3冊目:夜が暗いとはかぎらない | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

夜が暗いとはかぎらない

寺地はるな

2020/02/05

 

★ひとことまとめ★

どのお話も読むと心がふわっと軽くなります。

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

奇跡が起きなくても、人生は続いていくから。
『大人は泣かないと思っていた』で話題沸騰の著者が贈る感動作!
大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜ――? さまざまな葛藤を抱えながら今日も頑張る人たちに寄りそう、心にやさしい明かりをともす13の物語。
 
 
【感想】
今回は暗い話から始めます…えーん
 
最近、積もり積もったストレスがどうも溢れてしまったようで、自分で自分の感情のコントロールができなくなりましたショボーン
学生時代から一定の周期で不安定になるな~とは思っていたので、PMSなのかな?とは思っていました。けれど、今回は以前とは比べ物にならないくらいで…ハートブレイク
ここ数年は、
「消えたいな~もう人生やだな~」って感じる、もうすぐ生理?と思う。→生理始まる、「なんであんな風に思ってたのかな?!人生楽し~ラブ」って調子だったんですが、今回は憂鬱どころではなく怒りがすごくて。
とにかくすべての人、物に怒鳴り散らしたい、些細なことが気に食わない、仕事でのお客様の発言とか営業でよくある理不尽なことが耐えられない状態でムキー
さらに寝ても寝ても眠いだけではなくて、実際時間通りに起きられず。早く寝ても、いつもの時間に起きられないんですよね。もう全然目が覚めない。起きてもぐったりしていて、起きる気力がないというか。あと、寝てる間に泣いていたり、起きたら泣いていたり、見る夢も悪夢とか。
 
原因は、もともと親との関係が悪かったので、そこかな?とか感じてはいたのですが、多分爆発したキッカケは先月末の仕事のせいかなと…。理不尽なことで怒られたり、休日出勤で朝から夜までとか、休みの日も連絡が来たりで、昨年10月くらいから先月までずっと精神的に落ち着かなかったんですよねショボーン
 
そんで先月末、ようやくそのお仕事は落ち着いたんですが、終わった後もお客様から連絡は来るし、言ったこと・書面でも伝えていることを「聞いてない」とか理不尽なことを言われたりで…まあそういうことが重なったせいか、鬱?になりました。
イライラと不安と悲しい気持ちがおさまらず、先日メンタルクリニックに行きましたショボーン 
いろいろとお話聞いてもらってそれだけでもだいぶ落ち着きましたが、私の場合はやはり親との関係が良くない(今というよりは、過去から親に言われたこと、されたことが許せない)のと、平常時が普通の人よりもエネルギッシュにもかかわらず、調子が悪い時でも平常時と同じくらい頑張るから休まっていない、人に気を使うことが多く自分の気持ちよりも人を優先してしまう、などなどが原因で、ストレスがたまる一方だったようです。
生理前に特に強く不安が出るとは自覚していたので、先生からもPMDDかな?とは言われましたが、私の話を聞いていくともしかしたら生理前だけじゃないのかも?とも言われました。
 
強いお薬を飲むのは怖いと伝えたので、まずは少量からお薬飲んでみましょうってことになり、とりあえずお薬飲んでますが、副作用なのか気持ち悪さ、吐き気がありますねゲホゲホピルを飲んだときのような…。 夕食後に飲むのですが、気持ち悪かったのでそのまま寝て、朝起きたら腹痛もすごかったですチーン あまりにも気持ち悪すぎるようなら次の受診の時言ってみよう…。。
 
読書からも遠ざかってたし、なんかいつも気が休まらなかった日々が続いていたので、疲れちゃったのかな~。
今月でようやく職場でいじめてきていた人たちは辞めていなくなったけれど、他のおじさんたちが「辞めさせられてかわいそう」と言っているのを聞くと、「じゃあいじめられていた私はどうなるんだ…助けもしてくれなかったのに」って思って悲しくなったり…そういうのが積もり積もったのかな~ショボーン
 
とりあえず、心穏やかになるまでは、頑張ることを少しやめて、のんびりまた本を読んだり、自分のやりたいことやっていこうかなと思いますえーん
 
 
そんな、メンタルくずしてから、読んでみよう…って思って読んだ本。何冊か読んだ本どれも好きな寺地さん。今回の作品も心がほっとするようなお話ばかりで、やっぱり読書はいいな…と思えました照れ
 
