55冊目:何様 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

何様

朝井リョウ

2019/08/20

 

★ひとことまとめ★

「何者」をもう一度読みたくなります!

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【内容紹介】

生きていくこと、それは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。

光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる。今秋映画公開予定『何者』アナザーストーリー集。

光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。
理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。
瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。
立場の違うそれぞれの人物が織り成す、`就活'の枠を超えた人生の現実。
直木賞受賞作『何者』から3年。いま、朝井リョウのまなざしの先に見えているものは――。

収録作品(関連人物)
『水曜日の南階段はきれい』(光太郎)
『それでは二人組を作ってください』(理香、隆良)
『逆算』(サワ先輩)
『きみだけの絶対』(ギンジ)
『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』(瑞月の父)
『何様』(?!)

ただの前日譚、後日談におさまらない、『何者』以後の発見と考察に満ちた読み応えのある最新作品集。

 

 

【感想】

旅行の準備や友人と会ったりで、読み終わってからなかなかブログ書けずえーん

 

「何者」に出てきた登場人物たちのアナザーストーリーお願い

朝井リョウさんだから良いのは当たり前なんだけれど、もう一度「何者」を読み返したくなるな~。

私映画を先に見てから小説の「何者」を読んだから、この本を読んでいるときも完全に映画のキャストで頭の中で再生されてしまった照れ

思い返せば「何者」が朝井リョウさんを知るきっかけだった気がします。

「桐島、部活やめるってよ」も「何者」の後に見たもんなあキョロキョロ

この本はみなさんにも読んで欲しいのであっさりめに書きます~本

 

 

・水曜日の南階段はきれい

高校卒業を目前に控える光太郎。志望校の御山大に入学し、MUMC(ミヤマ・ユニバーシティ・ミュージック・クラブ)に入ることを夢見るが、合格には今の学力では厳しい…。

そんなときに、同じクラスでいつも階段掃除をしている萩島夕子が英語が得意なことを知り、夕子に英語の勉強を教えてほしいと頼み込む。

 

 

「何者」で書かれていた光太郎の好きな人。

夕子と勉強をしていくうちに、なぜ決まった曜日に階段掃除や窓拭きしているのかが気になり、尋ねるけれど彼女は簡単には教えてくれない。卒業式の後、彼女の残した卒業文集の表紙に掃除をしていた理由が書かれているけれど、その理由がまた…。こりゃ好きにならない男はいないでしょう…。

しかも別れ方が別れ方だから、より一層会いたさが増すよね…お願い

そりゃ光太郎も会いたい一心で頑張るわけだ…。

 

光太郎の感じる、将来への焦りというか、何か成し遂げる人間になる(と周りにアピールする)ことへの必死さもわかるな~って感じ。

自分も夢があって、頑張ってるんですよ!って周りにアピールしておかないといけないみたいな…。

 

夕子が翻訳した本を、光太郎が出版する…そんな未来を見てみたい…えーんハート

 

 

・それでは二人組を作ってください

理香と隆良の出会いのお話。

これはタイトルからしてきっついよね…。

よく3人組で2・1の1側になる人は読んでいてきついというか、悲しくなってくると思う…。

 

里香は姉と二人で住んでいたが、姉が婚約者と暮らすことになったためルームシェアをする相手を探すことになった。

そんな時、タイミング良く大学の友人・朋美がルームシェアに興味があると漏らす。里香は彼女の気を引き、ルームシェアを打診するために、彼女が気に入って見ている番組「ログハウスライフ」のようなお洒落インテリアを購入する…。

 

この話は本当に地獄、、、インテリアショップの店員が隆良なんだけどさ…。

里香の気持ちもわからなくもない。インテリアなんかなくても朋美から選ばれる敦子と、ありのままの自分では朋美の気を引くことができないと思いわざわざインテリアまで購入する里香。

「何者」だけ見ているとあの性格が原因だろって思うけれど、このお話を読むとどうやら幼少期から里香は「選ばれない子」だったみたいで…。

グループを組んでもあぶれて一人になっちゃう人っているけれど、何が原因なんだろうね。ってか自分もそうなったことがあるから原因あれば教えてくださいって感じなんだけれど…。

それにしても里香の場合はえぐい。

みんなでジェットコースター乗っても一人後ろの席な上に、写真撮って~ってカメラマン役…。体育ではストレッチの相手もいない…。

 

・私もやっと、二人組でできている世界の中に、参加することができる。家族とではなく、友達と手を繋いで、堂々と参加することができる。(P90)

