こんばんはプリンです。
今日は前回のつづきで、
耐震性について補足的な話を書きたいと思います。
前回も書いたような気がしますが、
私たちにとって「耐震性」は
耐久性に関する優先順位の最も高い項目の1つなので、
ちゃんとしたいなーと思っていました。
ちゃんとしたいなーとは思っていましたが。
「耐震」に関する国土交通省の資料を読んだり、
「構造」に関する法律の条文を確認したり、
分かりやすく書かれた入門書とはいえ
「構造」に関する書籍を読んだりと、
仕事疲れの頭で、白目をむきそうになりながら
夜な夜な勉強していた記憶が……
妻のゼリーさんに聞いたところでは、
最後のほうは、
「耐震等級3」「許容応力度計算」「壁倍率」
「偏心率」「耐力壁」等々を
うわ言のように繰り返していたとかいないとか。
ちょっと記憶が定かではありませんが、
妻のゼリーさんにはずっと、
「早く楽しいとこやりたい」
「間取り考えたい」
「照明計画考えたい」
「家具とか探したい」
と現実逃避的な話ばかりしながら、
耐久性に関する項目をひたすら勉強していました。
(後程、耐震・換気・空調などを考えながら
間取りを考えるのは滅茶苦茶大変だ、
ということを知ることになりますが、
当時は、そんなことも知らず呑気に考えていました)
まあそんなこんながありましたが、
出発点としてはとりあえず、
耐震性の指標として耐震等級3をとることが大切!
と考えていました。
以下の国土交通省による熊本地震の分析結果を参照しても、
耐震等級3とすることは大事だと感じました。
出典:国土交通省住宅局「『熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会』報告書のポイント」
そこで、
「じゃあ耐震等級3ってどうやって認定されるの?」
と調べていると、
耐震等級3の認定を受けるための計算方法には、
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)
(平成11年法律第81号)による性能表示計算」
「建築基準法(昭和25年法律第201号)による許容応力度計算」
という2つの計算方法があることを知りました。
さらに、この2つの計算方法では、
同じ耐震等級3であっても
結果的に得られる構造の強さが違うらしいと知り、
「行政上の基準でそんなことってある?」
と思いつつ、さらに調べてみると、
どうやらそんなことってあるようで。
耐震性や構造を勉強するにあたっては、
M’s構造設計の佐藤さんの書籍や動画が
非常に勉強になりました。
性能表示計算と許容応力度計算の違いについては、
以下の動画が非常にわかりやすかったです。
出典:「構造塾」木造住宅の耐震性能を本気で考える!「【構造塾#96】耐震等級3 品確法と許容応力度計算の差」YouTube
佐藤さんの「構造塾」(※1)には、
とても勉強させていただきました。
【参考文献】に挙げている、
『建築知識ビルダーズ』No.32の巻頭特集でも
佐藤さんが記事を書かれていますが、
こちらの記事においても、
耐震等級3をとるにあたって、
「性能表示計算」よりも「許容応力度計算」のほうが
必要壁量がかなり多くなると書かれていました。
このようなことから、
耐震等級3をとる場合には、
「許容応力度計算」で認定をとることが安心なのでは、
と考えました。
また、
長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅法)
(平成20年法律第87号)の改正が
2022年10月から施行されており、
その中で「性能表示計算」の壁量基準が
以下のように見直されています。
出典:国土交通省住宅局住宅生産課「長期優良住宅法改正概要説明」令和4年9月
この改正を見ますと、
耐震性に関しては次のようなところが
気にするべきところなのかなーと思いました。
①
「性能表示計算」については、
長期優良住宅の認定を受けるにあたって、
2022年9月以前は
耐震等級2以上でOKとされていたが、
2022年10月以降は
耐震等級3以上が必要となったこと。
また、今後壁量基準を見直し、
新たな壁量基準を定める見通しであること。
②
「構造計算(=許容応力度計算)」(※2)については、
2022年10月以降も変わらず
耐震等級2以上で長期優良住宅に該当するとされたこと。