群集劇というのでしょうか?アイネクライネナハトムジークみたいに、登場人物それぞれがどこかでつながっているお話です。
そのつながりの舞台は、様々なお店が集まる”あかつきマーケット”。そしてそのあかつきマーケットのマスコットキャラクター、”あかつきん”(本のカバーに書かれているキャラクター)。
あるイベント時にあかつきんが逃げ出し、行方不明となる。しかし、あかつきんはたびたび街のどこかに現れ、目撃情報がSNSで投稿されるようになる。あかつきんのしっぽを掴むと幸せになれるという噂まで流れている。
そんなあかつきマーケット・あかつきんの周りで繰り広げられる、様々な人たちのやりとりが描かれた作品です。
 
どのお話を読んでみても、前のお話の登場人物と繋がっているので読みやすいです。前の話に出てきた登場人物たちを、別のお話を読むことで違った視点から見ることができるというか。
13あるお話の中でも、特に気に入ったお話、フレーズたちを書いていこうかな…!
 
 
・リヴァプール、夜明け前
保育園に通う娘の母親である”わたし”と、同じ保育園に通うひろふみくんのママ、”サエキさん”とのお話。誰くんや誰ちゃんのママと呼ばれることを良しとする人たちのことを疑問に思い、大きなひとつのかたまりとしか思えないわたし。しかし、いつでも、子供に対しても真摯な対応をしているサエキさんのことは、かたまりではなく、”ひろふみくんのママ”でもなく、”サエキさん”だと感じるようになる。
 
・ちゃんとしなさい。娘と接する時、もっとも多く口にする言葉かもしれない。ちゃんとしなさい。自分の母親からもっとも多く言われた言葉でもある。ちゃんとしなさい。昨日も言った。言いたくないのに、勝手に口から飛び出す。言ってからすごく嫌な気持ちになる。自分がされて嫌だったことを、自分の娘にやっている。でもわからない。他の叱りかたがわからない。(P23)
 
・ねえ?わたしは?わたしだって仕事をして帰ってきた。でも「ゆっくり」ご飯を食べたことなんで、結が生まれてから一度もない。(中略)家の中はもうわたしにとって「のんびり」できるような場所ではなくなっている。なのにあなただけがどうして「ゆっくり」「のんびり」を享受しているの?(P25)
 
・サエキさんは、いやわかんないよ、育児の常識に照らし合わせていいことかどうかはわかんないけど、わたしはそうしたいからそうしてる、と答えた。(P30)
 
ほんと、子供が生まれた友達を見ていると、すごいなあ…と思うよ。私は自分のことでまだまだいっぱいいっぱいだから、子育てなんか絶対できないなって思う。
産んじゃえばなんとかなるよ~って意見もあるけれど、なんとかできなかった場合、被害を被るのは子供だからね…。
私は自分の親みたいにはなりたくないし、自分みたいな子供を増やしてはいけないと思うから、自身が安定しないことには子供なんてまだまだ先のことに思えてしまう。
 
 
・消滅した王国
図書館で働く長崎めいは、小学校からの友人・玲実の家で色鉛筆を見つけた際、かつての友人・文乃との思い出を思い出す。
姉妹みたいにそっくりと言われていた文乃と自分。文乃の言った、「人間ってたぶん、いくつかの色に塗り分けられると思うねん」という言葉、自分たちは水色で、学校の中で水色は自分たちだけ、私たちは特別で他の子とは違うと本気で信じていたあの頃。
しかし、転校してきた玲実とめいが仲良くなった頃から、文乃との仲が崩れ始める。
 
・「心のバランスが崩れたことがない人なんているの?」はっとするほど強い口調だった。
「ねえ、いるのかな?」間近で顔を覗きこまれて、息を呑む。そうだよね、ごめん。ちいさな声で答える。
私は今、玲実という人間に、勝手に色を塗ろうとした。(P156)
 
・一色で塗りつぶせるような単純な人間なんかいない。澄んだ色、濁った色、やさしい色、きっぱりとした色。あらゆる色が、ひとりの人間の中に存在しているのだ。
「この人はこういう人」と簡単に色分けできると思いこんでいた私たちは世間知らずで、傲慢だった。(P164)
 
会社でよく言われてたなあ~。
「(私)ちゃんは病むようなタイプじゃないから。言いたいこと言うタイプじゃない?だから病んだりしないから大丈夫なんだよね~。」って。
タイプとは?なんでもかんでも無神経に言うような人間に見えているんだろうか?言えているから、なにも抱え込んでいないと?
そういう、決めつけというか、”勝手にあなたが思っただけのカテゴリー分け”はやめてもらえませんかと思う。
抱え込まなそうだから何言ってもいいってわけじゃないだろう。
言いたいこと言ったって、だから傷つかないとは別問題。
 
