あとは泣くだけ
加藤千恵
2017/02/01読了
1)触れられない光
母からの干渉に苦しんで、恋愛も結婚も手放してしまうお話。
肉親であるわけだけど、自分の幸せを手放してまで母によりそうのってどうなのかって思う。
私だったら、後ろ髪引かれる思いはするだろうけど、自分の幸せを優先すると思った。
2)おぼえていることもある
女心も、思いやりの心も全然わからなかった主人公が、”山下紗江子”を気になりだしてから、少しずつ相手への執着心とかがわかり始めてくる。
わかる気がするなあ。ミステリアスというか、自分に気がない女性に熱中する感じは。相手に全部をさらけだすよりも、謎めいていたほうが、気にあってもらえるんだろうな。
3)被害者たち
DVする彼から離れられない気持ちは少しわかる。
「置き去りにすることは、痛くされることよりも、ずっとずっと恐怖だった。
(中略)彼を傷つけたり、悲しませたりするわたしに理由があった」(P84)
自分のせいだって思ってしまうのは、わかる。
4)あの頃の天使
青春ってかんじでキュンとした。転校生って言うシチュエーションもいい。学生で、親の転勤に対してどうすることもできないもどかしさ、それもより一層切なさが増す(;;)叶わない恋って、いつまでもいい思い出であるよね。
5)呪文みたいな
高校時代の、あの女子同士のうわべというか、中身のない会話とか、わかる。リミみたいな一匹狼も悲しいけど、私もそれくらい強かったらなあ。最後の2人のキスで美しい友達というか、レズなんだけど美しさを感じた。
6)恐れるもの
自分も、もしも結婚して流産…ってことになったら、こんな風になってしまうんだろうかと悲しくなった。
「いさかいを恐れるのではなく、誤解やすれ違いを恐れてください」(P185)
そのとおりだと感じた。
喧嘩になるのは怖いし辛いけど、それをせずすれ違ってしまう方が、もっと怖い。
7)先生
私は全く先生とか年上に興味がわかないけど、なんだろうなあ、強いて言うなら高校時代の先生?
恋でもなく、執着でもなく。何かをしてほしいわけでもない。主人公の場合は恋だったけど、本人は不倫の意識とか、全くないんだろうな。純粋に好きだけで。
【全体的な感想】
タイトルがタイトルなだけに、ちょっと切ない話が多かった。
書き方はとても読みやすくて、女性目線が多かったからか、共感できた。他の本も読んでみたい。