オリエント急行殺人事件
アガサ・クリスティ
田内志文=訳
2019/04/03
★ひとことまとめ★
さすがかの有名な推理小説という感じ!
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
高級寝台特急で起きた殺人事件の容疑者は、目的地以外は共通点のない乗客たち。世界一の探偵、エルキュール・ポアロが導き出した真実とは――。
”ミステリーの女王”の代表作が読みやすい新訳で登場!
【感想】
茂木さんの本で、いい本はネタバレしていても面白いということを読んで、有名な「オリエント急行殺人事件」を読むことにしました。
前情報として”列車の中”"乗客全員容疑者"ということだけ(だけというかこれがすべてだけどw)知っていて、どういうストーリーなのかは全く知らなかったです。
というか、エルキュール・ポアロシリーズを読むのもこれが初めて。なぜかと言うと、子供のころから外国人作家さんがどうも苦手で…そもそもカタカナの人名が覚えられず…誰が誰??となってしまうのと、いろいろと想像がし辛い(私の母親はむしろ想像し辛いからこそ、自分で想像して考えるのが楽しいらしい)とか
いろいろ理由はあるのですが…
これも読書の筋トレ!と思って苦手なところに挑戦してみました。
冬のある日、旅先から急遽ロンドンに戻らなくてはいけなくなってしまったポアロ。寝台列車のチケットを取ろうとするも、季節外れのまさかの満席。満席なんてことは滅多にない。
偶然ホテルで再会した寝台車の会社の取締役であるブークが気を利かせ、いつも何かあったとき用に空きにしてある十六番の客室で共に帰ろうとするも、そちらも満席。
しかし、まだ乗車していない乗客がいるとのことで、半ば無理やり(取締役の圧力…)その客室で乗車することに。結局その乗客は来ず。
そんなこんなで、ロンドンまでの列車での旅がはじまるのだけど、その道中乗客の一人である男性・ラチェットが何者かに刺殺されてしまう。
列車は大雪のため立ち往生、犯人が逃げることは不可能。となると、犯人はポアロと同じ車両の乗客たちのうちの誰かということになる…。
ポアロは別車両のブークと、乗り合わせた医師のコンスタンティンとともに、推理を始めていきます。
乗客がすべて容疑者とは、どういうことなのか全くわからず、どうしたらこの出身も年齢も職業も全く違う、一見赤の他人同士に見える人々がつながるのか?
アリバイはどう説明するのか?なぜラチェットは殺されなければならなかったのか、ブークと同じようにポアロに心の中で問いかけながら読み進めました。
想像力が乏しいので、現場に残っていた燃えカスの紙片を帽子箱の金網で炙り字を浮き出すという部分は、全く意味がわからず思わずGoogleで画像検索しました
帽子箱に金網がついてることも知らなかったので、どういうことなのか全然わからず
なるほど、要はザルみたいな、帽子を型崩れさせない金網があって、その上に紙片を置いて、炙ると文字の部分だけ光るのですね…
画像を見てもいまいちなんでかわからないけれど、インク部分が熱っせられて赤く浮かび上がるのかな?
ストーリーはなるほど、そうつながっているのか、という感想でした。
乗客はみんな、ある事件に関わっていたという共通点があった。そして、乗り合わせた目的も1つ。季節外れの満席は偶然ではなく、計画して乗り合わせたからこそ。
ポアロが乗ってこなければ、きっと誰もこの真相にたどり着くことはできず、完全犯罪になっていたはず。
みんな、予想外の乗客がポアロと言うことを知ったときは「面倒なことになった」って思ったはず
小五郎のおっちゃんとか金田一一がその場にいたりすると犯人たちみんな身構えるよね。
そして、ポアロは乗客たちに自分の推理を2パターン聞かせるんだけど、終わり方がなんとも紳士的…。最終的にはどちらのパターンの結末にするか、ブークとコンスタンティンに委ねるんですね。
情状酌量というんでしょうか。
ポアロは推理、そしてそれが真実かどうかということには重きを置くけれど、逮捕・裁くということには重きを置いていないのかなという印象を受けました。
あくまでも推理は推理、ただし犯人たちの気持ちを汲み取って、真実を心の中にしまっておくこともできる。
こういう推理小説で、こういう終わり方もあるのだなと驚きました。
なかなか自分の読んできた小説ではこういった終わり方はなかったので、斬新だな~と思いました。
コナンくんだったら絶対自首を勧めてるね。
どんな理由があっても、人を殺したらだめなんだということを説いてそう。
結局ガウンを着た人は誰だったのか??
誰がポアロのカバンに入れたのか??
そこまでは回収しないんだな~と少しモヤモヤもしたかな。(もはやそんなのは誰でもいいのかもしれないけれど)
あと、ポアロってリンダ・アーデンの作品は知ってたみたいだけど、顔って知らなかったのかな?知っていたら、わかりそうなものだけれどと思ったなあ
ただ、やはり英文を訳しているからなのか、会話の意味がわからない部分がチラホラある。
原文はいったいどうなっているのか?と思うような表現もある。
Amazonのレビューでも書かれていたけれど、誤訳も結構あるんですね。
外国人作家さんの作品を日本語で読むとなると、やはり訳さないといけないわけで、全く原文のニュアンスをそのまま日本語に訳するということも難しいだろうし、逆に日本語を英語にするのも難しいと思うけれど、そういう面で読みづらさが出てくるんだよな~。
洋画などもそうだけれど、わかりやすく視聴者・読者に意味を伝えるためには意訳も必要だと思うし。
あとは普通に訳し間違い=誤訳もあるんだろうけれど、訳すのも難しいんだろうな~と思いながら読んでました。
別の人の訳でも読んでみたいと思った
もっと純粋に読みたいのであれば英語版を読むのが一番なんだろうが…。いかんせんそこまでの英語力がない…
学生のときに思っていたほどの外国人作家さんの読みづらさはなかったけれど、それでも少し読みづらいな~。想像がし辛いからかな?
ただ、ポアロシリーズはこれからも少しずつ読んでいこうと思いました