この長期優良住宅法の改正は、
現場の混乱が生じないようにするための
とりあえずのものであることが示されており、
この後も壁量基準の改正などが予定されているようです。
そんな状況であることを踏まえると、
やはり現時点では
「許容応力度計算」で耐震等級3の認定を受けるのが
最善なのかな、と思いました。
また、上記のように、
「性能表示計算」は、
壁量の基準が変更されれば影響を受けますが、
「許容応力度計算」は実荷重での計算となるので、
今回の改正だけでなく、
将来に渡っても安心なのではないかとも思いました。
少し話が脱線しますが、
2025年4月から断熱等級4が義務化されることが決まり、
2030年頃からは断熱等級5が義務化される見通しとなった際、
「既存不適格」(※3)
という言葉をとてもよく目にしましたが、
構造に関しても同じことが言えるのではないかと思いますので、
現時点でわかっている範囲であれば、
より良い選択をしたいな、と思いました。
ちなみに私たちは、
耐震性を最重要項目の1つとして考えていたので
上記のように考えましたが、
とはいえ、
冒頭で紹介した国土交通省の資料では、
「性能表示計算」「許容応力度計算」の区別をせず
住宅性能表示制度の耐震等級3の家は、
熊本地震において
「大きな損傷が見られず、大部分が無被害であった」
と示されているように思いますので、
国としては、
「性能表示計算」「許容応力度計算」問わず、
耐震等級3の家とするのが安心・安全ですよ、
という見解なのかなと思います。
【参考文献】として挙げている
『建築知識ビルダーズ』No.32の中では、
伊礼さんのi-works1.0のプランを使った
耐震等級のシミュレーションが行われていますが、
この記事の中でも、
「性能表示計算で耐震等級3をクリアすることが当面の目標」
(「許容応力度計算を行うことが理想ではある」)
という趣旨のことが書かれています。
ですから、
最終的には耐震の優先順位をどう考えるのか、
コストをどこにかけるのか、
という話になってくるのかなーと思います。
ここまで書いてきたように、
「許容応力度計算」については、
耐震に関するメリットがありますが、
デメリットとしては、
コストアップになるという点が挙げられます。
また、デメリットとは少し異なりますが、
いわゆる西方方式や松尾方式といった
一般の壁掛けエアコンや床置きエアコンを用いた
床下エアコンを検討する場合には、
基礎の設計のハードルが上がるということもあるようです。
私たちは当初は床下エアコンも考えていましたが、
エムズアソシエイツ(以下、エムズさん)では
許容応力度計算による耐震等級3をとった上で
床下エアコンを施工したという事例がなく、
担当者さんも「正直むずかしいかも……」
と言われていたため、
私たちの指針が、耐久性(耐震)>性能(空調)
という優先順位だったこともあり、
床下エアコンはやめて通常の室内壁掛けエアコンとしました。
(ちなみに、エムズさんのモデルハウスで採用されている
オンレイの床下エアコンは、その仕組み上、
基礎の構造の影響はほとんど受けないと思いますので、
許容応力度計算の耐震等級3でも問題ないと思います。
(気になった方は、詳しくはエムズさんに確認してください)
私たちの場合は、
基礎の他にも床下エアコンをやめた理由はありますが、
それはまた空調関係の話で書けたらと思います)
話が横道に逸れましたが、
私たちは最終的に、耐震等級3の認定を受けるにあたって、
「許容応力度計算」での設計をお願いしました。
構造計算書はA4で271ページあり、
素人なので計算の細かな部分まではわかりませんが、
その厚みが頼もしいように思います。
中には偏心率についての計算結果も記載されており、
X軸方向で0.010、
Y軸方向で0.033と、
とても低い数値で安心しました。
あと、地震対策については、
制震ダンパーの採用について検討しました。
最後までとても迷いましたが、
許容応力度計算で耐震等級3の認定を受けることと、
平屋であることから制震ダンパーは採用しませんでした。
以下のラクジュの本橋さんの動画(※4)の中で、
M’s構造設計の佐藤さんが、
まず「耐震」がしっかりしていることを前提に、
「制震」は「耐震」を守り続ける効果がある
と言われていますので、
もちろんあればより良い設備だとは思うのですが、
