昨夜は、毎週月曜日にUstreamで配信されるネットラジオ番組『ついツイ生だし熊本ラジオ』に出演させて頂きました。


特定のスタジオから放送せず、毎回場所を変えてそこから放送するというスタイルのこの番組、昨夜は下通の「smiley restaurant & cafe」さんから公開生放送。


ミスターYKの秘密基地(アジト)
私にはまったく似合わないオシャレなお店です(恥)。


いつものように、村上隆二さんと橋口真希さんのトークも好調。そこへ登場した私、いきなり風俗店情報の紹介を振られ…という豪快な展開が、この番組のお約束(笑)。


今回は、新作が『エクスペンダブルズ』、旧作が体育の日にちなんで『東京オリンピック』の紹介をさせて頂きました。


後半は、村上さんのフォロワー「Mary_Ongg」さんが電話で登場。DJもやるという大学4年生女子の登場で、何だか異様に盛り上がってしまうのも、この番組のお約束(笑その2)。


今回も、いい具合に盛り上がっているうちに場b組みは終了。出てるだけでも本当に楽しいです。


ミスターYKの秘密基地(アジト)
ラテアート(?)で、番組のマーク(??)を作ってもらいました。


<「smiley restaurant & cafe」ブログ>

http://ameblo.jp/smiley-cafe


<『ついツイ生だし熊本ラジオ』>

http://ustre.am/kJP0



まあ、例のテレビドラマの劇場版の話です。一昨日、業務試写で観せて頂いたんですが…。あえて、ほとんど伏字で書かせて頂きます。つーか、あんまり詳しくは書きませんが…。


上映時間98分と、予想を大幅に下回る短さ。でも、一つ一つのシークエンスが何だかミョーに長い。無理に尺を延ばして前後編にしたっぽい。


それよりもまず、キャラなどの基本設定についての説明がまったくないので、テレビ版を見ていなかった人(私含む)には、まったくワケ分かりません(恥)。


へえ、山本圭が総理大臣なんだ。昔は、叔父さん(山本薩夫監督)の影がチラホラするような左寄りの役がやたら多かったんだけどなあ。もしかして、このドラマの中の日本って共●政権?


それより強烈だったのが、官房長官が蛍雪次朗だったこと。金子修介の『ガメラ』シリーズで、必ず怪獣とファースト・コンタクトを取るハメになってしまい、毎回絶叫していた大迫刑事の印象がいまだに強過ぎて、「どんな政府なんだよ!」とツッコミ入れたくなります。


まあ、わたし的には、男をシバキまくる真木よう子様を拝めただけでOKでしたが(苦笑)。冒頭の追跡シーンで、駅の自動改札の通せんぼ部分(?)をヒラリと飛び越すとこなんぞ、さすが元陸上部!と感心してしまう身のこなし。後半、ちょっと痛々しいお姿になってしまいますが…。

今年は時代劇映画が豊作ですが、なぜかほとんど幕末もの。やはり大河ドラマの影響でしょうか。


で、この作品も、まさに幕末の加賀藩が舞台。藩の御算用者(経理係)を務めた猪山直之(堺雅人)の半生を描いた作品です。監督は森田芳光。『椿三十郎』のリメイクに続いて、再び時代劇に挑戦です。


主人公の一家のキャスティングが、父=中村雅俊、母=松坂慶子、祖母=草笛光子という、かなり濃いメンツ。さらに、嫁=仲間由紀恵、義父=西村雅彦と、濃度がさらに増す親戚関係が発生。


「そろばんバカ」呼ばわりされ、経理の才能に長け、なおかつ妥協を許さない生真面目なキャラの直之に、堺雅人は実にハマリ役。幼い息子に経理のスパルタ教育を施すところも、この人ならでは。ただし、やっぱり仲間さんは時代劇顔じゃないよなあ。


