18冊目:3時のアッコちゃん | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

3時のアッコちゃん

柚木麻子

2018/02/22読了


★ひとことまとめ★

美味しいご飯を食べて心も身体もリラックスしたくなる

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 
 
【Amazon内容紹介】
アッコ女史ふたたび! 大人気の「ランチのアッコちゃん」に、待望の続編が登場!!澤田三智子は高潮物産の契約社員として、
シャンパンのキャンペーン企画チームに入っているが、会議は停滞してうまくいかない。そこに現れたのが黒川敦子女史、懐かしのアッコさんであった。イギリスでティーについて学んできたというアッコさんが、お茶とお菓子で会議の進行を激変させていく。またもやアッコさんの底知れぬ力をまざまざと見せつけられる三智子であった――
表題作ほか、「メトロのアッコちゃん」「シュシュと猪」「梅田駅アンダーワールド」を含む全4編。
 
【感想】
アッコちゃんシリーズ2作目!
1作目、3作目と同じで読んでいて元気のもらえる本だった!
 
第1話の3時のアッコちゃんはお茶会のお話。(現実の会社でここまでお茶会の力で会議がうまくいくかはわからないけれど…)
暑い紅茶や、サンドイッチやケーキ…読んでいるだけでカフェで自分もお茶をしたい気分になった!
 
また、
・---そうか、これは喧嘩じゃないんだ。議論なんだ。部長を悪者にして前時代的と決めつけ、その存在に怯え、自分が善良なる弱者と思い込むのは間違いだ。部長は本気で、クリスマスは華やかに過ごすべきもの、贅沢をするもの、と考えている。そこに悪気もおごりもない。勘違いしたままここまで来てしまったのは、彼の性格に問題があるのではなく、誰も彼に意見する勇気がなかっただけなのだ。違う意見がぶつかり合う、それこそが会議なのに。会議のあるべき姿なのに。(P36)
 
会議やディベートなどでは、自分と違う意見や反対意見を”悪者”にしたり、排除したり押し込めようとしがちだけれど、この三智子の一言で、そうだよなあ、出る意見に良いも悪いも本当はないんだよなあと。
自分と違う価値観に対して危険信号みたいなものが出てしまうけれど、その意見にも寄り添わないことには会議は進んでいかないんだよね。相手の意見も尊重しつつ、自分の意見も伝えつつ、1+1で3とか4を作る感じだよね。
 
2話目のメトロのアッコちゃんは、幹事のアッコちゃんでもちらっと出てきたけれど、ブラック企業で努めていた女性のお話!アッコちゃんと出会い、アッコちゃんのスムージーを飲み続けることで、環境を変える決心がついた明海のお話。本当に、アッコちゃんはいろんなひとに元気を与えているよな~。明海ほど私は別に忙しく働いているわけでもないけれど、同じ気持ちになってしまうことは、明海の心情に同感した。
 
・もう誰からも批判されたくない。無能であること、弱い人間であることを許してほしかった。そう、許してほしい---。こんな駄目な人間であることを、世界に許して欲しい。(P52)
 
私もうまくいかないときとか、同じような気持ちになってしまうから、そんな時にアッコちゃんの正論&正論を聞いても、私も明海みたいにひねくれてしまうかもしれない…。。
でも、アッコちゃんの、スムージーに関しての一言には確かにそうかも、、、と思った!
 
・確かに慣れるまでは飲みづらいかもしれないけど、契約農家で育てている、無農薬で甘みが強い旬の野菜ばかりよ。常連さんには味わいが深くて美味しいって評判なの。甘みを感じられないのは、あなたの味覚にも問題あるんじゃないのかしらねえ。もうずっと旬の野菜や果物なんてとってないんでしょう?(P60)
 
たしかに…アッコちゃんのシリーズでは、食べ物を通して、人とのコミュニケーションが円滑になったり、自分自身が元気になったり、色々学ぶことがあったけれど、やっぱり良質なものを摂取することが、身体の健康にも、心の健康にも良いんだろうな~と感じた。
 
そして、いま自分自身も仕事のことで悩んでいるから、変わろうと思った明海の言葉に勇気づけられた。
 
・明海は自分で立つために働くのだ。仕事を必ず見つけてみせる。正社員でなくてもいいし、アルバイトの掛け持ちだって構わない。毎日の睡眠と最低限の生活、三食を確保できる労働環境。寝ることと食べることとしゃべること。それを欲するのは、甘えでも我がままなことでも身の程知らずなことでもなんでもない。真剣に働きたいからこそ、誰かの役に立てる人間になりたいからこそ、必要不可欠なものなんだ。そして、アッコさんがしてくれたように、いつか自分から心の滋養になるものを誰かに差し出せたらー。もしかしたら、これから友達や恋人だって作れるかもしれない。自分のこの判断が大きく間違っているとしても、父や高橋リーダーに大声で罵倒されるとしても、明海は今、生まれて初めて自分で道を選び取ろうとしている。(P89)
 
3話目のシュシュと猪は、東京から神戸に転勤になったデザイナー塔子のお話。猪に追いかけられるってなかなかないよね。ってかないよね。お話としてはファンタジーって感じ。ここにもちょびーっとだけ東京ポトフ&スムージーが出てきたけれど、アッコちゃんは出てこなかったなあ!転勤先の土地で、暖かく迎えられるといいよね。
 
4話目は梅田駅アンダーワールド。就活のためにはるばる東京から大阪に面接を受けに来た女の子、佐江のお話。梅田には3回くらい行ったことがあって、昨年もちょうどホワイティ梅田にも行ったから、佐江がいる場所が具体的に想像ができて面白かった。旅行とかでいろんな土地に行っていると、本を読んだときに想像できる幅が変わるんだな~と思った。
 
・条件を絞ることと、甘えは違う。自分を知り冷静に見極めることと、あきらめもまた違う。受けられる企業が減るかもしれないが、無駄打ちも減るだろう。(P166)
 
この一文は、佐江が就職活動で大切なことに気づいた部分だけれど、自分が就活していたときにも、この考えにたどり着いていれば、もっとうまくいったのかな~とかも思った。まあ、これからの職選びで活かしていけばいいよね。
 
 
アッコちゃんシリーズは、3作とも読みやすくて、元気のでるお話ばかりで、とてもおすすめできる本だった!おいしいランチ、自分のために健康的なご飯を食べたくなる本だった!