49冊目:夏の裁断 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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夏の裁断

島本理生

2019/08/04

 

★ひとことまとめ★

奪うだけの男には近寄ってはいけない…

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【内容紹介】

女性作家の前にあらわれた悪魔のような男。男に翻弄され、やがて破綻を迎えた彼女は、静養のために訪れた鎌倉で本を裁断していく。

 

 

【感想】

趣味で作家さんもしているお客様から頂いた本本

もう読んだからあげるわ、ともらったのですが、そのときにお客様から「う~ん、内容はあまり期待しないで…ショボーン」と言われまして。その意味がなんとなくわかったかも。。

私は島本さんが合わないのかもしれない目

ナラタージュも頂いたので(過去に読んだ事あるけれど内容すっかり忘れた)いま読み返しているけれど…う~んショボーン

 

 

内容としては、

・夏の裁断

・秋の通り雨

・冬の沈黙

・春の結論

の4編で、すべて時系列で話がつながっています。

 

ざっくりあらすじ。

主人公の作家・萱野千紘は、出版社の担当・柴田に恋心を抱くが、柴田はとんでもない男で激しく傷つけられる。傷心の千紘は祖父の遺した鎌倉の家で、母に頼まれ祖父の蔵書を自炊することに…。

本をひたすら裁断し取り込みながら、過去を振り返り、自分を苦しめる過去と向き合うことで、少しずつ千紘の気持ちが変化していく。(夏の裁断)

 

過去と向き合い、けじめをつけたつもりだったが、傷ついた心はまだまだ癒えておらず、様々な男性と鎌倉の家で寝る千紘。

そんな時、近所の焼鳥屋でサラリーマンの清野に出会い、意気投合しそのまま彼を家に泊め、定期的に会う仲になる。

他の男と同じで離れていくのではないかと思いつつも、彼との仲を深めていく千紘。彼を接することで、自分の気持ちにまた向き合っていく…。(秋の通り雨)

 

東京に引っ越した千紘と清野の関係はまだ続いている。しかし、はっきりと言葉で何かを言われたわけでもなく、約束もなく、名前のない関係に千紘は悩み始めていた。

清野に不安な気持ちを打ち明けるも…(冬の沈黙)

 

海外に滞在する仕事のオファーを受けたことをきっかけに、英語を習い始め、新しい世界に触れていく千紘。そして、自分を苦しめた過去に向き合うために行動を起こす。

そんなときに、清野から連絡が入る。(春の結論)

 

 

これね、”夏の裁断”が芥川賞候補作になったみたいで、ほかの3篇は書き下ろしなんだけれど、私は”夏の裁断”が一番しっくりこないなあハートブレイク

柴田みたいな、人の気を引くだけ引いて逃げるような男にそこまで固執する理由がわからないし、そこまで固執するほど好きになったのは何がきっかけですか??と思う。

本でも書かれているけれど、ホント洗脳だよね。あなたのこと、僕はわかっていますよ、と受け入れる姿勢を見せてくるのにそっけない。

 

けど、にしても結局柴田のどこが良かったんだ?影のある感じ?共依存じゃないけれど、問題ある同士が惹かれ合ってしまう現象によるもの?手に入らないからこそ欲しくなるやつ?

千紘が柴田に投影してるのは、磯和との過去だよね?

 

なんだかんだ千紘だってキープ扱いしてる都合の良い男もいるけど、それはあちらからの「好き」が見え見えだから欲しくならないのか。

まあそうだよね、自分の事好きっていってくれて、普通にいいやつ、この人と付き合ったら幸せになれそう、でも惹かれない…みたいな人いるよね。

ただ自分が誰かに好かれているという安心感を得たいだけでキープにしてる。結局千紘も柴田のこと言えないくらい人の気持ちを利用してると思うけどなあ。

 

 

愛を知らない、人を翻弄するだけのろくでもない男と、過去に問題を抱え男性との距離感がつかめない女とのやり取りを読みすすめるのが苦痛だ…もやもや

親との関係にいまだに苦しみ、恋愛でも色々トラブルのある千紘と同年代の私でさえ読んでて理解できない。

 

 

はっきり言って「そんな男(柴田)のことなんて考えてないで、さっさと忘れろ、よくある話だ」でしかないんだけど、単調な作業(千紘の場合は自炊)をしているときに色々と回想してしまうのはわかるな〜。

そう言う意味ではどこにでもよくある、叶わない恋、絶対恋してはいけない相手への片思いだったり、好きと言ってくる男とはなんか付き合う気しないな〜から、気持ちが一段落するまでの話。

 

