腐朽対策/結露対策を考える④ | エムズアソシエイツ施主様ブログ

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こんばんはプリンです。

 

前回は、

「腐朽対策/結露対策」を考えるにあたって、

「冬型結露対策」のプラスアルファ的な話について書きました。

 

今回は、

「夏型結露対策」

について調べたことを書きたいと思います。

ということで今回は、

結露対策全4回のうちの最終回、

 

①    腐朽って何?/結露って何?

②    冬型結露対策

③    冬型結露対策+α

④    夏型結露対策

 

です。

 

「夏型結露対策」

 

早速ですが、

夏型結露対策としては

ポイントが3つあるように思います。

 

ポイントの1つ目は、

「冬型結露対策と同様に、通気層を確保すること」。

 

これについては

基本的には冬型結露の話と同じですので、省略します。

 

ポイントの2つ目は、

「室内を冷やしすぎないこと」。

 

室外の高温多湿の空気が

気密シートの室外側で冷やされて結露する、

というのが夏型結露の仕組みなので

当たり前のことだとは思いますが一応。

(そういう意味では、

 小屋裏空間を使って夏の冷房を行う小屋裏エアコンって、

 夏型結露対策とか結構気をつかったりするのでしょうか?)

 

ポイントの3つ目は、

「気密シートの室外側で結露するのを防ぐために

 可変透湿気密シートを採用すること」。

 

可変透湿気密シートには次のような性質があります。

 

・冬は気密を確保して防湿層として機能する

(=室内側から室外側へ水蒸気を通さない)

 

・夏は気密を確保しつつ、

 高温多湿の条件下では透湿性を発揮する

(=室外側から室内側へ水蒸気を通す)

 

この性質により、

冬型結露にも対応しつつ夏型結露を防ぐことができる、

という仕組みのようです。

 

初めて知ったときには、

「え? 何それ? うそでしょ?」

「そんなおいしい話ってある?」

って思いましたが、

おいしい話に裏はないようで。

技術ってすごいですね。

 

エムズアソシエイツ(以下、エムズさん)では、

可変透湿気密シートである

デュポンのタイベック VCLスマート

を標準で使用されていますので、

夏型結露対策についても安心だと思いました。

 

ただ、可変透湿気密シートについては

デメリットが1点と懸念事項が1点あるように思いました。

 

デメリットのほうは、

夏は室内側を除湿したい状況なので、

室内側に湿度の高い空気を放出してしまうのは

好ましいことではないのかなーと。

 

しかし、

夏型結露が発生してしまうことを考えれば

背に腹は代えられないのではないかと思いますので、

許容すべきデメリットだと思いました。

 

懸念事項のほうは、

こうした可変透湿という技術が

年月の試練を経ていないことです。

 

調べたところでは、

実務者の中でも可変透湿シートについては

意見が分かれるところのようで……

 

しかし、

岐阜県立森林文化アカデミーの辻先生は、

夏型結露について

「可変透湿シートや調湿性断熱材を

 使用することでも回避できます」

とコラムの中で書かれていましたし、

こればかりは正直、

素人が考えたところで分かりませんので、

「ええいままよ」と

タイベック VCLスマートでお願いしました。

 

ここまで4回に分けて

「腐朽対策/結露対策」

について書いてきました。

 

結露対策1つとっても

考えることがたくさんあって悩ましかったです。

 

でも、

結露の発生する仕組みやその対策について調べた上で、

エムズさんの家づくりについて知ることで、

エムズさんが家の耐久性についても

しっかり考えられていることが分かり、

納得してエムズさんに依頼しようと思えたので、

これはこれで大事なプロセスだったなーと思います。

 

これまで書いた「耐震性」「腐朽対策/結露対策」以外に、

依頼先を選ぶにあたって検討した項目は

まだまだたくさんあるので、

この備忘録的ブログ、あとどれだけ続くんよ?

(そして、これからエムズさんを検討する方々の

 お役にどれだけ立つ情報なんよ?)

