Love Letter
石田衣良・島村洋子・川端裕人・森福都
前川麻子・山崎マキコ・中上紀・井上荒野
桐生典子・三浦しをん・いしいしんじ
2017/01/29読了
1)ありがとう(石田衣良)
美丘の短いバージョン。病気で長くないミオカとの出会いから別れまで。
読んでいると恋愛のいい部分をたくさん思い出せるような話。美丘も読んでみたい。
2)空(島村洋子)
妹のちさと、”私”の恋愛観の違いがよくわかる話。
彼の英志からハガキもこなくなって、連絡もとれなくて、それでも彼を信じ続けるちさ。
「説明してもらいたいよ。だけど、問い詰めたら人間って嘘つくじゃん。私、嘘が聞きたいわけじゃないから、待ってる。」
この言葉を聞いて”私”は、かつて恋をしたことがあるのに、自分は今まで何を愛してきたのだろうって思うんだけれど、相手を愛して、信じるって、こういうことなんだろうなあと感じた。
3)ラブレターなんてもらわない人生(川端裕人)
元デブスからメールがくる話だけど、うーん。なんだかあまり感情移入はできない話だった。
主人公が男だから?私にもこんな人生を歩んでみたいって思える人っているかなあ?
4)再会(森福都)
42歳間近になって、かつての親友と再会した久美。可愛くて華奢な麻衣子に、冴えない男のフリをして手紙をだしたせいで、麻衣子はそのままその男と結婚。麻衣子は気づいていないふりをしていただけで、本当はわかっていて心ではずっと久美が好きだった。美しい百合の話。
5)ミルフイユ(前川麻子)
恋人のいる人を好きになる気持ち。それは私はわかりたくないけれど、
「一緒に暮らす恋人への気持ちが醒めるのと同じように、物珍しいだけの私への思いも、いつか嘘のように醒めるのだろう」(P85.86)
このセリフはたしかになあと思った。
「自分にうんざりしながら誰かを好きでいるより、どれほど寂しくとも自分をすきでいるほうがいい。」(P88)
この”私”はNさんと結ばれるけど、Nさんの元カノへ婚姻届を送って証人欄に書いてもらおうとしてるけれど、これ自分がされたら腹が立って仕方ないだろうなあ。
6)音のない海(山崎マキコ)
DVのときみたいな、自分だけが相手を理解できる!って思うのが、ストックホルム症候群って言うの初めて知った。こうやって少しずつ精神が壊れていくのかな。こんな風に思いつめなくてもいいような恋愛がしたい。
7)水槽の魚(中上紀)
淡々と語られていく感じと、魚が話しかけてきたりで、話がまったく入ってこなかった。この人の書き方苦手かも。
8)虫歯の薬みたいなもの(井上荒野)
昔の恋人に久しぶりに会って、またあの時みたいに…と一瞬胸をふくらませるけれど、彼はとっくに結婚していて、子供も生まれるところでというお話。
こういうこと、キッカケがあると前に進まないとって嫌でも思うよね。
9)竜が舞うとき(桐生典子)
読んでうるっときた。
デート商法してた洋実がオーロラを見に来ているところから始まるけれど、なんか語り方が第三者目線というか、誰の視点で書かれているのかいまいちよくわからなかったけど、それは亡くなって空から洋実を見ている啓吾の視点か!とわかったときは
切なくなった。
10)永遠に完成しない二通の手紙(三浦しをん)
ゲイの話なの?2人のかけ合いの部分が多かった。会話が多い話は苦手かも。
「俺がずっと一緒にいるよ」って言葉は、寺嶋に対する気持ちなんだろうな。
11)きまじめユストフ(いしいしんじ)
一度さっと目を通したときは、「つまらなそう、外国人作家みたいな書き方だし…」って思ったけれど、じっくりよんだらイメージが変わった!
人の手紙を盗むことを仕事にしていたザチャーミンが、かつての友人ユストフが書いた手紙を盗んだのをキッカケに、手紙を書く喜び、自分の手が意味を待ち続ける相手がいることの幸せを知ることができるようになるまでが、とてもほっこりした気持ちになれた。希望のもてるお話。