7冊目:女ともだち | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

女ともだち

角田光代・井上荒野・栗田有起

唯野未歩子・川上弘美

2019/02/12

 

 

★ひとことまとめ★

女友達との関係をこれからも大切にしていきたいなと思えた◎

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

人気女性作家5人が競演! 5編の女子小説 

女ともだちは、恋人よりも愛おしい。

江國香織さんお薦め!
〈5人の作家それぞれの、鉛筆のとがらせかたと、その濃淡。

女たちの、可憐さと翳り。あちこちに息づく彼女たちの生にどきりとします。〉

角田光代 『海まであとどれくらい?』――私たち五人は〈のりちゃんの

駆け落ちを支援する作戦会議〉のあと五年ぶりに再会した。

のりちゃんは新人シナリオ作家になっていたのだけれど‥。

井上荒野 『野江さんと蒟蒻』――恋人と一緒に住んでいるぼくのアパート

に、突然やってきた彼女は、まな板の上の蒟蒻を麺棒で叩きつけた!

唯野未歩子 『握られたくて』――30歳を前にしたわたしは恋人募集中だ。

女ともだちに紹介された男の子との初めてのデートは、なぜか東京湾での

夜釣りだった‥。

栗田有起 『その角を左に曲がって』――ひとみさんは、いつも体のどこかを

怪我している。しかも、なぜか体の左側ばかり。

川上弘美『エイコちゃんのしっぽ』――〈短いしっぽがあるんだ、わたし〉

と同僚のエイコちゃんは言った。あたしは時々そのしっぽをスカートの上から

さわらせてもらう。

 

 

【感想】

派遣で働く女性たち&友情のアンソロジー。

最近アンソロジー読んでいなかったので久しぶりに!

 

海まであとどれくらい?(角田光代)

同じ派遣先で働いていた5人の女性の再会のお話。

派遣で働く自分は仮の姿で、これから仮ではない場所に行くのだと思っていた。

 

5年ぶりのみんなは、それぞれ肩書を手に入れたり、結婚したり、母になっていたり、得意分野で独立していたりするのに、自分だけが変わり映えしないと思って引け目を感じていたけれど会って話してみるとみんな中身は変わっていない、って部分があったけれど、この気持ちわかる。

 

私も学生時代の友達がみんな自立しているように見えて、自分だけが取り残されてるように思える。

でも、実際会ってみると中身の部分はなんにも変わってなくて10数年も前のことなのに、学生時代の話を昨日のことみたいに話せちゃう。みんなもみんな、きっと思ってるんだろうな。

 

「あれ、仮じゃなかったんだなあ。私はそんなふうに思った。

退屈で、ぱっとしなくて、もっと輝いた場所がどこかにあるとずっと思っていたけれど、私たちはちゃんと、本来の姿で本来いるべき場所にいたんだなあ。(中略)

私たちの交わしたどうでもいいようないくつもの会話も、だれでもできると心の隅で思っていた仕事も、ぜんぶぜんぶ、入れ替えのきかない、ほんものだったんだ。」(P32)

 

「私は今、のりちゃんのようなかっこいい肩書も持っておらず、松本みたいに育てるべきだれかもいなくて、チワワみたいに手に職もなく、ゆかちんみたいな大きな予定もないけれど、それでもやっぱり今いるところは仮ではなくて、あのときのように、馬鹿話ばっかりして笑っていたあのときのように、私が今いるべき場所にきちんといるんだと思った。

十年後の私たちが思いだしたとしたら、泣きたくなるほど楽しい場所に、今きちんと足をついているんだと思った。」(P34)

 

当時はだらだらしてて、しょうもない話して、ただ時間が過ぎるって無駄な時間だなあ~って思ってたれど、今思い出すと、その時間もすごくいい思い出なんだよね。

あ~楽しかったなあって。

たぶん、今この瞬間も、何年後かに振り返ってみると、あ~楽しかったよなあって思うんだろうな。

 

 

・野江さんと蒟蒻(井上荒野)

このお話はなんといっていいかわからなかった…

少なくとも「女ともだち」というテーマではないような。

こんにゃくの炒め煮の話を職場の派遣の野江さんとしてたら、近所のスーパーで嫁と買い物中にばったり会って(ばったりと見せかけた待ち伏せ)、家に来てこんにゃくを麺棒で叩くだけ叩いて帰っていくとか…

恐怖でしかないぞ…。

 

 

・その角を左に曲がって(栗田有起)

派遣先の会社のキャリアウーマン・ひとみさんと、トイレで遭遇したことをきっかけに食事する仲になった聡子。

ひたすらやるべきことをこなしていく毎日、退屈から逃れる手段がわからずに、心底ぼんやり日々を持て余す自分。

 

方や、有能で美しく、魅力的なひとみさん。

どんな難局にぶつかっても、大股でわしわしと問題を踏みつけるに違いない。

彼女のことを考えると、勇気づけられる、心の充電が完了し、しあわせな気持ちで自分の業務に戻ることができる。

 

こんなふうに思える存在がいるっていいな~!

