31冊目:子どもも親もラクになる偏食の教科書
山口健太
2024/09/11
★ひとことまとめ★
偏食の理由、対処方法がわかりやすく学べます
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
子どもの偏食にまつわる悩みは増えている。子どもが決まったものしか食べないとき、大事なのは「子ども目線で対応する」こと。対応を少し変えるだけで、子どもは自然に料理を口にすることも。本書では、偏食に悩む親子、保育園・小学校教師の悩みを解決しつづけてきた「食べない子専門」のカウンセラーが、偏食改善の方法をイラストや図を使ってわかりやすく伝授。紹介するのは、おうちで、簡単に、すぐできる方法ばかり。この一冊で、子どもの食の悩みが消える!
【感想】
子どものために時間かけて丁寧に手作りでご飯を作っても、食べたくない!と残されたり、床にポイっとされたり、机にぐちゃぐちゃになすりつけられたり…
そういうことが重なり、子どものご飯を作ることが疲れちゃった時期に読みました
いまはその時期も抜けて、この本を読んだうえで振り返ると、なんとなく食べてくれなかった理由も理解ができたり、できなかったり…
その日の本人の気分や体調などもあるので、あんまり考えすぎないようにしようと思いました
丁寧に時間をかけて手作りしていたのも、最近はスーパーのお惣菜を出しちゃうこともあります
仕事と家事で疲れ切ってもうのんびりご飯作る気力ゼロ…というときは、無理せず出来合いのものでもいいや!と思うようになったら、結構気分的に楽になりました
食事中しつけはしなくていい!というのは目から鱗でしたが、自分の子供を見ていると確かにな~と思いました。
夫は短気なので、食事中子供がいたずらしたり集中力が途切れて食べなくなったりすると、すぐ注意したり怒ったりしていたんですよね。でもそうすると、改善するどころか子供は「怒られた!」と泣き喚き不機嫌になり、楽しいご飯どころじゃなくなる→さらに夫が怒る→子供は皿を投げたりする→さらに夫が…(以下略)という最悪のループになっていました。
私はどちらかと言うと食事中はほぼ注意せず、楽しく過ごすことを重要視していたのですが、そのほうがすんなり食事が終わっていました。
書いてある内容のように、怒られてストレスを感じて空腹感がなくなったから食べなくなっていたのかは実際わかりませんが、大人だって怒られながら食べる食事なんて楽しくないですよね。
あれこれ注意して機嫌も悪くなるしご飯も食べないしという最悪のループになるよりは、楽しくご機嫌でご飯タイム終えられたほうがお互い気持ちいいですよね~。
というか、まだ1歳の子供にマナーだなんだ言ったところで…と思います
人に危害を与えたり、危ないことならさすがに注意しますが、そうじゃなれけばまだそこまで気にしなくてもいいんじゃないかな~と思ったり。
小さく切ってこっそり混ぜるとかやりがちですが、確かに子どもからすると「騙された!!」となりますよね~。
子どもに嘘ついて信頼関係をぶち壊してまで食べさせたいものってあるのかな、と考えると、そこまでの食べ物ってないかなと。
お薬はこっそりゼリーとかに入れちゃいますけどね
以下、メモです。
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・食事中に動画を見せるか迷ったときには、基本的には年齢が小さければ小さいほど、テレビや動画を見ながらの食事はしないほうがよい。習慣になってしまうといつもそうしなければならなくなる。
就学前くらいまでは、子供は1つのことにしか集中できないといわれている。
・食べられなくなる4つの理由
子どもの偏食改善には「4つの理由」にアプローチする必要がある。
理由を正しく知り、それぞれに適切な対応をすることが「偏食改善における最善の方法」
【理由1】機能的な問題
咀嚼や嚥下に関わる口腔機能に何か問題があり食べられない。
口腔機能は段階を経て少しずつ後天的に獲得していくもの。獲得には個人差がある。
子どもの「今の口腔機能」で食べられないものは無理に食べさせないことが大切。
食べられないから吐き出すと大人の多くは怒り、怒られて嫌な思いや悲しい思いをした子どもはまた怒られると考え、食べものを口に入れること自体に消極的になっていく。
【理由2】時間と量の問題
子どもの偏食の多くの原因はここにある。食べる時間と食べない時間が明確になっておらず、いつでも食べられる状態だと「今食べなくてもあとで食べられる」と子どもは思ってしまう。食事やおやつの時間を明確にし、決まった時間にだけ食べさせることが重要。
また、「好きなもの」でお腹が満たされている子は「それ以外のものを食べる理由」がない。今食べられるものの提供量を減らした上で食べてほしいものを与えなければいけない。
