近っ! | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 宮古市には田老・宮古・重茂(おもえ)と3つの漁協があります

 宮古漁協管内には穏やかな宮古湾があるので、カキやホタテの養殖が盛んですし、ホッキ貝やアサリなども採れます

 

 一方、田老と重茂は外洋に面してるので、波が強烈すぎて貝類の養殖はできませんし、ホッキやアサリがいるような場所もありませんが、良質なワカメ・コンブが育つのでワカメ・コンブ養殖が盛んで、ウニ・アワビもたくさん採れます

 

 県内でアワビの種苗生産施設がある漁協は田老・重茂・広田

 コンブの種苗生産施設があるのは普代・田老・宮古・重茂

 

 アワビにしろコンブにしろサケにしろ、種苗生産には実際にやってみなければ解らない問題やテクニックみたいなものがたくさんありまして、ものすごーく優秀な人がものすごーく優秀な大学で学んだとしても実際の現場では解決しきれないことが多々あります

 実験室でやるのと事業レベルでやるのは全く違いますからね

 

 研究ならコスト度外視で結果を出せばいい話ですけど、事業レベルでやるにはコストを考慮した上で結果を出さなくちゃなりません

 「文献を調べましたらこの薬品を使えば対処できるみたいです」

 「その薬品ってなんぼすんの?」

 「あっ、調べてませんでした。今、調べますので」

 「金額も調べねえで使えって言ってんの?」

 「あっ、解りました1㎏○万円ほどですね」

 「おめさん、そんな高っけえ薬使えるわげねえべ」

 みたいな

 

 昔の普及員さんは駐在して漁協職員や漁業者と一緒に作業をしていたので、同じ目線で話ができたものですけど、今の普及員さんは事務的な仕事が多い上に2~3年で定期的に異動させられるので、なんとなく解った頃にはいなくなる(泣)

 なので、なかなかスペシャリストにはなれないみたい

 

 岩手県の漁業はサケ・ワカメ・アワビが柱なんですけど、県の水産にサケ・ワカメ・アワビの種苗生産に関するスペシャリストが少ないし、その少ないスペシャリストが現場を指導する部署ではなく、内陸にいたり、管理職になって現場を離れたり

 

 官公庁のえらいさんは何年か安定して種苗生産ができると「技術は確立した」として予算も人員も割かなくなる傾向にあるようです

 ところが、生き物に関する技術ってそう簡単に確立できるもんじゃません

 あまりにも不確定要素が多い水の中では、例年と同じようにやれば同じように種苗ができるってものではありません

 工業製品とは違うんです

 

 私なんぞは20年以上もコンブの種苗生産をやってまして

 「ベテランだから余裕でしょ」

 なんて言われたりしますけど、とんでもない

 余裕を持って種苗生産した事なんてただの一度もありません

 種苗生産をしている間はいつでもサッカーのPKを蹴る前の心境です

 (外したらどうしよ。いや、そんなこと考えんな。絶対入る。絶対入れる)みたいな

 毎年初心者、毎年勉強ですわ

 

 問題が発生した時に頼りになるのは現場で働く技術者なんですね

 一言で解って貰える

 「ああ、それね。ウチではこうやってるよ」

 とか

 そういう横の繋がりに本当に助けられてるんです

 もちろん、向こうが困っていて私らが力になれることがあればできるだけのことはしますし

 

 そういったわけで重茂漁協さんにはなにかとお世話になっておりまして、年に数回はおじゃまするのですが

 まあ遠い

 

 海に出ると、北は真崎と明神崎を、南は閉伊崎や魹ヶ崎(重茂地区)を目印に動きます

 つまり、海の上だと重茂はすぐそこなんです

 が、車で行くとメチャクチャ遠い(船で行ったことないですけど)

 宮古湾をぐるりと迂回して、車がすれ違えないようなくねくねした細い山道を登ったり降りたり

 重茂の人達は馴れているんでものすごいスピードで走ってくるし

 

 田老から重茂までは優に1時間以上はかかって

 三陸道の工事も大分進んだので、田老から1時間走れば北なら久慈、南なら釜石まで行っちゃいます

 北端と南端とはいえ、同じ市内に行くのに釜石に行くより時間がかかる・・・

 

 近くて遠いのが重茂

 でした

 がっ!

 

 新しく真っ直ぐな道路ができて

 メチャクチャ早い

 あっという間に着きました

 

 真っ直ぐで、下り坂なのでボーッとしてるとどんどんスピードが・・・・

 お気をつけ下さい

 

 


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