当時の武家の生活ぶりや御算用者の仕事の様子などは、時代考証に手間隙をかけているのがうかがえる、実にリアルっぽい雰囲気がいっぱいです。


ただ、物語が物語だけに、それほど劇的なクライマックスが用意されているわけでもなく、実に淡々と話が進みます。だから、淡々映画の傑作『南極料理人』に主演した堺雅人を主役に据えたのか?おかげで、さほどダレずには済みましたが、上映時間をせめて2時間以内に収めて頂きたかったですな。



すっかり放置しておりましたこのシリーズ。次はこの作品にすることは決めていましたが、主演のトニー・カーティスが亡くなったこともあって、これは書かなければと思い、唐突に復活です(苦笑)。


私が生まれた1968年の作品。ちょうど、黒澤明が日米合作『トラ・トラ・トラ!』の日本部分演出でトラブって(苦笑その2)いた時期に公開されましたが、監督のリチャード・フライシャーは、以前にも書いた通り『トラ』のアメリカ部分演出を担当しました。


1960年代のアメリカ・ボストンで実際に起こった、猟奇的な連続女性絞殺事件を題材に、ドキュメンタリー・タッチの中に実験的手法を織り交ぜた映画です。黒澤は、『トラ』のアメリカ側監督が自分と格的に釣り合わないフライシャーと知り、『ミクロの決死圏』を監督したばかりの彼を「ミクロ野郎!」と侮蔑していたらしいですが、この作品を観ていたら、少なくともドキュメンタリー・タッチを必要としていた『トラ』の監督としては認めたかも知れません。


最初に書いた通り、主演としてクレジットされているのが、この事件の犯人として逮捕されたアルバート・デザルヴォ役のカーティス。当初、この役には『荒野の七人』で一番若いガンマンを演じたホルスト・ブッフホルツが想定され、他にもウォーレン・ベイティや何とロバート・レッドフォードと、基本的に二枚目系の俳優たちが候補に挙がっていたらしいのですが、最終的には彼らより一世代ぐらい上ながら、やはり二の線のカーティスが演じることになりました。もっともカーティスは、典型的な二枚目役の一方で、人種差別意識むき出しの囚人(『手錠のまヽの脱獄』)やローマ帝国のお偉いさん(もちろん男)に好意を寄せられるシチリア人奴隷(『スパルタカス』)、そしてギャングの魔の手から逃れるため女性だけの楽団に女装して紛れ込むジャズマン(『お熱いのがお好き』)など、結構演技力(と勇気)が要る役をしばしば演じていました。


で、この作品の印象的な点と言えば、まずは分割画面の効果的な使用。特に、本筋とはほとんど関係ないものの、①女性の家にいたずら電話をかける変質者、②いたずら電話をかけられ、近所の協力で警察に通報する女性宅、③万全の体制のおかげで逆探知に成功し、犯人逮捕に向かう警察、の3つを並行して映し出す3元同時生中継(?)のシークエンス。ここでの分割画面の「正しい」使用法の前では、デ・パルマのマルチ・スクリーンも霞んで見えるほどです。


また、逮捕されたデザルヴォ取調べシーン。どうやら人格分裂を起こしていたらしい(このあたりの真偽は定かではないようです)デザルヴォが自身の犯行を思い出すところでは、この時代の映画としてはかなり斬新な表現が行われています。


また、この映画には、店内BGMやテレビなどの中で流れる音楽、いわゆるソース・ミュージック(または現実音楽)以外には、まったく音楽が流れません。それでも、それらがこの作品のために書かれたオリジナル楽曲だったせいか、ライオネル・ニューマン(長年、専属の音楽監督を務めてきた兄のアルフレッドに代わって、当時の20世紀フォックスの音楽部門を仕切っていた)が音楽担当者としてクレジットされています。ちなみに、この手法は先述のカーティス主演作『手錠のまヽの脱獄』でも使われています。この時の作曲はアーネスト・ゴールド。名コンビとなった監督のスタンリー・クレイマーとの初コラボでした。


