今年は時代劇映画が豊作ですが、なぜかほとんど幕末もの。やはり大河ドラマの影響でしょうか。
で、この作品も、まさに幕末の加賀藩が舞台。藩の御算用者(経理係)を務めた猪山直之(堺雅人)の半生を描いた作品です。監督は森田芳光。『椿三十郎』のリメイクに続いて、再び時代劇に挑戦です。
主人公の一家のキャスティングが、父=中村雅俊、母=松坂慶子、祖母=草笛光子という、かなり濃いメンツ。さらに、嫁=仲間由紀恵、義父=西村雅彦と、濃度がさらに増す親戚関係が発生。
「そろばんバカ」呼ばわりされ、経理の才能に長け、なおかつ妥協を許さない生真面目なキャラの直之に、堺雅人は実にハマリ役。幼い息子に経理のスパルタ教育を施すところも、この人ならでは。ただし、やっぱり仲間さんは時代劇顔じゃないよなあ。
当時の武家の生活ぶりや御算用者の仕事の様子などは、時代考証に手間隙をかけているのがうかがえる、実にリアルっぽい雰囲気がいっぱいです。
ただ、物語が物語だけに、それほど劇的なクライマックスが用意されているわけでもなく、実に淡々と話が進みます。だから、淡々映画の傑作『南極料理人』に主演した堺雅人を主役に据えたのか?おかげで、さほどダレずには済みましたが、上映時間をせめて2時間以内に収めて頂きたかったですな。