ガルからの卒業/耐震について考える | エムズアソシエイツ施主様ブログ

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岐阜の工務店エムズアソシエイツで建てる家づくり。
H様ブログです。

こんばんはプリンです。

 

住宅展示場に足を運んでいた家づくり初期、

ハウスメーカーの耐震性に関する説明では、

「弊社は○ガルで耐震実験を……」

という話を何度も聞いて、

確かに同じ条件での耐震実験であれば

ガルの大きさが大きいほうが良いのかも……

なんて思ったこともありましたが、

「そもそもその耐震実験、

 自分達がこれから建てる家じゃないし?」

ということで、

 

「自分達がこれから建てる家の耐震性を担保するためには

 どうすればよいのか?」

 

ということで耐震性について勉強しました。

 

私たちにとっては、

「耐震」は耐久性に関する優先順位の最も高い項目の1つなので

ちゃんとしたいよね、ってことで。

 

で、最初に気になったのは、

そもそも木造住宅って誰が設計するの? ということ。

「設計士と建てる家づくり」

みたいなキャッチコピーをよく見たり聞いたりしますけど、

設計士って何? 公的資格?

とかよくわからなかったので法律を確認。

弁護士法(昭和24年法律第205号)、

理学療法士及び作業療法士法(昭和40年法律第137号)などと、

公的資格であれば法律が定められているはずなので。

 

で、どうやら設計士って公的資格ではないようで。

そこで、他に家づくりでよく目にする「建築士」を調べると、

建築士法(昭和25年法律第202号)(※1)がありました。

設計士って資格の名称ではナイノデスネ。

「士」が付くので、結構紛らわしい名称だなと思いました。

 

建築士法によると、

資格としては

「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」(※2)

の3資格があり、

それぞれの資格で設計又は工事管理できる「木造の」住宅は

以下のように整理できます。

 

※「木」=木造建築士、「二」=二級建築士、「一」=一級建築士

 

100㎡は30.25坪なので、

建築士法によると、

2階建て以下のコンパクトな木造住宅は

特段資格がなくても設計又は工事管理ができる、

ということになります。

 

ということは、

私たちの希望は25坪くらいの平屋なので、

建築士ではない人が設計することもできるようですが、

その場合の木造住宅の構造(耐震性)って大丈夫?

という疑問が次に出てきました。

 

これについて調べると、

建築基準法(昭和25年法律第201号)に規定があり、

いわゆる4号特例(※3)と呼ばれているものがあって、

どうやら建築確認の際に、

「延床面積が500㎡を超えている」

    or

「3階建以上である」

    or

「高さが13メートル若しくは

 軒の高さが9メートルを超えている」

木造建築物以外は、

構造審査を省略することができるようなのですが、

これはあくまで「建築士が設計した建築物」

に限られているようで、

「建築士以外が設計した建築物」は、

構造審査を省略することができないようです。

 

入口はそんなにチェックしないけど

出口はしっかりチェックするよ!

ってことなのでしょうか。

 

ですので、

設計士が建築士ではない場合でも、

構造的に問題がある建物にはならないように

制度が設計されている、のかな? と思いました。

 

また、現実的な話として、

工務店やハウスメーカーは、

仮に建築士ではない人が設計した場合でも、

社内の建築士資格を持っている人がチェックをして、

設計としては建築士設計という形になるのではないかな、

と想像できます。

 

なので、

WEB上や書籍などで、

「打ち合わせの相手は建築士か確認することが大事」

といわれているのをよく目にしますが、

構造的な心配ってそこまであるのかな? と思ったり。

どうなのでしょうか。

 

例えばお客さんからの要望を

営業さんが「できますできます」と言って間取りを書き、

建築士さんが後から

「こんなんで耐震等級とれるかボケ!」

ってレベルだと大変かな、とは思いますが。

 

うーん、あとはそこまでいかなくても、

営業さん間取り書く→建築士さんチェックする

の流れで、

耐震等級はとれるんだけど、

直下率(※4)がよくないので、

無駄に柱が増えたり梁が太くなったり、

ということが起こるのであれば、

打ち合わせの相手は最初から建築士さんだと良い、

ってことになるのかもしれませんが。

 

