ミスターYKの秘密基地(アジト)
もう、日付が変わってしまいましたが…。


早いものです。当時、私は高校1年生。東京へ行ったのも生まれて初めての紅顔の田舎少年でしたが、今や厚顔の変態オヤジになってしまいました(恥)。でも、心はあの日のままです。(←むしろタチ悪いぞ)


生まれて初めて行ったコンサートがこれだったこと、そしてもちろん、この歴史的なコンサートに行けたことは、私の人生における最高の財産です。
そもそも、生まれて初めてのコンサートのオケが東京交響楽団だったなんて、なかなか贅沢です。


私が座った席の2列前に、あろうことか伊福部先生ご夫妻が鎮座ましましておられるのに気付いた次の瞬間には、体が勝手に動いてサインを頂きに行ってました。
でも、田舎の少年のそんな不躾な振る舞いに対して、先生は快く応じて下さったばかりか、私のフルネームを訊かれてサインに書いて下さいました。
その時、私は心の中で、感激のあまり号泣しながら「一生ついて行きます!」と誓いました。


このコンサートの翌年に発売されたライブ盤のレコードの解説には、以下のような一文があります。
「今後最低50年間は、伊福部ファンはどんな事があっても悲しみに耐えて生きてゆけることができるであろう。このライブ盤がある限り。」


ええ、そうですとも。まして、実際にコンサートに行った人間にとっては。
ええ、耐えてきましたとも、どんな悲しみにも。伊福部先生ご自身が天国に旅立たれたという最大の悲しみも含めて。
ええ、耐えていますとも、今まさに。


当時は、50年なんて遥か遠い未来のことだと思いましたが、気がついたら最低有効期間の半分を過ぎ、残り20年になってしまいました。
50年経った時って、俺、65歳かよ…。
でも、相変わらずなんだろうな…。


あの日の最後に演奏された『ロンド・イン・ブーレスク』のラストのコーダの残響音は、今も私の心の中に残っています。


昨日、熊本日日新聞に掲載された拙文の全長版(規定の文字数に収める前のもの)を基にしたレビューを掲載させて頂きます。


ハリウッドのトップ・スター、ブラッド・ピットが、レオナルド・ディカプリオと争って映画化権を獲得し、自ら製作を務めたこの映画。何と、人間とゾンビの“全面戦争”を描いた作品です。


謎のウイルスが全世界で爆発的に拡大し、主要都市は次々に壊滅。感染者は凶暴化して他の人間に噛みつくゾンビ状態に。しかし、その襲撃を受けない人々がいることが判明、その原因、つまりウイルスの弱点が分かれば、ワクチンを作ることができる。
かつて紛争中の国々に派遣された元国連職員のジェリー(ブラッド・ピット)は、家族の保護を条件にこの謎を解明する任務を受け、世界のあちこちを転々としますが…。


感染者たちは厳密にはゾンビではないので、本作は一般的なゾンビ映画とは違うかも(グロ描写も割りと控えめ)。
全力疾走したり、離陸しているヘリコプターに飛び乗ろうとするなど、本作の“ゾンビ”はやたらと元気。そのあたりも、ゾンビ映画ファンには賛否分かれるところだろう。
(でも、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』を連想させるシーンもあり、リスペクトはしてるみたいです)
しかし、巨大な黒い塊になって押し寄せてくるビジュアルや、逃げ場のない飛行中の旅客機内でゾンビが増大していくシーンなどのインパクトはかなり強いです。


むしろ本作は、宇宙から来た未知のウイルスと人間との戦いを描いた、マイケル・クライトン原作の「アンドロメダ…」を思わせます。
原作は、各国でのウイルスの蔓延の様子を、それぞれの国の人々の証言という形で描いた、一種のフェイク・ドキュメンタリーでした。映画化にあたって、特定の主人公を設定して一つの話にするという大幅な脚色が行なわれました。映画として観やすいような形にするという処理ですが、その辺の処理の仕方も、ちょっと『アンドロメダ…』に似てます。


ところが、ジェリーがウイルスの謎を追って世界各地を飛び回り、行く先々で様々な危機に陥るという展開は、何だか「007」的です(監督が「007/慰めの報酬」のマーク・フォースターなのは、そのため?)。
でも、ジェリーはジェームズ・ボンドのようなスーパーヒーローではなく、あくまでも一人の夫・父親として描かれています。彼にとっては、世界を救うことが家族を救うこと。決死の任務の合間に家庭人としての人間味を時折見せるジェリーの姿は、実生活でも家族を持ったブラピ自身を反映しているのかも知れません。


ホラー,SF、家族愛の物語を絶妙のバランスで配合し、007風の派手な見せ場がアクセントに。様々な要素を破綻なくほぼ二時間にまとめた手腕はさすが。幅広い層が楽しめる、上質の娯楽作品に仕上がっています。

