4冊目:スーツケースの半分は | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

スーツケースの半分は

近藤 史恵

2021/01/25

 

 

 

 

★ひとことまとめ★

旅行気分が味わえますキラキラ

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで青いスーツケースに一目惚れし、憧れのNYへの一人旅を決意する。出発直前、ある記憶が蘇り不安に襲われるが、鞄のポケットから見つけた一片のメッセージが背中を押してくれた。やがてその鞄は友人たちに手渡され、世界中を巡るうちに“幸運のスーツケース”と呼ばれるようになり…。人生の新たな一歩にエールを贈る小説集。

 

 

【感想】

本屋さんにふらっと立ち寄ったとき、目立つように並べられていたので手に取りました晴れ

近藤さんはアミの会(仮)や、岩窟姫などを読んだことがあり、どれも読みやすくて親しみやすい文章で好きです音譜

いまはこんな状況なので国内旅行もですが、海外旅行なんて絶対いけなくて…けれど、せめて小説を読んでいる間は旅気分を味わいたい!!と思って読むことにしましたラブラブ

 

こちらの作品は短編小説集になっていて全部で9つのお話です。ある1つの青いスーツケースが、どのお話にも共通して出てきます。

私はスーツケースにはあまりこだわりがなく、価格が手ごろで使いやすければいいと考えていたのですが、この小説を読んで、一目惚れした素敵なスーツケースと一緒に旅ができたら、とっても楽しいだろうな~とワクワクしちゃいましたお願いラブラブ

 

どのお話も素敵だったのですが、特にお気に入りのお話のあらすじを書いていこうと思います乙女のトキメキ

 

 

・第一話 ウサギ、旅に出る

29歳の山口真美は、海外旅行に行ったことがなく、パスポートさえも持っていない。しかし、心の中ではずっと行きたいと思っていた。思い切って夫の武文に相談するも、定年になってから行けばいいとあしらわれてしまう。

 

旅行に行きたい気持ちに蓋をして過ごしていた時、海外旅行好きの大学時代の友人3人とフリーマーケットに参加することになる。友人たちに旅行について相談するも、期待していた応えが返ってこず、がっかりし一人で店を回る真美。

 

そんな時、真美の目に目の覚めるような青いスーツケースが目に入る。一度は旅行をあきらめたものの、そのスーツケースにすっかり魅了されてしまいスーツケースを購入した真美は、ニューヨークに旅に出ることを決意する…。

 

→思わず一目ぼれしてしまうほどのスーツケースって、素敵だなあ~お願い

それも、作品で出てくるスーツケースって、革製なんですよね。目の覚めるような青い色のスーツケースというだけで目を引くのに、さらに革製っておしゃれですよね。

ただ、海外旅行だとスーツケースに傷がつくこともあるし、無くなる可能性もあるからおしゃれだけではなかなか選べないんですよね。。。傷がつくもの・無くなるかもしれないものとわかっていても、いざ傷がついたのを見てしまったら悲しい気持ちになってしまうガーン

ですが、こんな素敵なスーツケースと旅がしてみたいなあと思いました。

 

夫に反対されても、自分の昔からの夢を叶えるため、反対を押し切ってでも一人で初めての海外旅行に、それもニューヨークに行った真美はすごいなあと思いますキョロキョロ

昔、どうしてもスノボに行きたくなり、当時の彼と2人で行こうと思ったのですがあちらが仕事の都合で行けず。。。どうしてもどうしても1人でも行きたくて、それなら1人で行こう!!と調べて夜行バスの予約までしていたのですが、彼に大反対され。。。

当時の彼はかなり束縛が強いというか、亭主関白?自分の言った通りにしてくれ!というタイプで、大反対されて喧嘩になりかけたのでキャンセルをしたという思い出がありますドクロ

いまでもこんなに覚えているくらい、行けなかったことを後悔(というか恨んで?)いるので、後々こういう気持ちにならないためにも、自分の気持ちには正直に行動するべきだと感じました。

 

作中にでてくる言葉もいいんですよね~…

 

「そう。花が欲しいときには花を買うし、コーヒーが飲みたいときにはコーヒーを飲むのよ。大きな望みは叶わないことが多いんだから、小さな望みを叶えてあげてもいいでしょう」(P40)

 

「ひとりで、自分の行きたいところに行ける自分になる。」(P40)

 

自分の望みは自分で叶える自分になりたいな~ラブラブ

 

 

・第三話 星は笑う

真美の友人、ゆり香は休みがなければ休暇を無理に作ってでもいくほどの海外旅行好き。ゆり香の旅は公共交通機関を使い、安宿のドミトリーに滞在するような旅だ。そんなゆり香の次の旅先は、恋人の余田環に誘われ行くことになった”アブダビ”。

彼がホテルを取るということで、普段のバックパックの恰好ではホテルにそぐわないかもしれないと感じたゆり香は、真美に例のブルーのスーツケースを借りることにした。

 

無事アブダビには到着したが、環はゆり香とは違って街を歩いたり、街のレストランに行くことを嫌った。彼との旅先での過ごし方にギャップを感じ、退屈さを感じるゆり香。

旅行3日目、ゆり香たちはガイドの運転する車に乗り博物館に行き、40分後に待ち合わせをする約束をし、別行動をして過ごした。約束の時間になり待ち合わせの場所で待つものの、一向に環は来ない。さらに、駐車場を見てみるとガイドの車もない。