彼女の頑張りを見て、自分も頑張るぞって思える存在。

やっている仕事も、立場も違うけれど、決して比べて卑屈になって落ち込むのではなく、自分は自分なりに頑張ると思える存在。いいな~と思うし、自分も誰かの、そんな存在になれたらいいな~と思う。

なれるのかな…???

 

 

・握られたくて(唯野未歩子)

このお話で自分にグサっと来てしまったのは

「しかし、すぐれた女の子にも障壁はある。

それは、女の子が女の子じゃなくなる日の到来。

キャリアを積んだものとされ、いっちょまえに扱われ、

ひとりの人間として認められると同時に、女の子枠から

勝手に外され、いつのまにやら責任を負わされる。

誰もが、いつまでも女の子ではいられないという、

非情な現実。」(P98)

まさに数年後の私…。仕事ができるいち社会人としての

女性になるのか、それとも結婚して仕事よりも妻としての

女性になるのか、それとも何にもなれず女の子もどきみたいに

なってしまうのか…。

 

そしてこのお話の主人公も、結婚し寿退社をしようと計画するが、そもそも論、わたしには恋人がいない/(^o^)\

ということで、寿司嫌いなのに鮨屋の跡取りを友達に紹介してもらい、なんとしてでも、嫌なことを我慢してでも、この人と結婚しなくてはと意気込み、デートへ。

 

けど、嫌なことを我慢して向き合うくらいなら、結婚できなくてもいいやと気づく。

そりゃそうだよね。好きでもない人と寿退社する(そもそもできるのか)ために苦手な寿司、魚克服するとか無理…。

 

しかも、結婚して順風満帆に見えていた友達から、実は専業主婦としての自分にずっと悩んでいたと打ち明けられる。

中身は変わってないはずなのに、独身とか既婚とか、バイトとか正社員で意見を区別して、きっと言ってもわかんないんだろうな~って思って言わないことあるよね。

本当は、それぞれの立場なりに悩んでるし、聞いてもらいたい

ことだってあるはずだよね。

 

お互いの立場とかが変わっても、素直にいろいろと話せる友達関係でありたいな。

多くが、なんか合わないなって感じて、疎遠になるパターンだよね。

そうじゃなくて、違いは認めつつも、お互いを高めあえる関係でありたいな~。

 

 

・エイコちゃんのしっぽ(川上弘美)

同じ派遣会社に所属している、5歳年上のエイコちゃん。

エイコちゃんと自分は考え方は違うけれど、気が合う。

「価値観が違っても、気が合うひととは、気が合う」(P143)

それな~。よく価値観の違いで別れるとかあるけれど、難しい所だよね。価値観が違うからこそ、自分とは違う、新鮮さを感じていいなって思うわけだし。

自分と全く価値観が同じ人が友達なり恋人だとして、うまくいくかって考えたら、いかない気がする。。。

ここは譲れない、みたいな部分が相違していたら、それはもう仕方ないのかもしれないけれど。

 

まどかの感じた、派遣先の長尾さんに感じる違和感みたいなところにわかるわかるとうなずいてしまった。

派遣先の会社の長尾さんを、いいなって思ってたら、相手が歓迎会を開いてくれて、映画にも誘ってくれた。

その映画がしょーもないつまらない映画なのに、

彼はその映画で泣いていた。(違和感ポイント1)

居酒屋で注文したものを分け合って食べるのかと思いきや自分の注文したものは大切そうに自分で食べている。(違和感ポイント2)

ご飯のしたくは女(まどか)がすると思い込んでる(違和感ポイント3)

まどかを、「若い子」という独自の若い子イメージに当てはめて考える(違和感ポイント4)

 

目を瞑ろうと思っても、無理なんだよなあ。

糞つまらん映画で泣く人の気持ちはわからないけれど、それはその人の感受性とか価値観によるものだし、居酒屋で頼んだメニュー自分で全部食べる(これ私も実際

遭遇したことある。)のも、いや、わかるけどさあ…みたいな。

そういう育ち方というか、そういう価値観のグループの中で生きてきたんだろうけれど。。

 

そしてこの後の、まどかが仕事辞めるときの、映画も行ったし、食事も行ったし、俺の車に乗ってるんだから(送別会と謳って乗せられた)ホテル行っていいんだよな?感。

頭おかしい…。

エイコちゃんの機転によって事なきを得るけど、いや~気持ち悪すぎる。

こういう男性は派遣のこと「派遣さん」扱いっていうか、下に見たそういう扱いがわかりやすすぎてほんと無理…。

完全に長尾さん気持ち悪いな感想になっている…。

 

 

女ともだちってよりは、派遣が前面にでているアンソロジーだった!