昨日、福岡に行って観せて頂きました。


熊本日日新聞にレビューを書かせて頂くことになっているので、まだあまり詳しくは書けませんが、感想を簡単に。


まあゾンビものになるんでしょうが、ここでのゾンビは全力疾走するわ離陸しようとしているヘリコプターに飛び乗ろうとするわで、かなりアグレッシブ。その辺が、「ゾンビはノロノロ歩くべし」という「ロメロ式ゾンビ原理主義者」の皆さんにとっては賛否分かれるところでしょう。でも実は、この映画の「ゾンビ」って、厳密にはゾンビじゃないんですけどね…。
それに、ロメロの『ゾンビ』に対するオマージュもしっかり入ってます。

いや、「ゾンビもの」と言うにはスプラッタ描写はかなり控えめ。


詳しくは書きませんけど、全体的な作りはマイケル・クライトン原作の『アンドロメダ…』っぽいところもあるし、その上『007』ぽいところも。『慰めの報酬』の監督を起用したのはそのためか?(あ、何か、『慰めの報酬』で観たようなシーンがあったな)。


え?ゾンビ+『アンドロメダ…』+『007』?想像つかないでしょ?でも、強いて例えればこんな感じ。


上映時間を2時間弱にきっちり収めてあるのもお見事。
良い意味で想像していたのと違った作品でした。私は好きです。


8月10日公開。



ミスターYKの秘密基地(アジト)

試写会の招待状。ハガキ(?)になっています。A4サイズ。結構デカい。

昨日書いたように、先週の日曜日に『アラビアのロレンス』を観にTOHOシネマズ光の森に行ったのですが、その時に発見したのが劇場の入り口に貼ってあった↓このポスター。


ミスターYKの秘密基地(アジト)

え?『テッド』って、もうすぐ(7月24日)にDVD出るよね?
某TSUTAYAなんか、↓この騒ぎだよ。


ミスターYKの秘密基地(アジト)

昨年の11月に初めて観て以来、この映画を推しまくった私ですが、その私の予想を遥かに超える大ヒットとなったのは確かです。
でも、このタイミングで再上映やるかねえ?しかも、ポスターには「良い子のみんな!お待たせしたぜ!」って、R15だから良い子のみんなは観れないじゃん!
…と怪訝に思っておりました。


でも、ポスターの一番下をよく見て納得。どうやら今回上映されるのは、過激な場面やセリフをカットしたりした“ソフト・バージョン”のようです。

そして、下から2行目には、「本作はPG12です。小学生には助言・指導が必要です」というおなじみの文言が。

しかし、この映画に関してどんな助言・指導をしろと言うんだ?(笑)


それはともかく、『テッド』推しの私としては、このソフト・バージョンも観てみたい気はします。


7月5日からTOHOシネマズ光の森で公開。

月末で忙しくてなかなか書けず、もう1週間も前の話になってしまいましたが、『新・午前十時の映画祭』で観ました。

恥ずかしながら、この作品をスクリーンで観るのは初めて。いや、一度は映画館の大画面で観ておかなければならない映画でしょう、これは。
(厳密に言えば、70ミリ・プリントで観なければ意味ないんですけどね)


これだけの名作ですから、今さらあーあこーだ書くことはありません。しかし、個人的などーでもいい感想をチョコチョコッと書いておきます。


上映が始まって、まずは真っ暗な場内に序曲が流れます(当時の大作ではおなじみ)。もう何十回もサントラCDで聴いてる曲なのに、イントロの打楽器による「ダダダダンダガダン!」が鳴り響いた途端、全身に鳥肌が…。やっぱり、これは映画館で「体感」する映画なんだと改めて実感。スマホじあ味わえないよ、この感覚は。


オープニング・タイトルで、脚本のところにマイケル・ウィルソンの名前が出てきたので一瞬「あれ?」と思いました。ウィルソンは、当時、赤狩りの影響でクレジットから名前を外されていたという話は聞いていたのですが、『戦場にかける橋』でも名前がクレジットに加えられたのはつい最近の復元作業の時だと記憶していました。

今回上映された『ロレンス』は1988年の復元作業の時のものだと思っていたのですが、その時はまだ彼の名前は復活していなかったはずなので、不思議に思いました。最後に流れた復元版のクレジットで、実は昨年にも復元作業が行なわれていたことを初めて知りました(製作50周年ですね)。その時にウィルソンの名前が加えられたんですね。


あとは、とにかく圧倒されっぱなし。画面が壮大で美しいだけでなく、いろいろな意味で緻密に作られている作品であることを改めて感じました。


ところで、これだけの長編(4時間弱)ですから途中でインターミッション(休憩)が入るのですが、そこにたどり着くまで2時間20分近くかかるんですね。前の方の席で観ていたおっさんが途中で外に出て「こら休憩は無かたい!」とわめいていたのが廊下から聞こえてきましたが、その2分後に休憩が(笑)。昔、レーザーディスク(苦笑)で見たから、休憩が入る場所を覚えていて助かりました。