ゆり香は、一人置き去りにされてしまったのだ。

 

 

→これは読んでいてワナワナしちゃいましたね雷

旅先で置き去りにするって…ありえないですよ…ドクロ いくら治安がいいと言ったって、日本以上に治安がいいところってなかなかないと思うんですよ。。。ちょっとびっくりさせようと物陰に隠れて様子を確認してる、ならムカつくけどまだいいですが、車に乗って足を無くした上で置き去りにするって最低ですよねドクロ

 

小説なのでまだ怒りは収まりますが、もしこれ実際にされた女性いたら本当に可哀そうムキー爆弾

このお話のゆり香は、この出来事を上書きできるような、国も人種も超えた人の温かさを体験したことで、せっかくの旅を悲しい思い出にすることはなかったですが、わざわざお金かけて海外旅行行って悲しい思いしたくないですよね。

 

一人でも怖気づくことなく堂々と旅先でも行動ができるゆり香のように、私も堂々と海外旅行がしてみたいな~と思いました。

 

 

・第八話 誰かが恋する場所

ゆり香、英恵、悠子の3人は悠子の実家のすぐ近くの温泉地に旅行に来ていた。英恵の結婚が決まったため、5年ぶりに4人で旅行をするつもりだったが、真美が妊娠したため急遽3人の旅行となったのだ。

4人の中でも早々に結婚し、そして妊娠した真美。職場で出会った男性とスピード婚することになった英恵。彼女たちは自分とは少し違う気がすると感じているゆり香だったが、悠子とは気が合い、親近感を感じていた。

 

宿での夕食後、寝てしまった英恵を起こさぬよう悠子と2人で入浴しに行くゆり香。入浴中、悠子から今の仕事を辞めて実家の静岡に帰ろうか悩んでいると相談されるも、帰りたいから帰るわけでなく、つらいから帰ろうとしている悠子に対し、ゆり香は不満げな返事をしてしまう。

 

翌日、宿を後にした3人はバスが来るまでの時間地元の名産品を売る店に寄った。2階には地元の職人たちの作品が並んでおり、そこでゆり香はかすかな既視感を覚える。

そこには、あのスーツケースにそっくりな、青いスーツケースが展示されていた。

 

 

→わかるわ…と思いながら話を読んでいました。一昨年一緒に旅行に行った友人も、旅行後結婚&妊娠したので、しばらくみんなで旅行は無理だろうな~とか、おめでたいことなのですが少し寂しくも思ってしまいましたぐすん

私はゆり香たちと年齢が近いこともあって、ゆり香が感じている、色々なことが若かった時のようにはいかなくなってきていることや、自分を置いて周りのみんなが変わっていく感じとか、すごく共感できました。。。

 

「手に持った荷物が重くて、耐えきれなくても、頑張れば未来が開けるなんて信じられない。重い荷物はもっと重くなり、道はもっと険しくなるかもしれない。やりたいことがあれば、耐えられると思えるほど若くはない。」(P265)

 

「みんなが変わっていく。別の道を選んだり、何かを手放したり、あきらめたりしている。

キリギリスはただひとり、それに背を向けてバイオリンを弾いている。」(P265)

 

けれど、そんな考えだったゆり香も悠子も、最後は前向きになれてよかったです。

 

「次はいつになるだろうか。二、三年中に行けるかもしれないし、十年後かもしれない。もしかするとおばあちゃんになってからかもしれない。

それならそれでいい。

年齢を重ねたって旅は楽しいのだ。」(P272)

 

妊娠、出産した友人も、しばらくは一緒に旅行は難しいかもしれません。子ども、家族優先になるのは当たり前です。それはちょっと寂しいですが、何年後かにまたみんなでワイワイと学生時代みたいに旅行出来ると信じて、自分もその時まで頑張ろうと思えましたうさぎクッキー

 

真美がフリーマーケットで手にしたスーツケースは、不思議な縁により色々な人の手に渡り、それぞれの人にささやかな幸せを届けたわけですが、そのスーツケースのルーツがわかるというのも素敵です音譜

ただ見た目・つくりが素敵というだけではなく、作り手の職人さんの気持ちが詰まったスーツケースだったというところも良かったですラブラブ

自分の作ったものが、自分の知らないところで色々な人から「幸せを呼ぶ」と信じられていたらこのうえなく嬉しいですよねお願い

 

 

 

9つあるお話はどれも素敵なお話ばかりで、すべて読むことでスーツケースが一体どのようにして真美の手に渡ることになったのか、スーツケースのルーツなどを知ることができます。

色々な旅行先が出てくるので、行ったことのない旅行先を想像して、どんなところなんだろう…行ってみたいな…と読んでいるだけでワクワクしましたニコニコ

いまもそうですし今後もしばらく海外旅行には行けそうにありませんが、行けるようになった時のためにいまから気になるところをピックアップしたり、旅行貯金したりするのもいいかなとカメラ

旅行気分を味わうのにぴったりな作品でしたラブ