80冊目:どうしても生きてる | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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どうしても生きてる

朝井リョウ

2019/12/31

 

★ひとことまとめ★

がむしゃらにもがきながら生きている人に寄り添ってくれる作品です

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

歩き続けるのは前に進みたいからではない。
ただ止まれないから。それだけなのに。

デビューから10年 。
進化し続ける著者の最高到達点。

死んでしまいたい、と思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。『健やかな論理』
家庭、仕事、夢、過去、現在、未来。どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろう。『流転』
あなたが見下してバカにしているものが、私の命を引き延ばしている。『七分二十四秒目へ』
社会は変わるべきだけど、今の生活は変えられない。だから考えることをやめました。『風が吹いたとて』
尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が映されているような気がした。『そんなの痛いに決まってる』
性別、容姿、家庭環境。生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。『籤』
 
 
【感想】
今年は読書だけでなく色々なことに挑戦した年だったので、読書ペースが落ちたこともあり、ここ数ヶ月は読んだ冊数も落ちていましたハートブレイク
けれど、最低でも80冊は読み切りたいと思い、ギリギリではありましたが目標の80冊はクリアできました星
 
今年は平成から令和になり、平成のうちに絶対読みたいと思っていた、朝井リョウさんの「死にがいをもとめて生きているの」を読みました乙女のトキメキ
やっぱり、朝井リョウさんは年齢が近いだけあって、共感する部分がとても多くて。
だから、今年のラストも朝井リョウさんで締めたいと思いまして、この作品を2019年最後の一冊にしましたキラキラ
 
・健やかな論理
夫から離婚しようと告げられてから、事故や自殺のニュースを目にした途端、その死亡者のSNSのアカウントを特定するようになった佑季子。
○○だから××、という健やかな論理は、その健やかさを保ったまま、やがて鮮やかに反転する。
離婚を申し込まれたのだから、かわいそう。
新しい恋人ができたら、もう大丈夫。
満たされていないから、クレームを言う。
そんな方程式に、安住してはならない。
自分と他者に、幸福と不幸に、生と死に、明確な境目などない。
 
このお話は共感とまでは行かないんだけれど、似たようなことは考えたことあるんだよね。
 
自殺のニュースや、事故のニュースを見ると、亡くなった方たちも私達と同じように毎日を生きていて、特に事故の場合、まさか自分が亡くなるなんて思っていなかったわけで…。
当たり前に続くと思ってた明日が急にプツリと無くなってしまう。
 
さらに別の視点で考えてみると、どんなに自動車の性能が上がっても、どんなに安全運転が叫ばれるようになっても、自動車事故で亡くなる人の数って実は劇的に減っているわけではない。
同じように、どんなに世の中便利になっても死亡者数って劇的には減っていないんだよね。
昨日まで元気に生きていた人が、急に亡くなる。○○だから、××っていうのは、通用しないのかもしれない。
 
「こんなふうに、ものすごく愛おしさが爆発している数日後に、会うために着替えたりすることすら億劫に思う自分を私は知っている。
健やかな論理だけでは成立させられない人生だからこそ、1足す1の答えとして真っ先に2を選ぶ瞬間の輝きに、張り倒されそうになる。」(P47)
 
 
・流転
自分がストーリーを考え、友人・瀬古が漫画を描く。2人で成功をつかもうと奔走するも、自分の限界に気づき、2人の夢から逃げ出した豊川。夢を諦め保険会社に就職するも、妻の奈央子からも逃げることになり、独立を誘われた同僚の明石からも逃げてしまう。
 
最終的に、豊川は明石に向き合おうと思って行動をするけれど…、豊川のように自分の限界を感じて逃げ出したくなる気持ちもわかる。
 
「みんな言う。自分に嘘をつくな、と。負けてもつらくても泣いても打ちひしがれても絶望しても、自分に嘘だけはつくな、自分だけは裏切るな、と、みんなが口を揃えて言う。」(P103)
 
「みんなで寄ってたかって、何なんだよ。じゃあ、どうすればよかったんだよ。貫けばよかったのかよ。あのときもあのときもあのときも、自分に嘘をつかずに真っ直ぐ歩き続ければ今とは違う未来があったとでも言うのか。」(P104)
 
「自分は一体、どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろうか。築きかけた歴史を裏切ることを繰り返し、結局は何の技術も宿らなかったこの心と入れ物で、あと何十年もいきていくことができるのだろうか。」(P106)
 
 
・七分二十四秒めへ
勤務先の、同じ派遣である先輩の佳恵が契約を切られ、二人ぶんの業務を一人でこなさなければならなくなってしまった依里子。ようやく人が補充されたと思いきや、今度は自分の雇用が切られることとなってしまった。
 
