腐朽対策/結露対策を考える③ | エムズアソシエイツ施主様ブログ

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岐阜の工務店エムズアソシエイツで建てる家づくり。
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こんばんはプリンです。

 

前回は、

「腐朽対策/結露対策」を考えるにあたって、

「冬型結露対策」について調べたことを書きました。

 

今回は、

「冬型結露対策」について

プラスアルファ的な話を書きたいと思います。

 

ということで今回は、

結露対策全4回のうちの第3回、

 

①  腐朽って何?/結露って何?

②  冬型結露対策

③  冬型結露対策+α

④  夏型結露対策

 

です。

 

 

冬型結露対策+α:屋根面の通気・換気

 

基礎断熱の家の場合、

前回の「外壁」に加えて、

もう1つ考えなければならないのが

「屋根面」の結露対策だと思います。

 

ポイントとしては3つあるように思います。

 

ポイントの1つ目は、

「外壁と同様に気密をしっかり確保すること」。

 

これについては外壁の話と重複するので、省略します。

 

ポイントの2つ目は、

「外壁の通気層のように、通気・換気をしっかり確保すること」。

 

ただし、

屋根面の通気・換気については、

「屋根断熱」

「天井断熱・桁上断熱」

という断熱方法の違いで

その仕組みが異なるようです。

 

1.屋根断熱の場合

 

屋根断熱については

小屋裏までが室内空間となるため、

野地板を腐朽させないためには

野地板に沿って30mm以上の通気層を

確保することが必須となるようです。

 

●屋根断熱の通気層

※相変わらず雑な図ですみません(以下同)

 

私たちの家は桁上断熱になるため、

屋根断熱の場合の通気層の確保については

それほど調べませんでしたが、

垂木、断熱材、通気層、野地板などがどのような構成になるのか、

通気層をどのように何ミリ確保するのか、

通気層の給気と排気はどのように設計されているのか、

などを確認する必要があるようです。

 

さらに、通気層を設けた上で

透湿ルーフィングを使用する場合には、

ルーフィングと屋根材の間でも

通気をとることができるようですので、

こうしたルーフィングを使用することも

効果があるようです。

 

外壁のように

野地板/透湿ルーフィング/胴縁/屋根材

という構成とすることで

通気層をしっかり確保できるようですが、

波型で通気層がある金属屋根を使用する場合には

胴縁なしでよい場合もあるようです。

 

2.天井断熱・桁上断熱

 

天井断熱・桁上断熱については、

天井や桁上が気密ラインになるため、

基本的にはその上は屋外空間と同じ空気となります。

この場合、

小屋裏全体の空気が換気される状態となるため、

野地板が乾きやすく、

屋根断熱よりも結露による腐朽リスクについては

安全性が高いのかな? と思いました。

 

●小屋裏換気

 

松尾設計室の松尾さんは

『エコハウス超入門』(新建新聞社、2020年)の中で、

野地板の耐久性については

天井断熱よりも屋根断熱のほうがリスクは高いこと、

屋根断熱のほうが技術的難易度も高く、

コストがかかる上に

結露対策についても

天井断熱よりも慎重に行う必要があること、

などを書かれていました。

 

近畿大学の岩前先生や

松尾設計室の松尾さんなどが執筆されている

『住まいの耐久性 大百科事典Ⅰ』

(カナリアコミュニケーションズ、2019年)

『住まいの耐久性 大百科事典Ⅱ』

(カナリアコミュニケーションズ、2021年)

を読んだ際にも、

天井断熱・桁上断熱よりも屋根断熱のほうが、

通気・換気の確保については色々と大変なのかな?

という印象を受けました。

(※あくまで書籍を読んでの個人的な印象です)

 

とはいえ、

日本全国を見ても

技術力の高い工務店さんは屋根断熱をして

小屋裏空間を活用できる設計

をされているところが多いですし、

適切に屋根断熱を施工すれば

問題ないということだと思います。

 

屋根断熱にすると、

小屋裏空間が活用できる、

船底形の天井にできるなど、

技術的な面がクリアできれば

色々なメリットがありますよね。

 

エムズアソシエイツ(以下、エムズさん)は

施工技術が高いので、

屋根断熱か天井断熱・桁上断熱か

について悩むことなく、

シンプルに建てたい家の希望を実現できるのは、

メリットとして大きいと思いました。

(こういった点でも、

 依頼先選びはとても大切だと思います)

 

私たちはそもそも小屋裏エアコンとしないのであれば、

小屋裏を活用する予定はなかったため、

空調の対象となる容積を減らすメリットなどもあることから、

桁上断熱でお願いしました。

 

ただし、

天井断熱・桁上断熱の小屋裏換気についても、

給気と排気の方式によって

換気の効率が変わってくるようで……。

 

『住まいの耐久性 大百科事典Ⅰ』では、

妻面給気の妻面排気となる「妻面―妻面方式」、

軒裏給気の軒裏排気となる「軒裏―軒裏方式」の場合は

風力換気となるため、

風上―風下でないと換気できないことが記されていました。

 

また、

飯塚豊さんの

『ぜんぶ絵でわかる①木造住宅』

(エクスナレッジ、2022年)では、

「切妻の妻面に設ける換気口は、

 あまり効果が期待できません。

 切妻でも寄棟でも軒先から空気を入れて

 屋根頂部で排出するのを原則とします」

と記されていました。

 