以上のようなことから、

すべてのハウスメーカーや工務店をフラットに並べて、

「確率」として考えれば、

打ち合わせの相手が建築士さんだと

安心・安全である確率が高くなる気はしますが、

キャリアなどによっては、

建築士さんよりできる

無資格の営業さんや設計士さんもいると思いますし、

確率だけで選んでもハズレを引くこともありますので、

ここはもう個別案件を検討するほかないのかな、と思いました。

目の前の設計士さんの力量どうですか? って。

(※ここでは、

  素敵な間取りとか、素敵な意匠とか、

  オシャレな照明計画とかそういう力量ではなく、

  あくまで構造的な設計の力量という文脈で書いています。

  念のため)

 

でも、素人にはそれを判断するのはハードル高いですよね。

 

また、

そもそも建築士の設計=構造的に安心といえるのか、

というと、

建築士への信頼の上に成り立っている

4号特例自体が

構造的に問題がある建物が建てられる原因となっている

という問題もあると思いますので、

そうなるともう、

客観的に構造的な安全性を確認できることが確実なのかな、

と思いました。

 

なので、私たちの中での最終的な結論としては、

打ち合わせ相手がどうかといった「プロセス」ではなく、

許容応力度計算(※5)をして耐震等級3をとる、

という「結果」が確かに得られる相手に依頼する、

ということが大事ではないかと思いました。

 

ちなみに、

エムズアソシエイツ(以下、エムズさん)については、

まず営業さんがいないので

設計士さんと打ち合わせをするのですが、

構造的にも検討してもらいながら打ち合わせを行い、

最終的には外注で許容応力度計算を行って、

特段、柱の追加や梁の変更などもなく

耐震等級3を取得できましたので、

構造的にも素晴らしい設計をしていただけたと思っています。

 

あとは素人考えではありますが、

施主側としても構造的に強くなるように

「平屋」

「家の形は凸凹のない四角形」

「バランスのよい間取り」

というあたりは希望した上で、

構造の強さについても素人なりに意識はして

間取り打ち合わせを行いました。

(間取りって、動線とか住みやすさ以外に、

 構造、空調、換気などなど、

 併せて考えることが多すぎて大変ですよね)

 

なお、前述した4号特例については、

法改正(※6)が施行予定となっており、

建築確認の際に構造審査を省略できない対象が

以下のように変更されることになっています。

(法改正後は、4号特例ではなく3号特例?)

 

●改正前(2025年3月まで)

「延床面積が500㎡を超えている」

  or

「3階建以上である」

  or

「高さが13メートル若しくは

 軒の高さが9メートルを超えている」

 

●改正後(2025年4月から)

「延床面積が200㎡を超えている」

  or

「2階建以上である」

 

出典:国土交通省「2025年4月(予定)から4号特例が変わります」2022年10月版

 

改正経緯としては、

2025年4月からの省エネ基準適合義務化と併せて、

太陽光発電を載せること等による建物の重量化を踏まえ、

建物の構造の安定性を担保するための改正、とのことで。

 

この改正をさかしまに読めば、

この改正経緯を踏まえても特例が適用される、

延床面積200㎡以下の平屋については、

構造的にはとても安定しているってこと? って思いました。

(※7)

 

この改正については、

構造についてもちゃんと取り組んできた

工務店やハウスメーカーにとっては、

特段何も問題はないと思いますし、

エムズさんについても、

施主側の希望を尊重した上で

耐震等級3を基本とされていますので、

安心だと思います。

 

今回もつらつらと書いてしまいましたが、

まとめますと、

耐震性については、

「耐震等級3をとること」

「できれば許容応力度計算で」

(さらに、できれば偏心率(※8)も低くして)

という「結果」を確実に得られることが、

自分たちの家の耐震性を担保するためには大切ではないか

と思い、現在に至っています。

 

【注・用語解説、的なもの】

※1 建築士法(抜粋)

《注》本文に関係する部分はハイライト

(定義)

第二条 この法律で「建築士」とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう。

2 この法律で「一級建築士」とは、国土交通大臣の免許を受け、一級建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう。

3 この法律で「二級建築士」とは、都道府県知事の免許を受け、二級建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう。

4 この法律で「木造建築士」とは、都道府県知事の免許を受け、木造建築士の名称を用いて、木造の建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう。

(一級建築士でなければできない設計又は工事監理)

