風花
川上弘美
2018/10/17
★ひとことまとめ★
ハッピーでも、バッドでもない終わり方。もやもやは残るかも。
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介
結婚7年目。心はゆっくりとすれ違っていく。
のゆり、33歳。夫に恋人がいた。離婚をほのめかされた。途方に暮れながらも、のゆりの生活は続いていく。季節が移ろうように、変わっていく愛のかたちを描く傑作恋愛小説。(解説/小池真理子)
【感想】
こちらも王様のブランチの本に紹介されていたので、読んでみた◎
この本は読みやすいんだけれど、好き嫌いが分かれるかもしれない。私はどちらかというと苦手な方。川上さんの本が嫌とか、話がつまらないとかではなくて、ひたすら主人公にいらいらというか、もんもんとする。
とにかく主人公がのんびりゆったりな感じ。自分の気持ちとか、プライドとか、ないのか?って思っちゃう。
彼と別れたくないという気持ちははっきりとわかった。離婚するのは絶対に嫌と。
だからこそ、ラストも「え?急に?」って感じてしまう。
自分も同じ立場だったら、たしかにのゆりのように、なんだか急に冷めたり、ぷつっと何かの糸が切れるような感じになるかもしれない。
けれど、なんというか、読んでいるといらいらもやもやになってくるんだよなあ。
不倫された妻の、独り言をずーっと聞いている感じ。でもでも、だって、それでも私は好きで、みたいな独り言を延々と聞かされて、うんうんそっかそっか、のゆりがいいんならそれでいいんじゃないみたいな感じで聞いていると、ある日急にすっと冷静になって淡々として感じに変わってるみたいな。え、急に?みたいな。
きっと、一人で考えるうちにいろいろな心境の変化があって、結果そうなったのかもしれないけれど、聞かされている側からすると「いや、それはたしかにその結論でもいいのかもしれないけれど、なに、急になんでその考えになったの?」って思うような感じ。
え、あ、そうなんだ~…みたいな感じ。
いや、不倫した卓哉が100%悪いし、自業自得だし、のゆりの出した結論も間違えていないし、それでいいのかもしれないけれど、読んでいる私は置いていかれてる感がした。
きっと、のんびりゆったりしているように見えて、傷ついてないように見えて、本当はたくさん傷ついていて、それがある日ふっと冷静になって結論を出したんだろうけどね。不倫相手と直接ご飯にいかなきゃいけないとか、旦那が寝た女と電話しなきゃいけないとか、どんな罰ゲームだよって思うしね。心がズタボロにされて、不倫は心の殺人とか言われるのに、それでも妻は別れない、もとに戻れると思う謎の自信がある男も馬鹿だよね。
読んでいてもんもんとして本だった。