読解力には、次の要素がありますと説明しました。
・語彙力(単語・熟語・ことわざ・カタカナ語)
・指示語(代名詞)の指す意味
・作者の意図/登場人物の意図
今回は、「作者の意図/登場人物の意図」についてお話します。
この問題の意図は、
「日頃から他人の話をちゃんと聞けているか」
ということなのです。
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論説文の問題に顕著ですが、論説文の筆者は、
何らかの「伝えたいこと」があって文章を書いています。
それは、世間の常識に反する事実、なのかもしれません。
読者(あなた)の怒りを買うような真実、なのかもしれません。
しかし、世間の常識からみてどうなのか、
読者(あなた)の意見としてどうなのか、
そんなことどうでも良いのです。
質問は「作者の意図/登場人物の意図」であって、
読者(あなた)の意図なんて、聞かれてない。
読者(あなた)の意図を表現する場は、読書感想文や、
スピーチコンテストといった、別な機会が与えられているはずです。
試験で私見を聞いて、その内容で正解不正解を判定なんてしません。
就職試験ですら、思想信条を聞くことは禁じられています。
だから、素直に「へぇ。この作者はこんな考え方するんだ。」
「こんな視点からものを見る方法があるのか」と感心して、
「何って言っているんだろう?」と感じれば良いんです。
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小説文の場合でも同じです。
例えば「主人公が泣いた理由を答えなさい」と聞かれた時、
たとえ、読者(あなた)「こんな時に泣かないよ」と思ったとしても、
その「主人公が泣いた」事を正当化するために、
作者は「泣く理由」をどこかに書いているはずなんです。
そうでないと読者の共感を得られないから。
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だから、「作者の意図/登場人物の意図」を解くのに必要なのは「素直さ」。
「謙虚さ」と言い換えても良いかもしれない。
論説文で言えば、自分が賛成しない論の文章であってもしっかり読む、
小説文で言えば、どうしてこの登場人物は、
ここでこんな感情になるんだろう、といつも意識しながら読む、
実はこれらは、本をより楽しく読むための工夫でもあるんです。

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