【Amazon内容紹介】
文学新人賞を受賞した加代子は、憧れの〈小説家〉になれる……はずだったが、同時受賞者は元・人気アイドル。すべての注目をかっさらわれて二年半、依頼もないのに「山の上ホテル」に自腹でカンヅメになった加代子を、大学時代の先輩・遠藤が訪ねてくる。大手出版社に勤める遠藤から、上の階で大御所作家・東十条宗典が執筆中と聞き――。文学史上最も不遇な新人作家の激闘開始!
【感想】
アッコちゃんシリーズがとてもおもしろかったので、他の作品も読んでみようと手にした本。
小説家を目指す加代子。演じる特技を活かして、自らチャンスをガツガツと掴んでいく。
新人賞を受賞したのは良いものの、出来レースで一緒に賞を受賞した、元アイドル島田かれんに話題も注目もすべてかっさらわれてしまう。その悔しさや苦しみや悲しみ、屈辱をバネにして加代子は様々な手を使って出版界をのし上がっていく…。
なにもないところからスタートして、ちょっと成功して調子に乗ってしまったり、挫折、先輩との衝突…様々な壁にぶち当たりながらも、持ち前の上昇志向でのし上がっていく加代子。
特に、最後の部分に加代子の執念深さを感じてしまった。島田かれんに対する恐ろしいほどの執着。確かに中盤でも嫌いには嫌いだっただろうけど、まさかここまで執着していたなんてと思った。今までの成功は、全部この復讐のためにあったのではないかとちょっとゾクっとしてしまった。
ただ、加代子の成功物語のいっちばん始めのキッカケの、山の上ホテルからさんざんやりあってきた東十条との和解?にはジーンときてしまった。作家という職業の、華やかな部分も、辛い部分を見てきた2人だからこそ、最後の最後友達になることができたんだろうな~。
お話自体は、加代子の成功物語に頑張れ!とも思ったし、負けず嫌い、上昇志向にびっくりもしたけれど、すこしだけ出版業界についても知ることができた気がする。しがらみとか、色々な制約とかあって、大変な職業だよな~とも思った。
あと、自分知っている作家さんの名前がたくさんでてきた!普通、作品上の空想の人物だったりするけれど、この作品には本当の実在の作家さんが出てくる。なんだか、加代子も実在の作家さんをモデルにしたのでは?と思ってしまう。
実際、同じような読書感想系のブログやらサイトを見たけれど、東十条も実際あの人?って思うようなモデルさんがいるみたいだね。私は本はよく読むけれど、作家さんについては疎いので、ぜんっぜんわからなかったけれど…←
そういうことをもし知っていたなら、もっと深く読むことができたかもしれない。
アッコちゃんもそうだけれど、主人公のキャラがすごいね!個性的で。
比べるものでもないけれど、私はこの作品よりもアッコちゃんシリーズの方が好きかも!