39冊目:BUTTER 【後編】 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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BUTTER

柚木麻子

2020/10/24

 

 

 

 

★ひとことまとめ★

あの事件を連想せずにはいられません。

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子。若くも美しくもない彼女がなぜ―。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。
 
 
【感想】

前編からの続きです。

 

 

・求められれば与えられることを、なんにも疑惑に思ってないあの人たちの顔つきが、何も差し出さないで食卓に着いて、ただぼうっと料理を待っているだけの彼らが、なんの緊張感もなく大切にされて当たり前だって顔をしている彼らが、突然嫌になったの。

そんな相手の為に、旬の食材を買って、下ごしらえをして、料理をして、お皿を選んで、盛り付けて、そして後片付けしてみず仕事するのが面倒になったの。(P387)

 

・料理って楽しいけど、義務になった瞬間、つまらなくなるでしょう?セックスとか、おしゃれとか、美容とかもそう。人から強制されたら、何でも仕事になって、楽しさなんて消えてしまうでしょう?(P388)

 

・あなたや世間を喜ばせるような努力の仕方を、四六時中、出来る自信はないの。もう若くなくなってきてるし、もう他人に消費されたくない。働き方とか人との付き合い方を、自分を軸にして、考えていきたいの(P427)

 

・男女がうまくいくってなあに?それ、どんな状態を指すの?私みたいに結婚しても、うまくいかないことはあるし、梶井みたいに異性に強く求められても、誰も幸せにならないことはあるじゃない。(P442)

 

・作り手の気持ちを受け取るのって、食べる方にもエネルギーが必要なことだからさ。美味しさにも距離感が必要だよ(P444)

 

・私たち、お互いが普段は何してるかよくわからないまま、一緒に料理を作って、それが楽しかったのよね。(中略)セーティネットなの、あの教室は。仕事でへとへとでろくに家族とも会えないけど、この教室に通えるように時間を死守して、早く帰る。(P472)

→これは作品内での登場人物のいち感想だけれど、現実でももしかするとそんな感じなのかもしれないなと思いました。お料理教室通う人周りにもよくいたけれど、習わないといけない程できないの…??と疑問だったのですが、目的は料理だけでなく、友達作りとか、息抜きだったのかな~と。

 

・正反対のものでも、自分がいいと思えば取り入れ、直感を信じてミックスする。それこそが、料理の醍醐味であり、ひょっとすると暮らしを豊かにする方法なのではないだろうか。それはいわゆるセンスとか、柔軟性とか、知性と呼べるものなのかもしれない。(P478)

 

・他の生徒さんが教室で習ったレシピを作らないのは、『いつか』があるからなんです。みんな、『いつか』人が集まる時があったら、ここぞという場面が来たら、作ろうと思っている。だから、やらないんです。(P500)

 

・この人はしたいことも、言いたいことも、ひょっとすると何もないのかもしれない。ただ、その場をしのいでいるうちに、本人の意思とは関係なく、ここに流れ着いただけなのかもしれない。(P508)

 

・あれほどまでにバリアを張り巡らし、強靭な精神力で自己肯定し続けなければ、胸を張って生きることが困難な程、この世界の容姿に対する基準は厳しいのだ。(P525)

 

・相手を丸呑みして、消してしまうまで咀嚼すること。それが梶井のコミュニケーションなのだ。でも、それは、彼女なりの愛の注ぎ方なのかもしれない。(P536)

→こういう相手に愛されたら恐ろしいですね…

 

・どんなに美しくなっても、仕事で地位を手に入れても、仮にこれから結婚し子どもを産み育てても、この社会は女性にそうたやすく、合格点を与えたりはしない。こうしている今も基準は上がり続け、評価はどんどん先鋭化する。この不毛なジャッジメントから自由になるためには、どんなに怖くて不安でも、誰かから笑われるのではないかと何度も後ろを振り返ってしまっても、自分で自分を認めるしかないのだ。(P540)

 

・アッラーは、あなたがたに易きを求め、困難を求めない。(中略)もし神様がいたとしたら、私たちが与えられた試練に苦しみのを見て、満足したり、喜んだりしないんじゃないのかなって。だから、なにもかも自力で乗り越えなきゃいけないわけじゃないよ。(P544)

 

 

 

この作品のタイトルが「BUTTER」ということもあり、バターに関する記述がいくつも出てきます。

その中で懐かしかったのは、ストーリーにも大きく関係してくる「ちびくろサンボ」という絵本。虎がぐるぐる追いかけまわって、バターになってしまう話。子どものころ絵本で読みました!

また、バターを使った食事もたくさん出てきます。私も里佳のように、普段バターには全くこだわらず、マーガリンでいいや~というときもありましたが、思い切って成城石井で少し高めのバター(カルピスバター)を購入して、バター醤油ご飯を作って食べてみました。

バター醤油ご飯は前に作ったことがありましたが、おいしいと感じられずその1回食べたきりでした。今回はカルピスバターと、家にあった透明醤油で作ってみました。

 

結論からいうと、高いバターで作るとこんなにおいしいのかと驚きました。ご飯150gくらい軽く食べきってしまいました。2度目、茶色い普通の醤油で試したものの、なぜか透明醤油のほうがおいしく感じられたので、それ以降バター醤油ご飯は透明醤油でつくっています。(多分通常の醤油ほど薫り高くない(いいのか悪いのか)ので、バターの香りがよりダイレクトに伝わってきたから?)

この作品を読んでから4回くらいバター醤油ご飯食べたんじゃないかな~キョロキョロ

そのくらいバターの香り・旨味、少し伝わってくるバターのひんやり感&ご飯のほかほか感が最高でした。次は梶井がオススメしていた、エシレバターを使ってみようと思います。

 

もうね、何作るにもバターが違うだけですごい。バターってこんなに風味というか、乳製品です!!という主張があったんだと驚いています。エシレバターは100g1,000円くらいで、カルピスバターは100g500円くらいで、普通のバターに比べたらかなり高級なので、毎回毎回使うのはお財布が…って感じですがえーん、作中でも出てくるフレーズですが、”人のため”に作る料理の時ではなく、ぜひ”自分のため”に作る料理の時に使ってほしいですお願いラブラブ

もし私の彼が、「お~うまいうまい」「まあ普通のバターよりはおいしいかな?」とか言って、バカスカなんにでも塗ってたら、梶井じゃないけれど、私も殺意沸くと思います。何も知らなくて、違いも分からないのに…、適量もわからない人が…ってムキー

ぜひみなさん、”自分のため”に試してほしいです~。お菓子だとより一層おいしさに磨きがかかりそうドーナツ

 

 

木嶋佳苗被告のブログも読んでみようかなと思っています。食事にも食材にもあまり興味なかったのですが、これからはそういうことにも気を配っていけたらいいなと思います晴れ