最終出勤を終えた依里子は、佳恵が退職した日と同じように、会社近くのラーメン店「まんぷく堂」へ向かう…。
 
「女性が女性として生きること。この時代に非正規雇用者として働くこと。結婚しない人生、子どもを持たない人生。(中略)生きづらさ生きづらさ生きづらさ。毎日どこに目を向けても、何かしらの情報が目に入る。生き抜くために大切なこと、必要な知識、今から備えておくべきたくさんのもの。
それらに触れるたび、生きていくことを諦めろ、そう言われている気持ちになる。」(P130)
 
自分が見てるチャンネルを、”バカなユーチューバー”と後輩がバカにしてたら焦るよねキョロキョロアセアセ
私もYouTubeって時間の無駄だし、見てる人もバカなんじゃないか?ってもともとは思っていたんですよね。ユーチューバーもバカだろって。
けど、ある時、なにがきっかけだったかな~、なにかのゲームの実況動画を見始めて、YouTube面白いなって思ったんだよねお願い
自分が普段やらないゲームとかも実況で見ると面白くて。
ホラーが好きなんだけれど、怖くて自分ではできないから、ホラゲー実況を見ることが多くて、ここ数年はシーゴさんと兄者弟者を見ることが多いですニコ
 
なにが言いたいかって言うと…誰かからしたらバカに見えるものにだって、助けられている人はいるわけで、バカに見えるただの大食い系ユーチューバーとか、アホかと思うことをたくさんやっているユーチューバーでも、再生数があんなにあるってことは、それを見て救われている人だって、もしかしたらいるかもしれないよね。
 
 
・風が吹いたとて
自動車メーカーで働く夫・義久、高校生の娘・里奈、中学生の息子・貴之と暮らす、由布子。
由布子には半径五メートル以内に考えなければならないこと、やらなければならないことが山程あるため、パソコンの画面に広がる様々なトピックスなどは、どれもこれも、遠い遠い星の話だ。
 
「私は、スマホを持ち込むことも誰かのユニフォームを鷲掴むこともしない。だけど、何もしないということで、誰かが破ったルールの上を、快適に歩いている。
それがいけないことだなんて知ってる。気づいてる。でも、考えなければならないことでぎゅうぎゅうづめの明日が、すぐ目の前に迫っている。」(P180-181)
 
「イライラする。こんなところでどうしようどうしようって言ったって、今さら誠実ぶったっていい子ぶったって、あんたにできることなんて何もないんだから。今さら被害者ぶらないでよ。美しく正しい人間ぶらないでよ。
私は、遠い遠い星の話でそこまで傷つく余裕があるあなたが羨ましいよ。明日どのスーパーで何を買ってどんな保存の利くおかずを作れば出費が少なくて済むのか、こっちはそれで頭がいっぱいなのに。」(P181)
 
私も、LINEニュースとか見てると思っちゃうな。他人の、特に芸能人のニュースとか。”○○と××が離婚”、”○○整形疑惑!?”とか。そんなことに注目してられるほど、毎日暇じゃなくて。
全く自分の人生に関わらないであろう人が、整形していようが離婚していようが…正直どうでもいいとしか思えなくなってきた。
中学生のころとかは、そういった内容がみんなとの会話の内容だったから情報収集というか、そういうニュースでワーキャーしていたけれど、もうそんなことまったくないなあ…。
 
 
・そんなの痛いに決まってる。
この話が一番パンチがありました…。一番胸にガツンときました…。
今の世の中で結構ある話なんじゃないかな。自分よりも高収入な嫁、そのことにプライドがへし折られる旦那。仕事で躓いても、誰にも本音が言えない。嫁が成功すればするほど、言いたいことも言えなくなる、向き合うことも難しくなっていく。
そして、自分のことを全く知らない誰かの前でしか、誰にとっても誰でもない存在としてでしか向き合えない人の前でしか、本心が言えなくなってしまう。
 
「社会人は意外と、顔を突き合わせた状態で何かを決断する機会が少ない。それにより助かっている部分と、じわじわと膿んで死んでいく部分が、同じ肉体の中できちんと共存している。」(P187)
 
「大人になればなるほどさ、傷ついたときほど傷ついた顔しちゃいけないし、泣きないときほど泣いちゃいけないよね」
「痛いときに痛いって言えれば、それでいいのにね」(P238-239)
 
痛くても辛くても、我慢しながら、大人だからしょうがない、大人だからって思って、いろんな自分の心の声を無視することも多くなっちゃったな。。。
 
 
・籤
このお話は一番自分にとって重かったな…。私が不安に思っていたことが書かれていたかな。
もし、大好きな人と結婚して、その人の子供を妊娠したとして、その子供が障がいを持っていたとしたら。私ももしかしたら智昭のように、”外れ籤(くじ)”って思ってしまいかもしれない…。
 
