10冊目:鉄道小説 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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7冊目:鉄道小説

温 又柔・澤村 伊智・滝口 悠生・能町 みね子・乗代 雄介

2025/08/25

 

 

 


★ひとことまとめ★

人それぞれの、電車との思い出新幹線後ろ新幹線真ん中新幹線前

 





↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも




【Amazon内容紹介】 

『JR時刻表』や『散歩の達人』でおなじみの交通新聞社が、鉄道開業150年の特別な年にお届けする、新感覚の『鉄道小説』短編集です。5人の気鋭の小説家が描く“人と鉄道の記憶”についての物語!

 


【感想】

鉄道開業150周年(2022年)を記念して、鉄道に関するお話が5つ収録されています本

こちら、なんで読んだかというと澤村さんの作品が収録されていたから電球

レビューサイト見ていても、結構澤村さん目当ての人がいた印象にっこり(逆に澤村さんだけ知らないって人もいたキョロキョロ)

でも、今まで読んだことのない方の小説も読めて新鮮だった星 



犬馬と鎌ヶ谷大仏(乗代雄介)

主人公の"ぼく"は、小学生の時に同級生と制作した「鎌ヶ谷市の歴史」の制作物を家で見つける。当時気になっていた"松田さん"のことを思い出す。昔の思い出を辿ろうと、老いた飼い犬とともに昔の散歩ルートを散歩することにした。制作物の内容と重ね合わせながら、日々色んな道を散歩していく。


この主人公はこの先どうなるんだろうか。

フリーターのままで、実家で暮らし続け…そういうことを心配してしまう。

いろんな生き方があるけれど、大丈夫だろうかと心配になる。あれこれ言う母親の気持ちもわかるなぁ。でも要領悪くてうまく仕事ができないのは、あーだこーだ言って改善するものでもないしなあ驚き

思い出を辿って、思い出に浸っていたところで、急に現れる現実ウエディングドレス結婚指輪きついよねぇ。

「みんな、今より先のことを考えながら生きている。昔のことをいつまでも考えているのは僕だけかもしれない。」(P49)

人生においてそういうタイミングもありますよね。今がうまく行っていないなら尚更。



ぼくと母の国々(温又柔)

私自身、日本の親のもとに生まれて、ずっと日本で暮らしているので、海外から日本に移住することになった人の気持ちが全然わからないんです。(意味不明ということではなく、どういう気持ちなのかが理解してあげられないということ予防)

学生時代は確かアフリカの方の国から来た子がいたなあ。道徳?かなんかの時間に、その国の家庭料理みたいなのを紹介していた気がする。

自分のルーツではない国に住む人の気持ちが、この作品読んでなんとなーくわかった気がする。

それぞれいろんな事情がありますよね。


主人公の母親のように、歳を重ねて故郷に戻りたいと思うこともあるかもしれないよね。

ただ、人生の殆どの時間を日本で過ごした子供にとっては複雑だよね。

親と離れ離れになって日本で暮らし続けるか、日本での人間関係や仕事などを捨てて故郷に戻るか。

主人公の祖父や伯父の話もなあ…。親族の移住先が、かつての戦争相手国ってのは複雑だよなぁ…。


日本への移民に限らずだけど、この作品に出てくる主人公たちのように、移住先の国へのリスペクトは忘れないでほしいなぁ。

最近の移民問題を見ていると思ってしまう…。

自国のように好き放題する人たちによって治安が悪くなって行くのを見ると、その土地には絶対に住みたくないなと思ってしまう赤ちゃん泣き

なぜ移民の人たちによって、自国の人間の住む場所が限られるようになるのか…もーほんとに政府にはどうにかして欲しいと思います赤ちゃん泣き

ちゃんとしたマナーのある移民の方まで風評被害を被るしねネガティブ



行かなかった遊園地と非心霊写真(澤村伊智)

やっぱり澤村さんはいいですね飛び出すハート

長編も好きだけど、このくらいのボリュームの作品もいいですね。

最初見たときタイトルの意味がわからなかったのですが、なるほどねぇ。


怪談蒐集を始め、あわゆくば怪談作家に…と考えていた主人公。しかし思うように成果は出ず、自分には向いていないと諦めた矢先、居酒屋で居合わせた"山田"という同郷の男性から不思議な話を聞く。