 

・小さなころから、女の子とじょうずに二人組になれなかった。何かを察するように、女の子は私と二人組にはなりたがらなかった。いつでも私は、二人組ではない場所から、二人組をじょうずに組める子たちを見ていた。(P100)

 

この文章だけでもう心えぐってくるもんな…。

なぜ里香と隆良が二人でルームシェアしているのか。あんな現実感のないお洒落な部屋なのか…。考えると本当に憂鬱な気持ちになってくる…えーん

どうしたら里香は二人組が組める女の子になれるのだろうか。

 

 

・逆算

このお話はサワ先輩が脇役で出てくるんだけれど、このお話も目の付け所が面白いキョロキョロ

 

25歳の有季は、高校時代当時の彼氏に言われた言葉がきっかけで物事を逆算して考える癖がついてしまう。

「なあ、知ってた?お前の誕生日逆算すると、クリスマスになるんだぜ。」

「お前は、親がクリスマスのムードでやっちゃったときにできたんだって。」

26歳の誕生日を迎え、有季の母親が有季を妊娠した年齢に追いつく。

そして、母親が「やっちゃった」のと同じ年齢のクリスマスの日に有季は…。

 

サワ先輩本当にいい人…。首突っ込んで聞くようなこともおちょくることもなくて、ほんといい男です…。

オチは読んでみてほしい!あ、なるほどね~っニコニコて感じ笑

 

共感できた文章をちょこっと…

 

・本当は想像できないはずの60日後の未来が、会社のシステムのパスワードを変えるまでの期間だと考えた途端、容易に想像できてしまうのはなぜだろう。(P112)

 

・特別なエピソードの中で出会った相手と結婚となると、皆、「そりゃそうだよね」と納得顔になる。

皆、そりゃそうだよね、と思いたいのだ。たとえばきれいな虹の前の夕立。夕立の前のもくもく雲。

物事の興りにまで逆算していけば、そこにはきちんと、全員が納得するような何かしらのきっかけがあると、皆そう信じたいのだ。(P116)

 

・高校球児。サッカー日本代表。箱根駅伝のランナー。みんなみんな、とても大人に見えていた。

オリンピックの金メダリスト。生涯の相手と出会ったといの可純。いつしか、私のほうが様々な影よりも年上になっていた。

ごくせんのヤンクミ。サザエさん。今では誰もが、今の私よりもずっと子供でいていい場所に立ったまま、大人の目をしてこちらをじっと見つめている。(P133)

 

わかるわ〜…

2ヶ月先って遠いって思うのに、PCのパスワードとか色々な更新期限があと2ヶ月だとすぐじゃん!って思っちゃうキョロキョロ

 

名探偵コナンの蘭、クレしんのみさえ、サザエさん、、いろんなキャラクターをわたしは追い抜いたし、子供の頃の私が「大人ってこんなだろうな」と思っていた年齢も過ぎたけど、想像していたことの半分も出来ていない気がする。。

結婚もしてないし子供もいないよ、、

 

 

・きみだけの絶対

烏丸ギンジの甥・亮博が主人公のお話。弟であるギンジの舞台を見に行かれなくなった母親からチケットを渡され、彼女の花奈と舞台を見に行くお話。

ギンジ自体にあまり思い入れがないからか、他の話に比べて「ふ~ん」という感じで読んでしまったなあ。

けどお話のなかで言っている内容については確かになって思った。

 

・今、叔父さんは、花奈のいない劇場で、生きづらさを抱えている人に寄り添いたいとか、社会の中でこの物語を必要としている人に届けたいと言っている。(P178)

 

・叔父さんが何かを差し出すことができているとして、その相手は、土日にきちんと自分の時間を持つことができて、この舞台を観に行くというお金と体の使い方ができる、本当にごく一部の人だけだ。(P179)

 

本当にその内容を伝えたい人物に、果たして伝えたいことは伝わっているんだろうか。

私は本が好きだから、世の中の人がもっと本を読んで、紙としての本も売れて、作家は儲かって(って言うと銭ゲバみたいだけど…)、さらにすごい作家さんが生まれて…ってなっていってほしくて、ブログを通じて本を読む人が少しでも増えたらいいな~って心のなかで思っているんだけれど…キョロキョロ

 