 
・はこぶね
小学生のみれと、みれからみて叔母、母親の妹の千ちゃん。
おばあちゃんからは”異分子”と呼ばれ、名前の由来は「新聞のおくやみ欄に載ってたおばあさんの名前」、結婚せず小説家として生き、みれちゃんは千みたいになったらあかんとまで言われる千ちゃん。
かたや、漢字で「美麗」と書く名前を持ち、名前に負けぬよう、親からの期待に答えようと必死に頑張るみれ。
そんなみれと、おばあちゃんから過度に期待され育てられたみれの母親、かたや見捨てられた千ちゃん、それぞれの苦しさがわかるお話…
 
・「みれの未来も、心も身体も時間も全部、自分のもの。他人の期待に応えるために生まれてきたわけやない。他人に渡したらあかん」「いい子」になんてならなくていいんじゃよ。(P190)
 
比べられたり、期待されたりすることが多い人生だけれど、私も、自分のためにもっと時間とか使えるようになりたいな…。
 
 
・グラニュー糖はきらきらひかる
孫の颯真と過ごしながら、孫の発達の遅れや、孫の母親である嫁・亜子について考える”わたし”。自分と比べて百倍はしっかりしているであろう嫁とは折り合いが悪く、いつも自分の失言から嫁を不機嫌にさせてしまう。
そんなことを考えながら、”わたし”はかつて自分が息子の子育てをしていたころを思い出しはじめる…。
 
・すごろくに似ている、と思っていた。この世に生まれ出たら最後、さいころを振り続けて前に進まなくてはならない。
だけど、このすごろくにはあがりがない。いつまでも、いつまでも、誰かに何かを言われ続けることには、終わりがない。
みんな、際限なくいろんなことを言う。悪気なく。そう。悪気はないのだ、みんな。(P215)
 
・しっかりしているから。気が強そうだから。はっきりものを言いそうだから。自分と違うタイプの人だから、そんな事を考えるはずはない、と勝手に決めつけていたのか、わたしは。(P223-224)
 
周りからの要求とか、心無い言葉って本当に傷つくよね。そしてそれがさ、言った本人は”悪意なく”言っているから余計たちが悪い。「え?だって普通のことじゃん!」くらいに思っている。
普通とは?あなたにとって普通なだけで云々と言い返せば、こちらが偏屈みたいに思われる始末。「も~深く捉えすぎ笑」みたいに。
だからっていうのもアレですが、私は天然ぶっている自称天然よりも、本物の天然のほうが苦手なんですよね。
本人に全く悪意はない。悪気なんてない。そう思ったから言っちゃったみたいな。言い返せば、しおらしく「ごめん…」ってなるから言ったこっちが悪者みたいになる。
まあだから言い返せずストレスためた結果が今なんですがお願い雷
天然という言葉に甘んじて、人がこういうこと言われたら嫌な気持ちになるかな?とかの配慮が足りないだけじゃんと思ってしまうんですよね~。。。
 
 
・青いハワイ
あかつきマーケットのベーカリーで働く瑛子と、付き合っている瑛子よりだいぶ年上の柳田とのお話。
まっすぐな性格の瑛子の弟からは、柳田との関係は歪であると思われている。
「たしかな関係なん?」
たしかな関係とはなんなのか、弟の言う「たしかな関係」とはきっと両親たちのようなことを言っているのだろうが、その両親はどうやら離婚をするらしい。「たしかな関係」なんて、どこにもない。だからと言って、私と柳田のあいだにあるものをまがいものみたいに、わけのわからないものみたいに扱われたくない。
 
と言うような、瑛子の悩みが書かれているお話です。
 
・「ずっと」は、はじめからそこに存在するわけじゃない。一瞬一瞬を積み重ねてつくっていくものなのだと、とつぜん気がつく。(P247)
 
私も学生のころとか付き合った相手に、「これからもずっと一緒」みたいに思ったり、言ったりしてたなあ。お互いなにも知らないような状態で、「ずっと」なんてよく言えたよな~って当時の自分を思い出して笑いそうになるキョロキョロ
積み重ねていった結果の「ずっと」であって、「ずっと一緒に」いられるようにお互いが努力していかないと、「ずっと」なんて無理に決まってたのにな~。
 