割りと最近、この作品のDVDが発売されたばかりです。テレビ放映時の日本語吹替も収録。カーティスの声はもちろん広川太一郎だったりしちゃったりなんかして。

日本映画史に残る名優・小林桂樹さんが亡くなりました。


19年前のちょうど今頃(9月の連休)、東京に数日間遊びに行ったのですが、その時に今は無き銀座の並木座で邦画のサスペンス物の特集上映をやっていまして、私が観に行ったのが『黒い画集 あるサラリーマンの証言』に『首』という、小林さん主演作の2本立てでした。


松本清張原作の『あるサラリーマン…』も傑作でした。当時小林さんは『社長』シリーズなどで健全サラリーマン役を数多く演じていましたが、そのイメージを逆手に取ったキャスティングだったのでしょう。一見まさに真面目なサラリーマンだが不倫に走っていて、しかも殺人事件に巻き込まれたことでどんどん身を滅ぼしていく…という、同じ東宝作品ながら、かなりダークなイメージのキャラに扮していました。数年前、テレビのスペシャルドラマになっていたので観ましたが、主演が東山紀之だったのでア然としました。いや、ヒガシがイカンというのではなくて、やはり映画版の小林さんのイメージが強すぎて違和感を覚えたのです。


で、続いて上映されたのが、この『首』。有名な弁護士の正木ひろしが、後に「首なし事件」と呼ばれるようになる、自身がかつて手がけた実際の事件を描いた本を映画化したもので、私と同じ1968年の作品。監督はデビューして間もない頃の森谷司郎。後に『日本沈没』を皮切りに『八甲田山』などの大作を多く手がけることになりますが、この頃は加山雄三や内藤洋子(!)らの青春ものなど、小品ながら手堅い作りの作品を撮っていました。この作品も、当時の大手の会社の映画としては珍しく白黒・スタンダードサイズです(白黒はまだ多かったですが、スタンダードサイズはほとんどなかったのです)。


昭和18(1943)年(実際は翌19年)、茨城県の山村で、警察で取調べを受けていた一人の鉱夫が「脳溢血」で死亡します。しかし、その死因や警察の態度に不審なものを感じた遺族が正木に調査を依頼します。正木は拷問による死亡を疑いますが、警察も検事もすでに埋葬されていた死体を見せようとしません。戦時下で拷問が横行していたとは言え、正木の怒りに火が点きます。彼は徹底的に調査することを決意、東大の法医学の教授に相談すると、痛いの頭部さえ検分できれば、病死か拷問死か判断できるとのこと。しかし、警察側のガードは固く、遺体の掘り起こし許可など出る筈もありません。そこで、正木は何と、教授に紹介してもらった首切り作業のプロ(!)を伴い、極秘裏に墓を掘り起こして遺体の頭部を切断、東大に持ち込むという強硬手段に出るのです。


全編を覆うダークな雰囲気と緊張感。正木たちが首を東京に運び込もうとするクライマックスでは、彼らの動きを察知して妨害しようとする警察側との駆け引きがサスペンスたっぷりに描かれます。


ここでの小林さんはサラリーマン役の抑えた演技から一転、後に同じ森谷監督の『日本沈没』で演じた田所博士の原型とも言えるような猛烈なテンションで正木を演じます。ナレーターは高橋悦史。常連を務めた岡本喜八の映画で彼が演じた豪放磊落なキャラを思わせるような、型破りな語り口が印象に残ります。


ちなみに、『あるサラリーマン』の方はDVDになっていますが、こちらの方は未だにソフト化されていません(以前CSで放送されたことはありますが)。やはり、実際の事件の映画化だから、いろいろと問題があるのかも知れません。ウィキペディアで調べてみたら、被害者や加害者は匿名になっていましたが、東大の教授などはほとんどそれと分かるぐらい原型を留めた変名(?)が映画での役名になっていたので、被害者なども実名に近い形だったのかも知れません。あーこれじゃソフト化できないのも無理ないのかなあ。でも、出して欲しい。もったいないなあ。小林さんの追悼で出して下さい。


合掌。