まず、そもそも本を読む人じゃないとこのブログにはたどり着かないよね~。本全く読まない、興味ない、の人がこのブログには来ないよね。

大体、文章を読むこと自体苦手な人だとしたら、ブログだって読みたくないだろうしね。そういう意味では、私のブログも「何も解決できない」ものなのかもしれないな~

 

 

・むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった

このお話は…私の大嫌いな不倫の話…なんだけど、不倫とか関係なく主人公に感情移入ができるのが朝井リョウさんの書くお話の好きなところえーん

 

マナー講師として働く正美は、名前の通り子供のころから成績優秀、親にも迷惑もかけず正しく生きてきた。対して妹の栄子は「むしゃくしゃして」無断欠席をしたり、万引きをしたり、親に暴言を吐いたりしていた。

にもかかわらず、妹が名前を書けば受かるような短大に受かったとき、両親は今まで正美がどんなことをしたって引き出せないような笑顔で短大合格を喜んでいた。

仕事でも、高校時代レディースをやっていた元ヤン講師・東郷に自身の行う予定だった講座を奪われてしまう。

そんな正美が、瑞月の父親・田名部と出会うお話…。

 

世の不条理というか、なぜ真面目に生きている人間が損をするのか?という気持ちになるよね。

 

・学校の先生も、教科書も、両親も、子どもとのころは子どもに対して、いい子であれ、人に迷惑をかけるな、間違ったことをするなと教える。

だけど、大人になった途端、一度くらい本気で喧嘩したほうが人と人は深く分かり合えるとか、人に迷惑をかけてきたからこそ伝えられる何かがあるだなんて言い始める。正しいだけではつまらないなんて、言い始める。(P222-223)

 

・良い人、というよりも、きっと、誰にとってもいい人でいなければならなかった人だ。(P235)

 

正美の気持ちも、田名部の気持ちもわかる。でも、一番可哀想なのは瑞月だよなあ…

 

 

・何様

このお話は「何者」が就活生側であったのに対して、採用する面接官側のお話。

 

人事で面接官やってる友人&その上司が身近にいるからわかるけれど、面接官は人を選べるほど立派な人間なんですか?って言ったら、それは必ずしもそうではないんだよね~。

私の会社の人事の偉い人なんて、セクハラしてた人だし…。せっかく入社した人のこと辞めさせたりしちゃうし…。

 

就活している側からすると、さも面接官がすごい人間と見えてしまうけど、そんなことはないんだと今の会社入ってわかったなあ。

私を担当した面接官が、実は少し前に入社したばかりで社内のことも全然わかってなかったってことも入社してから聞いたしね。

 

このお話では、ついこの間まで選ばれる側だったけれど、今度は人を選ぶ側になる。もともと面接をするような人間でもないのに、合格・不合格を判断しなければならない。その葛藤が書かれています。

 

人を選ぶ目を持つって難しいよね!

会社の社風に合いそうな人間を採る。

みんなが似たように、「リーダーシップ」「協調性」「独創性」みたいなわかりやすい言葉を述べる中、この人だ!って人を選ばないといけない。

その人の本当の、真の部分を探るために質問をしたり、その人の今ももちろん重要だけど、伸びしろを推測したりとか…。

すごく難しいだろうなと思うわショボーン

 

 

私も選ばれる側のうちは、面接官が偉大な存在に見えたし、お祈りされれば自分の存在価値がないって落ち込んだりしたけれど…正直人事だってただの人。

落とされてお祈りばっかりで自分なんて…って思っちゃっても、それは本当にその会社に合わなかっただけなんだと思う。

人事だって同じ人間、体の殆どが水、あと数十年したら骨になり灰になる(行き過ぎw)と考えれば、そこまで自分を卑下する必要もないんだと思える…気がしますキョロキョロ

 

 

朝井リョウさんほんと好きです~若者(もう私はアラサーですが)が抱える悩み苦しみの代弁をしてくれてる感じ…。

自分の思っていたモヤモヤした気持ちを言語化したらこうなる!って感じの言葉ばかりなんだ~えーん

 

同年代の友人に「おすすめの本は?」って聞かれるとき、自分のお気に入りの本ってあまり勧めたくない(のちのち微妙だった~とか、嫌ミスとかホラーだと気持ち悪いとか言われるの嫌だから)んだけど、朝井リョウさんはゴリ押ししてるお願いラブラブ

読みやすいし、わかりやすくて、気持ちに寄り添ってくれるから、同年代で「いや~これ全くわからないわ…」って人いないと思うのお願い

は~ほんと好きです。。。おすすめ!