お泊まり恋愛詩 -20ページ目

お泊まり恋愛詩

恋愛詩を集めたブログです。彼氏視点です。

かなりえっちな内容のものも少なくないですが、年齢制限せずにすむよう、端正で遠回しな表現に収めています。また、旧作に手を加えている作品が多いので、現在進行形のものはほとんどありません。更新休止中です。


泣き顔にひとめぼれ


ピアス穴をまだ開けたことがなかった君に

初めてあげたプレゼントはイヤリング

僕のどんな破廉恥なリクエストに いいよ と応えるよりずっと

緊張しながら 君が打ち明けたのは

イヤリングの片方をなくしたこと


言いづらいことは手紙を書いて渡してくれる君なのに

直接話してくれた

お仕置きはしなかった

泣き顔だけで充分だった


つきあい始めて3ヶ月間ずっと

抱きたい気持ちのほうがまさっていた僕が

君を本当に好きになったのはその時だった

泣き顔にひとめぼれ

でも そのことは秘密だ


手持ちぶさたな涼しい午後


僕が貸した「レダ」を彼女は読まなかった

彼女が貸してくれた「華岡青洲の妻」を僕は読まなかった

そのうち一緒に行こうね と言っていた

香港には行かなかった

時々部屋を借りていた友達に教えてもらった

おいしい和食の店に行かなかった


編み紐の断面に

途切れた糸が散らばる

別れというのはそういうものだ


残念な快晴の下で

僕は彼女が何をしているかを知らない


透明な浅瀬の夢


遙か遠くまで続く

透明な浅瀬を走っている夢を見ていた

寂しく潔い夢だった


あの夢を見ていたのが

何歳の時だったのか

眠りの中で見る夢だったのか

空想が高じた白昼夢だったのかさえ

今では思い出せない


おそらくは年齢が一桁だった頃のいつか

幻視を愛していた年頃


その頃に見ていた夢の共通点は

自分以外に誰もいない世界という点

条件には合致している


眠ることの嫌いな自分が

唯一気に入っていた夢だった

怖くも悲しくもない幻だったからだろう


ところで

なぜ今 思い出しているのだろう

追体験のように 手応えを持っているのだろう