結構いいお値段しますし、
耐久性に関する項目で他に予算を回したいところもあったので、
ここは諦めました。
(平屋における制震ダンパーの効果について、
明確なエビデンスが見つけられなかった
というのもあるのですが、
実際どの程度効果があるのか気になります)
制震ダンパーは採用しないこととしたため、
どの制震ダンパーが良いのかまでは調べませんでしたが、
以下の動画内でも話が挙がっているように、
制震ダンパーについても良し/悪しがあるようなので、
採用する場合には
「制震」に特化したものを採用するのがよいのかな、と思います。
出典:ラクジュ建築と不動産「【制震装置ってホントに必要?】構造塾の佐藤さんに聞く! 木造は耐震と制震どっちが効くの??」YouTube
ちなみに、エムズさんが標準で採用されている
Jダンパーについては、
岐阜県立森林文化アカデミーの小原先生指導のもと
試験をされている製品であることと、
「耐震性能を守る」ことをメリットとしてうたっていることから、
良い製品なのだろうなーと思いました。
最後になりますが、
エムズさんに本設計申込み前にお聞きしたところ、
許容応力度計算が必要な
3階建て以上の建物についても施工実績があり、
2階建て以下の建物についても、
施主の希望に応じて
耐震等級3の建物を許容応力度計算で設計した実績がある
とのことで、
許容応力度計算で耐震等級3の認定を受けることについては
問題ありません、というお答えをいただきました。
実際に私たちの家も、
特に柱の追加や梁の太さを変更するといったこともなく、
許容応力度計算で耐震等級3の認定を
とっていただけました。
このように、
エムズさんについては、
耐震等級3を基本とした上で、
施主の希望に応じて
「性能表示計算」
「許容応力度計算」
どちらでも対応していただけますし、
施主の希望に応じて
制震ダンパーも採用できますので、
地震対策についても
安心して家づくりをお願いできると思います。
最後の最後に補足を2つほど。
1つ目は、構造の強さを高める目的について。
構造を強くする目的は、
第一に「地震」「台風」によって
住み続けられない損傷を受けないこと
であるのは当然ですが、
これに加えて、
目に見える損傷は受けなくても、
「地震」「台風」によって
断熱や気密が損なわれる可能性はあるため、
高気密高断熱の家を希望するにあたっては特に、
そうしたリスクを低減することも、
構造の強さを考える上では重要視したポイントでした。
2つ目は、「耐風」について。
近年、気象の変化が非常に実感されるところですので、
台風への対策も重要と考えるところです。
そのため、許容応力度計算によって、
「耐震等級3」と併せて
「耐風等級2」の認定を受けることも、
大切なポイントと考えました。
今回は短いですが、
(と書こうとして、
結局それほど短くはなかったかも、と思いつつ)
以上になります。
【注・用語解説、的なもの】
※1 佐藤さんの「構造塾」
M’s株式会社M’s構造設計の佐藤さんが、一般の施主向け(?)に、木造住宅の構造について情報発信されているYouTubeチャンネル。
※2 構造計算
一般的には「構造計算=許容応力度計算」の意味で用いられるようだが、「構造計算=建築基準法による仕様規定、性能表示計算、許容応力度計算」という広い意味で用いられることもあるため、曖昧さを回避するためには、「構造計算」ではなく「許容応力度計算」という言葉を用いるのが良いように思う。
※3 既存不適格
建設時の法制度では適法だったが、制度改正が行われた後では法律に適合しなくなること。
断熱等級については、2025年に等級4が義務化、2030年に等級5が義務化の見通しとなっているようなので、すぐに法律に適合しなくなってしまう断熱等級4の家を、現時点ですでに分かっているのにわざわざ建てる必要はないのでは? というのが大方の共通認識である、らしい。
さらにいえば、断熱等級5だってすぐに最低基準となってしまう見通しなのだから、今建てるなら断熱等級6以上を目指すのがよいのでは? というのも大方の共通認識である、らしい。
※4 ラクジュの本橋さんの動画
パッシブハウス・ジャパンに加盟されている神奈川の株式会社ラクジュの代表である本橋さんが、断熱・気密・換気・空調・耐震等々の建築(と不動産)にかかわるあらゆる情報を発信されているYouTubeチャンネル。