 
・バビルサの船出
あかつきマーケットで自転車屋を営む祖父を持つ高校生の和樹は、中学の同級生だった大沢がバイク事故で亡くなったということを友人から聞かされる。
大沢とは美術の時間に一度話したことがあるだけだったが、大沢から似ている動物を聞かれ際、「バビルサ(自分の死を見つめる動物)」と答えてしまったことを後悔する和樹。
そんな和樹と、10年前に伴侶である祖母を亡くした祖父とのやりとりのお話。
 
・生きとるあいだに、じゅうぶん大事にした。そんなふうに言った。
生きているあいだに誰かをじゅうぶん大事にしたと、だから別れはつらくないと、そんなふうに言える人はすくないと思う。そこまでの覚悟を持って誰かに接している人なんて、めったにいないんじゃないか。(P263)
 
・「けど、生きてる自分を大事にするのがいちばんの供養やと思ってる」たとえば、ばあちゃんから教えてもらったやりかたで料理ををつくること。それを食べて今日も明日も生きていくということ。ばあちゃんが生きていた頃と同じように、テーブルに花を飾ること。
(中略)ばあちゃんはもうじいちゃんの一部になっている。ばあちゃんだけじゃなくて、今までの人生でかかわった人全部が、自分の一部だ。好きな歌を歌っていた歌手、かっこよかった俳優、仕事を教えてくれた上司、通りすがりの人がしてくれた親切。
そういうもんぜんぶ、自分の中に取りこんで生きとる、とじいちゃんは言う。(P264)
 
誰かが亡くなったときに、じゅうぶん大事にしたと自分は言えるだろうか??
最近自分の彼氏が、人間いつ死ぬかわからないし(これだけ聞くとメンヘラっぽいが)ってことで、ありがとうとか、自分の気持ちとかをちゃんと言葉で伝えてくれるんですよね。
なかなか普段からこうやって感謝とか伝えていくことって恥ずかしかったり、忘れがちだけれど、やっぱろ大事だよなって感じました。
 
 
・生きる私たちのためのスープ
駅の構内のジュースショップで働く主人公と、勤務先の楽器メーカーから経営難の店舗に出向するよう命じられてしまったその夫とのお話。
仕事の悩みから不眠になり食欲も落ちていく夫を、助けることもできずただ見ることしかできないってのはきついよなあ。
 
・のんきな妻、という役をやっている。わりと、必死で。必死であることに気づかれまいと、また必死で。(P277)
 
・たぶん、あの頃の私たちにはわかっていた。「今」がずっと続かないことを。いつか、自分たちが生きているこの瞬間を「あの頃」として懐かしみ、そっと胸に抱く日が来ることを。
「あの頃」のようでなくなっても、夫は私の大切な人だ。だって、結婚する時に約束したから。健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も。
あなたが輝いていても、いなくても、私はあなたのそばにいる。(P285)
 
私も、もし結婚したら主人公みたいな気持ちでいたいな。私の母親みたいに、父親をなじるような関係にはなりたくないな。
 
 
・夜が暗いとはかぎらない
閉店することになったあかつきマーケットの最後のあかつきまつりの前日。
あかつきんの生みの親であるフラワーショップで働く私と商店会会長でありクリーニング屋を営む八波とのやり取り、そしてあかつきんの中の人である柊とその友人の来人とのやり取りのお話です。
 
・以前は俺以外のすべての人は俺よりずっと強くて大人で、たくましく人生を楽しんでいるように見えた。でも、そうでもないのかもしれない。もしかしたら俺だけじゃなく、多くの人が見えない着ぐるみを着て生きているのかもしれない。弱さやあさましい気持ちや泣きごとや嫉妬を内側に隠して、他人には笑顔を見せている。(P305)
 
・俺たちが一年間やってきたことは、何の意味もなかった。
だけど、誰かの人生の物語の場面のひとつになったはずだ。あの日、あかつきんというへんな着ぐるみに遭遇した。誰かがそうやって思い出す時、いっしょにあかつきマーケットのことを思い出してくれたらいい。
妖精が運んでくるちいさな奇跡がなくても、人生は続いていくから。(P314-315)
 
・朝は明るく、夜は暗い。それはただ地球がまわっているだけのことだ。明るいことに良い意味も、暗いことに悪い意味も、含まれていない。ただの朝と夜だ。それでもじぶんたちはくりかえす「ただの朝と夜」を幾度も超えていくしかないのだろう(P316)
 
 
いいお話でした照れ
寺地さんのお話は読んだあとの気持ちというか、改めて大事なことに気づかせてくれる感じがして好きですお願いラブラブ