山田は小学生6年生の頃、"島崎"という同級生に懐かれていた。島崎は他人との距離感の取り方に難があり、他の同級生や担任から距離を置かれている生徒だった。

ある日、山田は同級生たちが週末に宝塚ファミリーランドに遊びに行く話を聞く。山田が尋ねた際、彼らが一瞬不穏な空気になったことに彼は気づいた。

山田が参加を表明していると、間髪入れずに島崎も話に入ってきた。一瞬の間が空くも、同級生たちは快く受け入れた。


ように思えたが、実は同級生たちは嘘の待ち合わせ時間を伝えていた。山田は正しい待ち合わせ時刻を教えてもらえたものの、あの不穏な空気は自分も島崎と同じように"うっとく"思われているからだと気づく。

山田は同級生たちから嫌われることを恐れ、島崎に正しい待ち合わせ時刻を教えなかった。

週明け、島崎が行方不明になったことが知らされた。

島崎は宝塚ファミリーランドに行くと言ったきり、忽然と姿を消してしまったのだった。


あの日、山田は島崎とは宝塚ファミリーランドに行かなかった。

だが、山田の手元にはあの日の待ち合わせ場所で島崎を写した写真がある…。



最後、そういう感じで終わるのか〜と思いましたね。島崎少年はパラレルワールドに行ってしまったのかなぁ〜。

鉄道文芸プロジェクトのサイトを見たんですが、澤村さんには作品を作る上で「実際する駅にネガティブイメージがつかないように。けど、ホラーっぽく。でも人は死なないように」というような指定があったそうです。

だから、ホラーだけど誰も死なないこの話になったのかぁ。



反対方向行き(滝口悠生)

なーんか、こんな感じで自由気ままに旅行してみたい!

「若い頃みたいに現状とか先行きの不安がいつもすぐ手の届くところにあって、危なっかしく飛び石を渡り歩くみたいな生き方」(P147)

「不意に自分がまだ若いままみたいな錯覚に陥る。だから他人の生きた時間を見てとったときに、そうやって密かに自分を顧みる。」(P147)

「生きていれば自然と備わっていくものだと高をくくっていた落ち着きとか安定感みたいなものが、なんか自分にはいつまで経っても備わらない気がするんですけど」(P147-148)

あの気持ちをよく言語化できるなぁ〜赤ちゃんぴえんと思いました。

なんとなく勝手に女性作家さん?と思っていたら男性だった!ああいう気持ちって女性特有なのかと思ったけれど、男性でも感じるの??

それとも女性の気持ちを書くのが上手い方なの?!すごいー。


行き先とか時間とか気にせず、なんとなーくで電車に乗り続けて行けるところまで行ってみたい。神奈川あたり。

海のあるところに行きたいな〜電車からのんびり海が見たい。

たぶん主人公のなつめと同じように、電車に乗りながらいろんなことを思い出すんだろうな〜バス

行き先に神奈川が出るのも祖父母の家があったからだし、海が見たいのも祖父母や両親がよく連れて行ってくれたからだし浮き輪

なつかしいなあ。


乗り合わせた人と一緒にそのままどこかに行くなんて、人生で一度もやったことがない!(多くの人がそうだとは思うけれど)



青森トラム(能町みね子)

私は青森に行ったことがないし鉄道にも詳しくないので、「トラム…?さくらトラム(都電荒川線)みたいなもの?青森にもあるんだー」という気持ちで読み切ったのですが、レビューサイト見てびっくり。

青森、トラムないんですね〜!!

これ、SF作品だったのかぁ…驚き

架空の青森の話だったんだ…。


私は保守的な人間なのでLGBTQその他に関しては「ふーん…キョロキョロ」という姿勢のため、登場人物たちにはあまり感情移入はしなかったなぁ。

そんな世界・生き方もあるんだーくらいで。

子供がいるからよくNHKを見るんだけれど、NHKには本当に色んな人が出演していて勉強になります〜。


ちなみにこのお話はトラムだけじゃなくて色々とフィクションのようで、実際の青森はそこまで先進的ではなさそう?キョロキョロ(でもレインボーパレードはあるらしいですよ虹)

トラムの走る青森の空想地図まで作っていたりして、すごく作りこんだ架空の青森なんだなぁ〜と思いました。


私は環境が変わるのが苦手な方だから、知り合いも誰もいない土地に行くことは希望よりも不安のほうが大きいなあ驚き




旅行先のローカル線に乗って気ままに1日過ごしたいな〜

そんなことはなかなかできないんだけど泣き笑い