50冊目:ままならないから私とあなた | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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ままならないから私とあなた

朝井リョウ

2018/07/23

 
 

 

★ひとことまとめ★

なんとも言えないもどかしい気持ちになります。。。

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

 

【Amazon内容紹介】

先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。
しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。
不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。 「レンタル世界」

成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。
無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。
幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、そして決定的に対立する瞬間が訪れる。 「ままならないから私とあなた」

正しいと思われていることは、本当に正しいのか。
読者の価値観を心地よく揺さぶる二篇。

 

 

【感想】

世にも奇妙な君物語がよかったので朝井リョウさん

 

・レンタル世界

自分が正しいと思った世界は、本当に正しい世界なのか?と考えさせられるお話だった。

雄太みたいな学生って、きっとどこにもいるよね。体育会系、うっす!やります!みたいな、先輩後輩との関係もかなり良くて、ガツガツ系の会社で体育会系のノリでなんでもやるから可愛がられて、みたいな。

いろんなことあったんだろうけれど、きっと人生成功していて、うまくいっていて、自分のやり方、考え方が正しいと信じて疑わない感じ。

 

人間関係をレンタルするなんて、そんなのは絶対おかしいと思って疑わない。レンタル業をしている芽衣に、それはおかしいとなんとかわからせようとするけれど、結局自分が正しいと思っていた人間関係こそが、間違っていたということに気付かされる。

あくまでも、自分の考えは自分の経験に基づくものであって、相手に押し付けるのはいい迷惑にもなるよね。

自分が正しいって思っている今の人間関係って、本当に正しいものなのだろうか?もしかして、誰かに無理をさせているものではないのか?って思ってしまうお話だった。

 

 

・ままならないから私とあなた

小学生からの親友の雪子と薫の、成長とともにどんどん変わっていってしまう二人の方向性や考え方になんとも言えない気分になった。薫の言うこともわかる。便利な技術を受け入れて使っているのに、自分を脅かしそうなものが出てきたら、試しもしないで逃げる。

 

合理性によって省かれる人間的なもの、でもそのかわりにこれまでになかった人間性も生まれる。これまで正しいと思っていた何かがなくなって、全く新しい、次の時代にとっては正しいかもしれないものが生まれる可能性もある。

わかる。薫の言うこともわかる。誰もが、持って生まれた才能の差とか、ハンディキャップとかを感じず、標準化された世の中っていいと思う。できないことが誰にでもできるようになる。薫の作ったソフトを使えば、モチベーションとかに左右されず、作品を作ることも可能だと思う。

 

けれど、私はどちらかというと雪子の考えに近いんだよな。

 

「誰でも何でもできるようになったら、皆同じになっちゃうから。ままならないことがあるから、みんな別々の人間でいられるんだもん(P249)」

 

薫の作ったソフトが奏でる、さっきまで雪子が悩んで苦しんで作った、雪子らしさの詰まった曲に酷似した曲。才能なんて、アイデアなんて、簡単にパターン化できて、再現できてしまうってことが突きつけられて、読んでいて猛烈に悲しくなってしまった…。

そして、なんだか怖くなってしまった。

 

「これさえあれば、いくらでもユッコらしい曲ができるよ。もしユッコの耳が聴こえなくなっちゃっても、不慮の事故で死んじゃっても、その先もずっと、永遠に(P233)」

 

良くここまで自分と考え方が変わってしまった薫と友達でいれたよなあ~って雪子が不思議に思う。自分と違うからこそ?誇り?自慢の友達だから?私はここまで考え方が変わってしまったら、一緒にいることは難しいかもしれないな。

 

薫はちょっと極端だけれど、でも、こういう考えの人も多いよね。効率的か、非効率か。合理的か非合理的か。無駄か無駄じゃないか…。きっと薫からしたら私の人生は無駄ばっかりだなあ~。。。

 

そして、この本に最後ぐっと来てしまったのは、最後のページの、日付。

2022年7月24日。2022年は置いておいて、この日(今日)が自分の誕生日だから、なんだか最後の最後で心臓がギュッとなったww

だからこの本の感想は今日書かないとな~って思ったww

 

 

朝井リョウさんいいな~また読もう。