*2024年12月13日追記*
ラクジュさんは、パッシブハウス・ジャパンのイメージが強かったですが、新木造住宅技術研究協議会(新住協)にも加盟されていました。大変失礼しました。
*追記終わり*
【参考文献】
◉佐藤実『楽しく分かる! 木構造入門[改訂版]』エクスナレッジ、2018年
ブログ内でも書いたM’s構造設計の佐藤さんの著書。構造と聞くと「なんか難しそう〜」と腰が引けてしまうが、とても平易に書かれていて素人でも分かりやすい。テーマごとに見開き2ページにまとめられていて、1ページ目はこの書籍のキャラクター「ハムちゃん」との会話形式で、ひじょ〜に易しく簡潔に文章で書かれており、2ページ目は図表などでもう少し突っ込んだ内容がまとめられているため、ビジュアル的な理解の助けもあって分かりやすい(エクスナレッジの書籍ってこういう素人にもわかりやすい工夫をした構成多いですよね)。素人でもとっつきやすく、構造については他に施主が読むのに適した良書はほとんど見つけられなかったので貴重な書籍と思われる。ほとんどが構造計算にかかる内容だが、第7章の「基礎と地盤」も読んでおいて損はない内容。
◉「スーパー工務店に学ぶ:地震に強い美しい間取り」『建築知識ビルダーズ』No.32、2018年
少し発行時点が古いが、バックナンバーを購入。巻頭特集の執筆者はM’s構造設計の佐藤さん。この号のテーマとなっている「耐震性」と「間取り」については、基本的には工務店やハウスメーカー側にしっかりやっていただければ問題ないのだが、間取り打合せにあたって、施主側としても、耐震について意識できるにこしたことはないと思うので、上記のような書籍と併せて読んでおいて損はないかと。例えば、耐震性が高まる「耐力壁の配置」ができる間取りの検討とか、「水平構造」を意識した吹き抜けやスキップフロアの検討とか、間取りを考える際に併せてそういったことを考えるのに役立つ、かもしれない。
【備忘録】
以下、家づくりと全く関係ない個人的な内容になります。
自分の中以外のどこかにそっと置いておきたい気持ちだったので、
すみません。
2023年12月5日の仕事の昼休み中、
妻からLINEで連絡があった。
2023年11月26日に
The Birthdayのチバさんが亡くなった、と。
当時、
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、
その後のROSSOと普段からよく聴いていたし、
滅茶苦茶格好良い音楽だと思っていた。
ここ10年くらいは、
音楽自体聴く時間が減っていて、
チバさんの曲も、
たまに車を運転しながら、
昔のミッシェルやROSSOの曲を聴くくらいだった。
少し前に映画「THE FIRST SLUM DUNK」を観に行った際には、
全く事前情報なしで観に行ったのだけれども、
格好良いオープニングのアニメーションとともに、
ベースが鳴り始め、
そこにドラムが入り、ギターが入り、
チバさんの声が聴こえてきて、
やっぱり滅茶苦茶格好良いなと思った。
日頃、著名人の訃報はニュースなどを通じて知らされるが、
悲しいニュースだとは思っても、
自分の心に深く影響することはないのだけれど、
チバさんの訃報には、
自分でも思いもよらないくらいに大きな喪失感を感じた。
ROSSOの「1000のタンバリン」という曲がすごく好きだった。
その中の一節
やがてスコールは降り止んで
鳥達はまた飛んだ
というフレーズが昔からなぜだかすごく心に残っていて、
音楽をあまり聴かなくなってからも、
ふとメロディーとともに頭に浮かぶことがあった。
それが何故かは説明できないけれども、
それは心象風景とともに、
自分の中に深く根付いたフレーズだった。
訃報を知った後、
車に乗っているときに久しぶりに「1000のタンバリン」をかけてみた。
なんか自分でもびっくりするくらいに泣けてきた。
チバさんの音楽って、
自分が思っていた以上に、
自分にとって大切なものの1つだったんだな、と思った。
ずっと聴き続けてきたわけでもない自分でもこんなんなので、
ファンの皆さんの悲しみたるやいかばかりかとお察しします。
チバさんの音楽に出会えたことは本当に幸せなことでした。
非常に感傷的な文章になってしまっていますが、
非常に感傷的な気持ちなのでご容赦ください。
チバさんのご冥福をお祈りいたします。







