光あふれる夏の拭き掃除
君は友達と水着を買いに行った
僕は麻雀を打ちにゆくか詩を書くかで迷い
詩の限界について
いつもと同じメモを書き散らした挙げ句
メモを捨てるついでに拭き掃除に耽る
喩法を振りかざしても
君の息からたちのぼる香りは蘇らない
君が簡単に浮かべる涙と
僕の詩の言葉とは同じ類の成果だ
収穫と呼ぶに相応しいのはむしろ
呼気と幾種類もの体液と
それらの香り
鼓動と体温と視線の振る舞いと
掃除は回想
かんたんマイペットの控えめな香料を嗅ぎながら
フローリングに残る蝋滴を剥がし
褪せた白や焦茶や透明のしみを拭う
今頃 君はオレンジ色に輝きながら
友達と笑っている
それは夜と昼との落差を広げるための飛翔