第三条 左の各号に掲げる建築物(建築基準法第八十五条第一項又は第二項に規定する応急仮設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。

 一 学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が五百平方メートルをこえるもの

 二 木造の建築物又は建築物の部分で、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの

 三 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロツク造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三百平方メートル、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルをこえるもの

 四 延べ面積が千平方メートルをこえ、且つ、階数が二以上の建築物

2 建築物を増築し、改築し、又は建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合においては、当該増築、改築、修繕又は模様替に係る部分を新築するものとみなして前項の規定を適用する。

(一級建築士又は二級建築士でなければできない設計又は工事監理)

第三条の二 前条第一項各号に掲げる建築物以外の建築物で、次の各号に掲げるものを新築する場合においては、一級建築士又は二級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。

 一 前条第一項第三号に掲げる構造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三十平方メートルを超えるもの

 二 延べ面積が百平方メートル(木造の建築物にあつては、三百平方メートル)を超え、又は階数が三以上の建築物

2 前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

3 都道府県は、土地の状況により必要と認める場合においては、第一項の規定にかかわらず、条例で、区域又は建築物の用途を限り、同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)を別に定めることができる。

(一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければできない設計又は工事監理)

第三条の三 前条第一項第二号に掲げる建築物以外の木造の建築物で、延べ面積が百平方メートルを超えるものを新築する場合においては、一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。

2 第三条第二項及び前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)」とあるのは、「次条第一項に規定する延べ面積」と読み替えるものとする。

 

 

※2 一級建築士/二級建築士/木造建築士

一級建築士は国土交通大臣の免許を受ける国家資格。

二級建築士と木造建築士は都道府県知事の免許を受ける公的資格。

 

 

※3 建築基準法における4号特例(法改正前)

《注》本文に関係する部分はハイライト

◉建築基準法第六条第一項第四号と第六条の四第一項第三号

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

 一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

 二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの

 三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの

 四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

(建築物の建築に関する確認の特例)

第六条の四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第六条及び第六条の二の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。

 一 第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物

 二 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物

 三 第六条第一項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

 

◉建築基準法施行令第十条

第三節 建築物の建築に関する確認の特例

第十条 法第六条の四第一項の規定により読み替えて適用される法第六条第一項(法第八十七条第一項及び法第八十七条の四において準用する場合を含む。)の政令で定める規定は、次の各号(法第八十七条第一項において準用する場合にあつては第一号及び第二号、法第八十七条の四において準用する場合にあつては同号。以下この条において同じ。)に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める規定とする。

 一 法第六条の四第一項第二号に掲げる建築物のうち、その認定型式に適合する建築物の部分が第百三十六条の二の十一第一号に掲げるものであるもの その認定型式が、同号イに掲げる全ての規定に適合するものであることの認定を受けたものである場合にあつては同号イに掲げる全ての規定、同号ロに掲げる全ての規定に適合するものであることの認定を受けたものである場合にあつては同号ロに掲げる全ての規定

 二 法第六条の四第一項第二号に掲げる建築物のうち、その認定型式に適合する建築物の部分が第百三十六条の二の十一第二号の表の建築物の部分の欄の各項に掲げるものであるもの 同表の一連の規定の欄の当該各項に掲げる規定(これらの規定中建築物の部分の構造に係る部分が、当該認定型式に適合する建築物の部分に適用される場合に限る。)

 三 法第六条の四第一項第三号に掲げる建築物のうち防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建ての住宅(住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が、延べ面積の二分の一以上であるもの又は五十平方メートルを超えるものを除く。) 次に定める規定

  イ 法第二十条(第一項第四号イに係る部分に限る。)、法第二十一条から法第二十五条まで、法第二十七条、法第二十八条、法第二十九条、法第三十一条第一項、法第三十二条、法第三十三条、法第三十五条から法第三十五条の三まで及び法第三十七条の規定

  ロ 次章(第一節の三、第三十二条及び第三十五条を除く。)、第三章(第八節を除き、第八十条の二にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第四章から第五章の二まで、第五章の四(第二節を除く。)及び第百四十四条の三の規定

  ハ 法第三十九条から法第四十一条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第六条の四第二項の規定の趣旨により規則で定める規定