島本さんは1人称、主人公の目線で話を書いているけれど、だからこそ回りくどい・事細かい感情の表現が気になるというか。表現がキザ?というか。

うーん、そりゃ事細かな感情の動きも書かずにただ「嬉しかった」「悲しかった」しか書かなかったら、1冊本書くのなんて難しいと思うけど。。

なぜか島本さんの本だと気になっちゃうんだよな〜そんな回りくどく悩むことか?って思っちゃうというか。というかただ単に島本さんが合わないのか、、

 

その中でも同感できた文を…

 

・「誰にも自分を明け渡さないこと。選別されたり否定させる感覚を抱かせる相手は、あなたにとって対等じゃない。自分にとって本当に心地よいものだけを掴むこと。」(P120)

 

・傷つきすぎて空いてしまった場所を埋めるには、質より量なのだ。(P144)

 

・本当に嫉妬ではない。なぜならこの人は私のものではないからだ。(P200)

 

・「あなたとの間になにもないから、私はあなたになにも言うことだってできない。明日連絡しなくなったらそれっきりなんですよ。だからわ関係性の名前を」

「関係性を定義づけたら離れていかないものですか?人は」(P224)

 

・分かっている。どんな誓いだって裏切られることはある。(中略)「それでも不安なんです」(P224)

 

 

まあそういう意味では、周りから辞めたほうがいいよって言われるような恋愛に、ひとり悶々とあれやこれや考え悩み続けている人には共感できる本なのかもしれない。

わたしは何も生まない不毛な恋愛にだらだら考える時間を割くのが嫌いなので、そんな恋愛さっさと辞めろ、悩む時間が無駄だという感想しか持てない。。

ナラタージュもそう。。

 

島本さん苦手だとわかったわけだけど、ファーストラブも前に買っちゃってるんだよなあ、まだ読んでないけど…スライム

この作家さんは自分と合わないな、というのを確認することも必要かなーと思うので(どういうところが苦手なのか知ることで同じような書き方の本を避けられる)とりあえず読むけど。

 

なんか全ての本を同じくらいのテンションというか、受け取り方で読まないといけないって思ってるところがあったんだよね〜。

特に「ベストセラー」とかだと、しっくりこない自分がおかしいのか?とか、苦手だと思う自分は人と違うのか?とか思ってたんだよね。

でもさ、作家さんもみんなそれぞれ作風とか書き方の特徴があるように、受け取る側の読者にも受け取り方に特徴あったっていいわけだよね。

本の感想もそうで、書き方によっては私のブログ見ただけで「この本はつまらないんだ」って思って、その本と疎遠になる人もいるかもしれないよなぁ、と思ったり。

 

けれど、別に私が苦手って感じただけで、他の誰かからしたらすごく良い本なのかもしれない。私の感想はこうだけど、真逆の感想を持つ人もきっといると思うし、読みたいなーと思った本はぜひ自分で読んでみてほしいと言いたいキョロキョロ

なぞのメッセージw

 

 

本文の中でカエザルのものはカエザルに返せ、と出てきますが、よくわからなくて調べたら聖書の「皇帝のものは皇帝に(カエサルのものはカエサルに)」という一文なんですね。

意味や逸話を調べても結局あまり理解ができなかったよぉおねがい

磯和との過去を別の男(柴田他)で上書きなんて無理なんだから、磯和とのことは磯和と直接解決しろってことだよねたぶんニコ

 

【追記】

Amazonのレビューで私の気持ちにぴったりな感想を発見しました。おそらく私も芥川賞に興味がないのでしょう…。

芥川賞は純文学の新人賞であり、「学問のための文章でなく美的形成に重点を置いた文学作品」という基準で選ばるため、話の筋の重要性・面白さよりも、いかに芸術的かというところに重きを置いている賞とのこと。芸術性に重きを置いているのが「純文学」、それとは逆で話の面白さ・娯楽性に重きを置いているのが「大衆文学」であり、直木賞。

そう考えると私は直木賞作品を読むほうが合っているんだろうなあ…。

 

でもさあ島本さんのファーストラブは直木賞受賞してるんだよね。そこがムムムなんだけれど。ファーストラブはストーリーが良かったんでしょうか…?

 

心情や風景等を事細かに書いて芸術的に素晴らしい!といえる作品が純文学なんだろうけど、白黒はっきりを本にも求める私からすると読むのがストレスになる…。結局なんなんだ…というような…ショボーン

そう考えるとコンビニ人間は退屈せずに読めたな~芥川賞受賞作だけど。

芥川賞について調べていたサイトにも書いてあったけれど、芥川賞が何たるやを知らず(私じゃんw)に「芥川賞取ったってことは面白いんでしょ??」って思って読むと挫折するし、なんだ賞取ってる本なのにつまんないな…って思って読書から遠ざかるよね。

なので、話のストーリーや面白さを重要視する方は直木賞受賞作品や直木賞候補のほうがあっているのかもね。

 

というか結局は作家さん次第だな…