偏食の改善というと、「どう調理を工夫すればいいのか」「工夫して作った料理をどう食べさせればいいのか」という現状に「足していくアイデア」を考える人が多いが、偏食対応は増やすよりも減らすこと、減らし方が大事。
【理由3】感覚的な問題
極端に食べられるものが少なかったり、本当に”これ”しか食べない、食へのこだわりが強くあるという場合、この理由が最も大きい可能性がある。
五感の刺激の受け止め方や脳内での情報処理の精度(感じやすさや感じにくさ)は個人差がある。日常生活に支障をきたすレベルで高い場合は「感覚過敏」、低い場合は「感覚鈍麻」といわれる。
食べものの見た目、食感、食器の感触などに嫌悪感がある、食事中の環境音で気が散る、内臓の感覚が鈍麻で空腹を感じないなどが偏食の理由になっていることもある。
感覚的な問題による偏食を改善するために大切なのは「好きな感覚」から広げること。苦手な感覚に慣れさせようとする人が多いが、そうするとさらに子どもの中に嫌な記憶が増えてしまうだけで、偏食の改善にはならない。
【理由4】知らないという問題
子どもは
1.知らない
2.知る
3.興味を持つ
4.触れる
5.食べる
という5つのステップを経て知らない食材を食べるようになる。
子どもの年齢にもよるが、感覚的・機能的には問題がない食材であっても、「知らないから食べたくない」と食べる手前で拒否してしまうこともある。
「これなら食べられるかも」と、新しいレシピにどんどん挑戦する人もいるが、子どもがなかなか口をつけない場合努力の方向性を見直す必要がある。
・そもそも「食は、本能的に最も優先されるべきことではない」ということ。
人にとっては「食べること」よりも「苦痛を避けること」のほうが、本能的な優先順位が高い。
食べることに何かしらの身体的な痛みや、精神的なつらさが伴えば、人は食べることより「食べないこと」を選択する。
ストレスを感じると交感神経が優位になり、血糖値が上昇する。すると、満腹中枢が刺激され、食欲が抑制されたり、嚥下の際に喉周りの筋肉の動きが低下し、飲み込みにくくなったり消化器官の働きが低下したりする。
ストレスを感じると自分の意思とは関係なく、食べる機能や意欲が低下する恐れがある。
健全な食欲には「空腹」だけではなく「リラックスしていること」も重要。
・偏食改善の道すじ
食べることを「楽しい」と感じられなければ、食を広げるのは難しい。「楽しい」の土台には「安心」がある。安心できるから楽しめる。「食べないと怒られるかも…」という不安があれば、進んで自分から食べようとは思えない。
自分から食べることができない(=嫌々食べさせられている)のであれば、偏食の根本的な改善にはつながらない。
STEP①子どもを観察・理由を探る
STEP②理由ごとに対応する
・「大きすぎる」「小さすぎる」「硬すぎる」「やわらかすぎる」など”すぎる”と食べにくい。
・「食べ物を欲しがる」→「きっと栄養が足りていないんだ」→「好きなものを食べさせて栄養を補給させなきゃ」と考えるのはやめる。子どもは「要求すれば好きなものが出てくる」と覚え、大人が苦労することにつながる。
・食べる時間と食べない時間を明確にする。時間制限が食べたい気持ちを引き出すことは多々ある。「何時からご飯だよ」とはっきり時間で伝えることを意識し、食べ終わる時間もはっきり決める。
「少ししか食べていないから」と時間を延ばしてまで食べさせようとしても良いことはない。子供も苦痛を感じるうえ、時間をかけて食べることが習慣になってしまう。
・
STEP③食べられると覚えるための”工夫”をする
1.今、食べられるものを把握する
2.5つの視点で「好きな感覚」を見つける
・どんな形状
・どんな色
・どんな調理法
・どんな温感
・どんな食感
3.好きな感覚を軸に調理の工夫を考える
・「苦手なものに口をつけられた=偏食が改善した」ではない。大人があの手この手で工夫を施し、なんとか口をつけられるようになったとしても、食べた子どもが「やっぱりおいしくない」と感じてしまったら、次から自らその食材を食べることはない。
苦手な食材・はじめての食材に口をつけた子どもが「これ、おいしいな」と感じられるように、味付け・温感・食感に気を配る。
・どんなときでも大事なのが、「子どもを騙さないこと」。
(例)野菜が苦手な子に対し、「野菜をみじん切りにし、ぱっと見でわからないようにしてハンバーグに入れて、何も言わずに食卓に出す」
「中に野菜がはいっていること」がわかったら、子どもはショックを覚え「騙された」と感じて、野菜はおろか、次回からハンバーグすら警戒して食べなくなる可能性もある。
・「食べる前のイメージと食べたあとにどうなったのか」の”ギャップ”が、プラスに振れるかマイナスに振れるかどうかで、その食品の好き嫌いが決定づけられる。