すっごくひどい言い方かもしれないけれど、自分も、智昭の言っているように、
「周りの子どもと違う自分の子どもを、どうしてもかわいく思えないこと。(中略)過去に戻りたいと思いながら毎晩寝付けない夜を過ごすこと。自分の人生が、何もかも変わってしまったように感じられること。」(P276)
って思ってしまうかもしれない。。。自分はみのりのように、それでも生んで育てていくという自信が持てないと思う。。不安で不安で仕方ないし、できるだけ普通でいたいと思い続けてきたのに、そんな自分には絶対ムリだと思ってしまう。。
なんで自分が、どうして自分が、ってずっと思い続けてしまうと思う…。
 
「何でも洗いざらい吐露すること、人間が抱く醜さを抉り出すことが”誤魔化しのなさ”、”嘘のなさ”、快感を生むほどの”正直さ”だなんて褒めそやされるのは、、暗転がある世界での出来事だからだ。(中略)
現実は暗転してくれない。本心を明かすことに多大な覚悟があったとして、その本心がどれだけ誤魔化しのない真実だったとして、その一秒後も、現実はそのまま続く。」(P266)
 
「人間失格って。こんなときでも、ちょっとかっこつけた言い回しを選ぶんだ。」(P279)
こういう、自分に酔っている人間の言う言葉って、聞かされている側は、聞かされれば聞かされるほど冷めるんだよね。
 
「自分はこんなにも醜いのだ、ということを明かしたところで、本当は何の区切りもつかない。なぜ、吐露した側はそこで悦に入ることができるのだろう。こんなにも醜い部分を曝け出せたという点を、自分の強さ、誠実さだと変換して勘違いできるのはどうしてだろう。
そして、さもその一秒後から新たな自分が始まるとでも思っているらしいことも、不思議だ。
イライラする。こっちはただ、真剣に生き続けているところにいきなり吐瀉物をブチまけられたようなものだ。」(P281)
 
「この世の中には、二種類の人間がいる。生きる世界が変わってしまったとき、自分を変えなくていい人。その人のせいで、自分を変えなければならなくなる人。そしてそれはきっと、知らないうちに知らないところで、決められてしまっている。」(P312)
 
インスタグラムとか見てるとさ、みんなの幸せなキラキラした部分しか出ていないしさ、みんなまるで悩みなんて抱えずに生きてるような錯覚に陥る。
好きな人と結婚して、素敵な結婚式して、しばらくして妊娠して、元気で健康でかわいい子供が生まれて…。
そういうのばかり見ているから、日々悩みばっかりの自分がだめなんじゃないか、周りと違うんじゃないかって思うことも多くて。
けど実際は、SNSになんかみんないい部分しか書いてないだけで、裏では自分と同じように毎日悩んで苦しんでるんだよね。
 
 
 
本当に、朝井リョウさんの作品を読んでいると、自分が日々悩んでいるようなことが代弁されているようで、自分以外にも同じように悩んでいて、それでも毎日頑張って生きている人がたくさんいるんだろうな~って、味方になってもらっている気持ちになる。
 
あと、この作品の中に自分の名前(漢字違うけれど)が出てきたり、自分の誕生日の数字の並びがあったりで、ちょっとうれしくなっちゃいました照れハート
 
 
今年も残すところ、あと30分くらいですね星
2019年も読書感想文ブログを見ていただきありがとうございました本
自分の好きな作者さんの本ばかり読んでいる&ネタバレも多いですが、自分が書いた内容がきっかけで「この本読んでみよ~」って思って、自分の好きな作家さんの本が売れるといいな~って思います照れ
 
今年もいろんなことがありました~。仕事でもきついこととかたくさんありました。もう辞めようかなって本当に思っていました。(転職活動したりもしてたせいで有給がゼロになりましたハートブレイクw)
けど、なんだかんだ踏ん張って、どうして頑張ってる自分がこんな苦しまなきゃいけないんだおかしいだろ、と思って、やられたら正攻法でやりかえしたし、地道に勉強したりしていたら、トラブルの原因がなくなって、平穏な日常が戻りました目
頑張ったから報われるってわけではないし、誰も助けてくれないこともあるってわかったけれど、それでも自分のことは見捨てず、自分だけは自分の味方でいたら、色々と好転しましたキラキラ
今年以上に大変なことも辛いこともあるかもしれないけれど、それでも自分を第一に大切にして、2020年も頑張ろうと思います星
 
2020年もよろしくお願いいたしますお願い
皆様、良いお年を…乙女のトキメキ