37冊目:天使の囀り | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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天使の囀り

貴志 祐介

2020/09/05

 

 

 

 

★ひとことまとめ★

しばらく肉などを食べるのが怖くなります。

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。
恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。
 
 
【感想】
前々から読んでみたかった本です!なんとなくどういう内容の話なのかは知っていました猿
 
自分の恋人が、アマゾンから帰ってきたらまるで別人のように人が変わり、そして自死してしまったら。さらに、同じ調査団のメンバーがどんどん不可解な自死をしていたら。
 
初めは、主人公早苗の恋人・高梨がアマゾンを訪れている中早苗に送ったメールの内容から始まります。アマゾンで起こったこと、メンバーについて報告するような内容です。
高梨の帰国後からは、早苗の視点で物語が描かれます。帰国した高梨は食欲・性欲共に旺盛になり、まるで別人のようになっていきます。そして、帰国前までは死を恐れていたはずの高梨が、病的なほど死に取り憑かれ、頭の中では天使の囀る声が聞こえ、羽音も聞こえるようになったと…。
そしてとうとう高梨は、死の楽しみをより長く味わうために、酒で睡眠薬をオーバードーズし亡くなります。
 
恋人の死について調べていた早苗は、他の調査団のメンバー2人も帰国後自殺していたことを知ります。動物が苦手なものは、自らトラの元に飛び込み死亡。別のものは愛娘を線路に落とした挙句、自らも飛び込み轢死。そして、もう2人は行方不明…。
これは偶然ではなく、アマゾンで何らかが起こったと考え、調査団のメンバーそしてアマゾンでの行動について詳しく調査を始めます。
 
 
別のパートでは、フリーターの青年・信一が偶然見つけたサイト”地球の子供たち”でチャットに参加し、オフ会にも参加することになる話が書かれています。そこにはサイトの代表”庭永先生”と呼ばれる人物や、その補佐を務める”メメント”なるものが会を仕切っており、オフ会の終わりには”聖餐”なるイベントがあり、肉が提供され、メンバー皆で食べるというものでした。
 
 
早苗、信一のパートに分かれ話は進んで行きますが、途中から話がリンクし始めます。早苗パートで奇妙な自殺を調べるうちに、”地球の子供たち”のオフ会に参加していたであろうメンバーが自殺していることもわかってきます。
 
 
ここから先は本当にネタバレになってしまうのですが、寄生虫というのは本当に恐ろしい。
前に寄生虫の本(64冊目:増補版 寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち)も読んでいたので、ある程度寄生虫についての知識はあったので、本作品の話もなんとかわかりました。
結構難しい話というか、天使についてだったり、神についてや、線虫についてなど専門的な用語も出てきてなかなかついていくのが大変な内容ではあったのですが、線虫の部分に関してはわりと考えていた通りでした。
カタツムリに寄生し、カタツムリの脳を支配し行動を制御する寄生虫が真っ先に頭に浮かびました。終宿主である鳥に食べられるように、わざわざ見つかりやすい葉の上に移動させてしまう…。
 
読んでいて、人間が終宿主であるならば、なぜその終宿主を殺す(自殺)させるようなことをするのだろうと思っていましたが、寄生虫側はあくまでも終宿主は肉食動物を想定していたからだということがわかり納得しました。
本来であれば猿→肉食動物というルートを辿るはずが、猿→人間になってしまったため、寄生虫側も終宿主ではないためコントロールしなくてはいけない。猿をコントロールさせる際は、肉食動物に食べられる恐怖を快感に変え、自ら進んで恐怖に突っ込むようにさせる。
同じく、人間であればその人間が怖がるものに自ら進んで向かわせるという。
羽音も、人間が勝手に天使と思ったわけだけれど、実際は天敵の音(肉食動物の羽音=聞くと快感)にさせているだけという…。
 
最後の最後は暗くなってしまうような終わり方だったなあ…寄生虫によって最愛の人が自殺してしまい、彼の真相を調べるうちに親密になった男性も死に。。。
死を恐れる患者のために、線虫を使い幸せな最期にしてあげたけれど…。。。
使い方によっては確かに良いかもしれない、死を受け入れられない人が安らかになれるならば良いかもしれないけれど、間違って感染しちゃった日には……寄生虫に脳を食い尽くされ、寄生虫思考をコントロールされる…私は絶対に嫌だなあ。。。
 
寄生虫の本を読むと、至る所に寄生虫は潜んでいるということがわかるので、その知識がある上でこの本を読むのは恐怖でした。。。特に水辺にはよくいるため、海外旅行とかの際の水辺が怖くてしょうがない。。。ちなみに温泉などにもいるので、無闇に顔をつけたりするのはおすすめしません。。。脳を食べるアメーバがいます。。。
この本を読んでから焼肉に行ったのですが、かなり焼いてから食べましたガーン
 
ガッツリ読み応えもありますし、知識も増える(日本のしめ縄は蛇の交尾を表しているものなど)のでおすすめです。蛇って苦手なんですが、縁起がいいんですね。古来から縁起の良いものとされているのは知りませんでしたヘビ
 
メメント氏→森さんとつなげるとメメントモリになるのもニヤッとしてしまったキョロキョロ
Dead by Daylightとか、ミスチルの曲知ってる人はメメントモリすぐわかると思いますが、メメントモリ=ラテン語で「自分が必ず死ぬことを忘れるな」、「死を忘るなかれ」という意味の警句。(Wikipediaより)