以上のことから、

軒裏給気の棟排気となる「軒裏―棟方式」が

小屋裏換気の方式としては最も良いのかな、

と思いました。

 

さらに、「軒裏―棟方式」は、

開口部の温度差や高低差が大きいほど、

下から上へ空気が移動するという仕組みなので、

私たちの家について検討する際には、

「屋根の勾配はある程度とる(ことで高低差をつける)」

とした上で、

「軒裏―棟方式」とするのがベターなのかな、

と考えました。

 

この小屋裏換気については、

私たちの家の仕様を決めるときに

思い出深いことがありまして。

 

当初は、

「準防火地域だけど

 コストアップをしてでも軒天は木を使いたい!」

と思っていたのですが、

軒天に木を使うと小屋裏換気方式が

「妻面―棟方式」になると途中で分かり、

軒天の格好良さと小屋裏換気方式のどちらをとるかで

とても悩ましかったですが、

「軒天はケイカル板として

 小屋裏換気方式は『軒裏―棟方式』にしてください」

と担当者さんにお伝えしました。

(※上記は準防火地域での話です。

  22条地域は軒裏の制限はないので大丈夫だと思います。

  また、上記のような考えは

  あくまで私たちの個人的な考えによるものです)

(※そして実際にケイカル板が貼られてみると、

  ケイカル板もとても素敵な感じでした)

 

ということで。

すでにお分かりのように、

エムズさんの小屋裏換気方式は

標準で「軒裏―棟方式」ですので、

ここもやっぱり安心のエムズさん仕様です。

 

この屋根面の通気・換気については、

最終的には外壁同様に「結露計算」を行うことで、

結露のリスクを検討できるように思います(※1)

 

ポイントの3つ目は、

「ルーフィングの特性や耐久性を踏まえて使用すること」。

 

ルーフィングには、

 ・アスファルトルーフィング

 ・改質アスファルトルーフィング

 ・透湿ルーフィング

など複数の種類があります。

 

そのため、

それぞれの特性を理解した上で、

耐久性についてもメーカーのHPなどを見たり

工務店の担当者さんに確認などすることが

大切なのかな、と思いました。

 

エムズさんは、

セーレンのルーフラミテクトEXという

透湿ルーフィングを標準で使用されています。

 

担当者さんに確認したところ、

耐久性は30年相当とのことなので

安心だと思いました。

 

私たちの場合は、

耐久性にかかわる部分は特に重要視していたので、

コストアップにはなりましたが、

オプションとして、

 ・セーレンのルーフラミテクトRX

 ・デュポンのタイベック ルーフライナー

の見積をとっていただきました。

 

ルーフライナーよりもルーフラミテクトRXのほうが

コスト的には高かったので迷いましたが、

 

ルーフライナーは

エムズさんのモデルハウスで施工実績があるけれども、

施工しづらさがあるとエムズさんが言われていたこと

 

ルーフラミテクトRXは

施工実績はないけれども、

施工自体は標準のルーフラミテクトEXと同じであるため、

施工精度を保ちやすいこと

 

などから、

最終的にはルーフラミテクトRXでお願いすることとしました。

 

同時吸排気のレンジフード

 

結露対策としては番外編的な話になりますが、

高気密の住宅については、

レンジフード稼働時の負圧対策や、

熱損失を抑えるという目的で、

同時吸排気のレンジフードを採用するケース

が多いように思います。

 

同時吸排気のレンジフードは、

外壁に面した壁付けではない場合、

短時間で大量の外気を

ダクトで断熱ラインの内側に引き込むことになります。

 

この時、

6地域の岐阜市といえども

寒い日には氷点下の冷たい空気が

断熱ラインの内側のダクト内を通ることになります。

 

そうすると、

給気ダクトが急激に冷やされるため、

ダクトが剥き出しだと

ダクトのまわりで結露が発生するリスクがあるのでは?

と思いました。

 

私たちは、

タカラスタンダードさんの

同時吸排気のレンジフードを採用しましたが、

ダクトはデフォルトでは断熱されていない

とのことでしたので、

よほど大丈夫だろうとは思いつつも、

給気ダクトまわりの結露を防ぐために

給気ダクトに断熱材を巻いてもらいました。

 

●レンジフードの給気ダクト(断熱材巻き)

 

「冬型結露対策」のプラスアルファ的な話は

以上になります。

 

次回は、

「腐朽対策/結露対策」の話としては最後となる

「夏型結露対策」

について書きたいと思います。

 

【注】

※1 屋根面の結露計算

前回のブログでも紹介しましたフエッピーさんが、「結露計算シート」に加えて、屋根面の結露計算もできる「結露計算シート2」を作成されていましたので、こちらのシートを使わせていただき、桁上断熱・小屋裏換気の場合の結露リスクも調べてみました。

天井の剛床(天井なのに「床」って変な感じがしますが……)や野地板の厚さまでは把握していないので、とりあえず標準的な厚さを入力して計算してみたところ、結果はほぼ問題ありませんでした。

後日、エムズさんに聞けたら正しい厚さで計算してみたいと思います。