 四 法第六条の四第一項第三号に掲げる建築物のうち前号の一戸建ての住宅以外の建築物 次に定める規定

  イ 法第二十条(第一項第四号イに係る部分に限る。)、法第二十一条、法第二十八条第一項及び第二項、法第二十九条、法第三十条、法第三十一条第一項、法第三十二条、法第三十三条並びに法第三十七条の規定

  ロ 次章(第二十条の三、第一節の三、第三十二条及び第三十五条を除く。)、第三章(第八節を除き、第八十条の二にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第百十九条、第五章の四(第百二十九条の二の四第一項第六号及び第七号並びに第二節を除く。)及び第百四十四条の三の規定

  ハ 法第三十九条から法第四十一条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第六条の四第二項の規定の趣旨により規則で定める規定

 

◉建築基準法第二十条第一項第四号イ

(構造耐力)

第二十条 建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。

 一 高さが六十メートルを超える建築物 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。

 二 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。

  イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。

  ロ 前号に定める基準に適合すること。

 三 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。

  イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。

  ロ 前二号に定める基準のいずれかに適合すること。

 四 前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。

  イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。

  ロ 前三号に定める基準のいずれかに適合すること。

2 前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。

 

 

※4 直下率

「柱」「壁」「耐力壁」が上の階と下の階で位置が揃っている割合のこと。

 

 

※5 許容応力度計算

台風や地震の力を受けたときに、柱や梁などの各部材1つ1つにかかる力(応力)を計算し、各部材が許容できる力(許容応力度)を計算するもの。耐震等級2以上をとるためには、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)(平成11年法律第81号)による性能表示計算」と「建築基準法による許容応力度計算」の2つの計算方法があり、後者のほうがより耐震性は高いといわれている。(「許容応力度計算」については、次回ブログにてもう少し書きたいと思います。)

なお、よく「構造計算」という言葉が用いられるが、一般的には「構造計算=許容応力度計算」の意味で用いられるようだが、「構造計算=建築基準法による仕様規定、品確法による性能表示計算、建築基準法による許容応力度計算」という広い意味で用いられることもあるため、曖昧さを回避するためには、「構造計算」ではなく「許容応力度計算」という言葉を用いるのが良いように思う。

 

 

※6 法改正後の建築基準法における4号特例(法改正後は3号特例?)

《注1》本文に関係する部分はハイライト

《注2》法改正の施行は2025年4月予定

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条 建築主は、第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号又は第二号に規定する規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)の確認(建築副主事の確認にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。以下この項において同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号又は第二号に規定する規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

 一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

 二 前号に掲げる建築物を除くほか、二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物

 三 前二号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

(建築物の建築に関する確認の特例)

第六条の四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第六条及び第六条の二の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。

 一 第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物

 二 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物

 三 第六条第一項第三号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

 

※7 4号特例の改正について *2023年12月21日追記*

「世界一美しい平屋の作り方」『建築知識』No.825(2023年)の中で、「平屋に特例が残るのは、耐震性能と関係ない」と記されていました。木造以外の建築物(RC造など)は、200㎡以下の平屋のみ特例が適用されていたので、今回の改正では、木造の建築物についてもRC造などに要件を統一しただけで、平屋の耐震性に関係するものではない、とのことでした

ただ、今回の法改正は、構造の安定性を担保することを目的としたものだったので、そうであれば、木造以外の建築物(RC造など)も含めて、この改正の際に200㎡以下の平屋も特例を廃止してもよかったと思うのですが……そう考えると、特例が残された理由ってなんなのか理由が気になります。

いずれにしても、そもそも4号特例の存在自体が、構造的に問題がある建物が建てられる原因となっていたという事実はあると思いますので構造の安定性を担保するめには、計算をしっかりしてもらって耐震等級3をとることが大切であることには変わりないかと思います。

 

※8 偏心率

建物の重心と、建物の剛心(耐力壁などの配置による強さの中心)の距離を示す。X軸とY軸それぞれに偏心率が求められ、0に近づくほど重心と剛心が近いことになる。木造住宅に関しては、建築基準法上0.3以下とすることが定められている。工務店によっては、耐震性を高めるために独自に0.15以下などといった基準をもって設計しているところもある。エムズさんでは、偏心率を基本0.15以下で設計されている。