一週間ぐらい楽勝ですって」

 って言ったんですが

 やっぱり当初は信用してくれなくて

 「騙されたと思ってやってみて」

 ってやってみたら保管の期間が飛躍的に伸びたんですけどねえ

 

 

 漁業者はなかなか信じてくれないんで

 県の研究機関に

 「ワカメを海水中で保管して、それを次の日、また次の日って加工していって、製品に問題が無いことを実証してくれませんか」

 ってお願いしたんですけど

 やる気配なし(ToT)

 

 やっぱり自分でやるしかないか・・・

 

 田老の海だと

 一週間に2~3日は採取できない日があるので

 ワカメを一週間ぐらい生かせるようになれば

 計画的な加工ができるんですけど

 

 港内にでかい生け簀を作って

 収穫したワカメを入れて

 加工するときはフィッシュポンプで吸い上げて

 ボイル釜に直送

 とか

 

 ノルウエーでは養殖サーモンを水揚げするときにフィッシュポンプで吸い上げて、ベルトコンベアで送ったりしてますから

 5㎏以上のサーモンを吸えるんだからワカメなんて楽勝でしょ

 

 ま、若い人に

 やり方次第で、ちゃんと生きてるんだよってことを見せることからはじめましょうかねえ

 


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