お泊まり恋愛詩 -13ページ目

お泊まり恋愛詩

恋愛詩を集めたブログです。彼氏視点です。

かなりえっちな内容のものも少なくないですが、年齢制限せずにすむよう、端正で遠回しな表現に収めています。また、旧作に手を加えている作品が多いので、現在進行形のものはほとんどありません。更新休止中です。


光あふれる夏の拭き掃除


君は友達と水着を買いに行った

僕は麻雀を打ちにゆくか詩を書くかで迷い

詩の限界について

いつもと同じメモを書き散らした挙げ句

メモを捨てるついでに拭き掃除に耽る


喩法を振りかざしても

君の息からたちのぼる香りは蘇らない

君が簡単に浮かべる涙と

僕の詩の言葉とは同じ類の成果だ


収穫と呼ぶに相応しいのはむしろ

呼気と幾種類もの体液と

それらの香り

鼓動と体温と視線の振る舞いと


掃除は回想

かんたんマイペットの控えめな香料を嗅ぎながら

フローリングに残る蝋滴を剥がし

褪せた白や焦茶や透明のしみを拭う


今頃 君はオレンジ色に輝きながら

友達と笑っている

それは夜と昼との落差を広げるための飛翔


乗馬ムチの存在感


おしりたたきと言えば

靴べらか平手が定番だったけれど

今日 乗馬ムチ風のムチを買ってきた


ベッドサイドの壁に新しいフックをかけて

つるして飾ってみた


君の視線が

時々ちらちらそれを見ているのに気づく

期待も不安もあるんだろうね


君のすべすべの「おしりほっぺ」に みみず腫れができたら

大切に舌でなぞるつもりだ

「おしりのおくち」にいたずらを仕掛けながら


楽しみだね


おとなしく窓を塞ぐカーテンを背に

少し無口なおうちディナー

きっかけとタイミングをはかりながら

僕たちはそれぞれに

自分がごはんを噛む音を聴いている


想像できるかぎりのいちばん恥ずかしいこと


音階を空想して、どんどん駆け上がっていっても、どこまでも上がり続けることはできない、という意味の文章を読んだことがあって、受験のためのピアノの練習で忙しい君との短いデートをその実験に費やす。限界に近づくと、息苦しい雲が存在する感触が確かにあって、君も僕もそれぞれにひとり、苦しげな表情がおかしい。彼女は音名でそれを言う。ピアノの音域の上限を1オクターブ超えたところで、彼女は息苦しく立ち止まったようだった。


デートの後の夜、欠かさずの電話。想像できるかぎりのいちばん恥ずかしいことは何かという話を放ってみた。音とは違って階段ではないけれど、僕たちの歴史は階段上に積んできたので、歴史をさかのぼれば良い。何も着ないで出前の受け取りをしたことよりも、おむつを穿いてデパートへお買い物に行ったときの方が恥ずかしかったらしい。このあたりの感覚は、君と僕との間であみだくじのように入れ違っている。


話の途中で、急に無口になったあのあたりで、きっと君は空想上の一番恥ずかしいことを拾ったのだと思う。結局、その一番恥ずかしいことは、電話口では話してくれなかった。言ったら絶対にさせるでしょ! という言い分ももっともだけれど、言わないなら言わないで、言わせるための意地悪をじっくりしてあげられるので、同じことなのにな、と笑う。僕の思い描く階段だって、まだまだ上へ続いている。


大好きでちゅよ、と最後はいつもの赤ちゃんことば。君も同じ言葉を返して笑っている。別に何の意味もないのだが、電話の最後はいつもそのやりとりだ。君のキスがきこえる。息の気配、つまり、想像力がもたらした熱の気配を伴っている。