食べる前のイメージより、食べたあとの結果がマイナスに振れれば振れるほど、食べることや口に入れることが嫌になったり、怖くなったりする。「嫌だ」「怖い」と体験した食材を拒否するだけではなく、”その人”からすすめたもの自体を全般的に警戒して食べなくなることすらある。
・ヨーグルトを好きで食べていたのに、いきなり食べなくなるケース。こういった場合なぜそれが起きたかを探っていくと、その子にとって好きな”いつものヨーグルト”を用意できず、やむを得ず別のヨーグルトを用意したという出来事がターニングポイントになっていることがほとんど。
何も予告や忠告がない状態でヨーグルトを食べたことで、「いつものおいしいヨーグルト」という食べる前のイメージと、食べてみた時の「いつもと違う味だ!(しかもおいしくない)」という結果の間に大きなマイナスギャップが生まれ、「ヨーグルトを食べるのが怖い」というように、ヨーグルトそのものを拒否するようになる。
・苦手な食べ物を予告すると子どもは「この人は、自分が苦手なものを事前に教えてくれる!」とその人に信頼感を抱く。つまり予告の積み重ねが子どもとの信頼関係の構築につながる。信頼関係があるからこそ、「この人がすすめてくれたものなら、安心して口をつけられる」と子どもは感じる。
・「おいしいよ」と言うのは、「子どもにとっておいしいもの」なとき。「おいしいよ」という言葉を信じた子どもがその食材を食べ、子どもにとっておいしくなかった場合、「この人は、うそつきだ」ということになり、「この人がすすめたものは、食べないようにしよう」と思う可能性がとても高くなる。
■嫌いな食べ物を増やす、大人のNG習慣
・子ども主体になりすぎる。食事のメニュー決めなどの主導権は大人が握るべき。「今日何食べる?」と子どもに聞き、いわれたメニューだけ作ったり、「子どもがいらないというから、食べないものは作らない」など、なんでも子供の要求通りに食事を用意するようになると、食事を用意する大人は疲れていき、だんだん子どもとの食事が苦痛になる。
また、食べられるものだけ食卓に並べることは、食べるまでの”5つのステップ”も進まないので、子どもの食も広がりにくくなる。
誕生日や習い事の発表会の日など、特別なタイミングでの「何、食べたい?」はよいが、日常においては食事の主導権は大人にあり、それでよい。
・毎食のように「食べてみたら?」と言うこと。「たくさん食べること」よりも、「自分から食べること」を目標にし、それを実現するために対応をしていく。それさえしていれば、「食べてみたら?」という声かけは、不要。
■よくある困りごとへの対処法
・視覚的なアプローチも重要。例えば、牛乳パックから牛乳をコップに注ぐところを見せていないと、「コップに入った牛乳は飲めるけど、パックから出てきた液体は”別もの”だから飲めない」という子も多い。「コップに牛乳を注ぐ様子」を繰り返し見せ、「牛乳パックの中身とコップに入っている牛乳は、同じものなんだよ」ということを目で見て覚えてもらうことで飲めるようになる。
・スーパーのコロッケは食べるのに、手作りのコロッケは食べないというとき。同じ料理でも、子どもにとっては「味覚・食感・風味・見た目」などの点から、「全くの別物」に感じられていることもある。感覚が過敏な子は、大人ではわからない本当に小さな違いも察知する。
・「食材同士が混ざると食べられない」という悩みもよくある。このケースの食べられない理由は感覚的な問題の場合が多い。感覚の中でも、「視覚」による口に入れる以前の問題か、「食感や味覚」などの口に入れたあとの問題か、子どもによって分かれる。
こういった場合も、好きな感覚から食を広げていく。具体的には「混ざったものを分ける」ことをしていく。
■周りの大人の心の持ち方について
・子どもが食べないことで、自分を責めない。偏食の多くは保護者が原因ではなく、「機能的な問題」「感覚的な問題」が原因になっている。「何があっても自分を責めない」というマイルールを持つ。
・今日食べられなくても、落ち込まない。
あなたのガッカリ度=食べてくれるだろうという期待ー子供が実際に食べてくれたかどうか
「食べてくれるだろう」と期待をすればするほど、ガッカリしやすくなる。
・食事中に”しつけ”をする必要はない。
一定のマナーを家庭で身に着けるのはとても大切なことだが、それは楽しい食事があってのこと。
「これはダメ、あれはダメ、こうしなさい!」とマナーを押し付けると、食事自体が嫌いになってしまうかもしれない。
食事は心と体のエネルギー補給の場。もっと平たく言えば、「みんなで楽しく食べること」が大切で、(マナーという意味で)”正しく食べること”は二の次でいい。食事の時間にしつけをする必要はない。
食事中ではなく、食事の前後や、遊びや会話の時間を通して、正しい食べ方を身に着けられるような関わり方をする。