13冊目:ランチのアッコちゃん | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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ランチのアッコちゃん

柚木麻子
2018/02/04読了
 
★ひとことまとめ★
一息ついて美味しいご飯が食べたくなる本
 
↓ 以下ネタバレ含みます ↓
作品を読みたい方は見ないほうが良いかも
 
 
【Amazon内容紹介】
屈託を抱えるOLの三智子。彼女のランチタイムは一週間、有能な上司「アッコ女史」の指令のもとに置かれた。 
大手町までジョギングで行き、移動販売車の弁当を買ったり、美味しいカレー屋を急遽手伝うことになったり。 
そのうち、なんだか元気が湧いている自分に気付いて……。 
表題作ほか、前向きで軽妙洒脱、料理の描写でヨダレが出そうになる、読んでおいしい短編集
 
 
【感想】
第三作から読んでしまったので、第一作から読み直し。
これまた、読んでいて気持ちが軽くなるし、元気の出る本だった。
第三作から読んでいたので、三智子の若かりし頃(?)の頃や、REMIREMIのビアガーデンの始まりがわかって、それぞれの成長の過程が知ることができて、むしろ第三作から読めて良かったかもと思った。
 
アッコちゃんの生き様は、ほんと、すごいなあと感じる。
ガッツがあって、サバサバしてるけれど優しい一面もあって、突き放してるように見えるけれど、実際は気にしてくれてて。こんな上司が欲しいし、こんな上司になりたい。
 
失恋で落ち込んでいる三智子を励ますため、5日間三智子の手作り弁当と交換で、三智子を外食に行かせるアッコちゃん。
途中途中、ジョギングさせたり、人との出会いを提供してくれたり、三智子の気が紛れるというか、もやもやを発散させるようなプランで、ほんと、アッコちゃんすごいなあと思った。
 
三智子の自信のなさは、読んでいて私も身に染みて。
 
・胸が締め付けられる気がして、両手を握った。今朝のアッコ女史のうんざりした顔を思い出す。三智子に急に嫌気が差し、意地悪をしているのではないだろうか。
(私って、調子に乗ると、押し付けがましくなるタイプなんだよな。)
洋太郎のそっけない態度や、冷たい言葉がふいに蘇り、鼻の奥がつんとした。
せっかく、忘れかけていたのに。アッコ女史の豊かな世界を見せてもらい、舞い上がっていた。有能な人間になったような錯覚を起こしていた。マスターも、コニーさんも、そして笹山さんも、三智子がアッコ女史の部下だから親切にしただけなのに。
(私には何もないもの。部長とは違う。)
景色が涙でぼやけていく。ここから飛び降りたらどうなるのだろうか―。(P38)
 
私も、先日彼氏と別れたばかりで、自分に対する自信がものすごく無くなってしまっていて。
でも、三智子が頑張っているのを読んで、私も頑張ろうと思えたし、なによりおいしいランチが食べたい!
 
あと野百合のお話もよかった。
始めは高校生を追っかける話とか何なのか?アッコちゃんは?って思ったけれど、何者にもなれなかったと自分では思ってしまうけれど、他の人から見たら今の自分も充分輝いて見えるのかもしれないっていうことが気づけてよかった。
 
 
あとはやっぱりレミレミ。
能天気に見えて、きちんといろんなこと考えてる。自分の限界もわかってる。人から何を言われても、自分のペースで自分のやりたいことをやる。周りを巻き込む、そして人に感謝する。あれこれ考えて、どうしようって思って行動できない私からすると、すごく玲実が羨ましく思えた。
 
・もしかして、これでいいのではないか。完璧な指導者になることも、手本になることもできない。気力だけではどうにもならない。ただ、今までかけてたのは、足りない部分を互いに補い合うということではないだろうか。(P198)
 
玲実のことを毛嫌いしていた雅之が、玲実と接するうちに、気づく瞬間。
私も、完璧主義で、自分へ求めることも、他人へ求めることも、非常にハードルが高いものだったけど、そうじゃなくて、足りないところは誰かと協力して解決してけばいいのだと、大丈夫だと言われたような感じ。
 
 
やっぱり、読んでいて元気が出る本だった。
美味しいランチが食べたい。