愛用の品が | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 今から30年ほど前、円高が進んで、確か1ドル60円台とかそれぐらいになったことがありまして

 海外から通販で買うと日本国内で買うのの半額とか3割とかで買えたものでした

 

 海外メーカーの釣り具とかアウトドアのウエアとかそりゃビックリするような激安値段でしたので、釣り具とか服とかよく買ったものです

 スマホもなく、Amazonなんて夢にも思わなかった時代

 ファックスで注文書を送って

 

 在庫がなかったりすると真夜中に電話が来るんですよね

 時差があるので

 英語で聞かれたって解らないんで、とりあえず「YES、YES」って答えてたらとんでもない色の服が来たりとか(笑)

 

 

 REIっていうアメリカの生協みたいな通販会社でフリース素材の服を買ったんですね

 何しろ英語が分からないんで写真で選んで

 確か日本円で4千円ぐらいだったと

 フリースってその当時流通し始めたばっかりだったと思います

 軽くて暖かくて水に濡れてもすぐに渇くし

 ウールみたいに洗濯に気を遣うこともないし

 最高だわって

 寒い冬のアワビ漁にいつも着ていきました

 

 日本のアウトドアショップでフリースの服を買うと、まあ1万円を下回ることはなかったので、暖かくてリーズナブルという理由だけです

 

 

 その服を着て「さけまつり」でサケの串焼きを焼いていましたら、高校の後輩が串焼きを買いに来て

 

 私を見るなり

 「そんな服着てサケ焼いてちゃダメですって」

 「えっ?なんで?」

 「なんでってパタゴニアじゃないっすか」

 「えっ?なにパタゴニアって?」

 「その服ですよ、パタゴニアでしょそれ」

 「ん?知らねえ。アメリカの通販で買ったの。安くて暖かくていいんだこれ」

 「安くないでしょ!パタゴニアっすよ」

 「なんだ?何回もパタゴニア・パタゴニアってウルせえなあ。そんなんじゃねえって4千円ぐらいだよこれ」

 「うっそ!んなわけないでしょ」

 

 

 その頃、似たようなフリースを何着か買いまして

 津波で家が流失したときも家の残骸の中から引っ張り出してきたんです

 ウール素材のとか革製品は海水に浸かったらダメだろうなと思って諦めたんですが、フリース素材は洗えば行けるかと思って

 案の定大丈夫でした

 

 今でもアワビの口開けはその当時のフリースで行きますんで、もう30年も着てます(笑)

 

 

 先日、仙台に住んでる長男が帰ってきまして、嫁さんに

 「成人のお祝いに服買って」

 「どんな服?」

 「パタゴニアのフリース」

 「パタゴニア?ああ、お父さんがいつも着てたヤツね。お父さんからもらえば」

 「ええっ!父さんパタゴニアの服持ってんの?」

 「ああ、津波を超えたヤツな」(笑)

 

 何着かあったうち、前がファスナーで開くヤツをあげたんです

 

 

 この前、長男からLINEがきて

 「父さんからもらった服がメンズノンノに出てた。プレミアが付いて7万円だって」

 「はあ?7万円!なんで?じゃ、返せ」

 「大切に使わせていただきます」(笑)

 だって

 

 海に着て行ってた服がメンズノンノに出るなんてねえ・・・・・

 

 


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