という感じではあるのですが、

気長に書いていきたいと思います。

 

ということで、

腐朽対策/結露対策については以上になります。

 

腐朽対策/結露対策全4回分の【参考文献】

◉南雄三『高断熱・高気密バイブル』建築技術、2000年

やや発行時点が古い書籍になりますが、「高断熱・高気密とは何か」を学ぶ上で、とても勉強になった書籍です。また、高断熱・高気密と切り離せないものとして、「結露」「換気」についてもよく理解できる内容となっています。紹介されている建材などは古い情報もありますが、本質的な部分では現在でも大変勉強になる書籍だと思います。

余談になりますが、南さんや新木造住宅技術研究協議会(新住協)の鎌田紀彦先生などの書籍では、必ず「高断熱・高気密」という語順で用いられています。個人的には「高気密・高断熱」のほうが、コピーとしては語感が良いと思いますし、正直なところ語順はどちらでもよいと思うのですが、歴史的経緯なども踏まえると、「高断熱→高気密」という語順にも意味があるのだなーと思いました。

 

 

◉飯塚豊『ぜんぶ絵でわかる①木造住宅』エクスナレッジ、2022年

木造住宅について、最初に「間取り」を考えると一歩目から方向を見誤ることになるので、「屋根→中間領域→窓→架構→矩計→間取り」の順に考えることで設計は劇的に変わりますよ、という基本方針のもとに、木造住宅の設計について必要な知識が網羅された書籍。包括的で、重要な情報が端的にまとめられており、さらに記述も分かりやすい! ということで、木造住宅を検討する場合には、早い段階で一度通読しておいたら良い書籍だったなーと思いました(私の場合は読むタイミングが若干遅めだったので)。腐朽対策に関係する通気・換気の話もポイントがしっかり載っています。

 

 

◉松尾和也『エコハウス超入門』新建新聞社、2020年

誰もが知っている松尾さんの書籍。高気密高断熱の家を検討するにあたっては、とても参考になる書籍の中の1冊。「はじめに」を読む限り、実務者を読者対象とした「超入門」だと読み取れますので、断熱、気密、換気、冷暖房負荷、パッシブデザインなどについて、一般施主が読む際には、基礎的な書籍を読んだ後で読むのに適した書籍なのかなーと思いました。本来、【参考文献】としては、断熱、気密、換気、冷暖房負荷、パッシブデザインといった項目で挙げる予定でしたが、屋根面の結露の話がピンポイントで載っていたので意外なところでの登場となりました。

 

 

◉住まいの屋根換気壁通気研究会編『住まいの耐久性 大百科事典Ⅰ』カナリアコミュニケーションズ、2019年

◉住まいの屋根換気壁通気研究会編『住まいの耐久性 大百科事典Ⅱ』カナリアコミュニケーションズ、2021年

研究会の名称どおり、住まいの耐久性の向上、長寿命化を目的に、「屋根換気壁通気」について解説された書籍。腐朽対策にフォーカスを当てて、一般の施主向けに書かれた書籍というのは他に見当たらなかったこともありますが、結露対策や漏水対策について学ぶ上では勉強になる書籍でした。

 

◉日経ホームビルダー編『健康被害と腐朽を防げ! 100の失敗に学ぶ結露完全解決』日経BP社、2019年

こちらは豊富な事例を踏まえて腐朽対策を解説した書籍。上記で挙げたような書籍で結露の仕組みや対策の概要を理解した上で読むと、より分かりやすいのかなと思います。実際の現場写真が豊富に掲載されていますので、構造見学会などの前に読んでおくとチェックポイントとして役立つこともあるかもしれません。個人的には、この書籍の中で、私たちの家で採用することとした第三種ダクト式換気、日本住環境株式会社の「ルフロ400」と出会ったので思い出深いです。ダクトレスの熱交換換気の注意点についても記述されていますので、ダクトレスの熱交換型換気を検討する場合にも参考になるかもしれません。